公益社団法人日本観光振興協会は2026年7月21日、DMO(観光地域づくり法人)の国際組織「Destinations International(DI)」年次総会で、日本が推進する「ツーリストシップ」の理念と実践を世界に向けて発信した。
会場は米国・オレゴン州ポートランド。総会は同月23日まで3日間にわたって開かれ、北米を中心とした世界各国の観光産業プロフェッショナルが集まった。
同協会が登壇したセッションのテーマは「Touristship in Action: How Destinations Can Champion Responsible Travel」。同時間帯に約10のセッションが開催される中、本セッションには多くの参加者が来場した。終了後には登壇者へ質問や意見交換を求める参加者が列をつくるなど、活発な交流が続いた。
三者がともに持続可能な観光を 「スポーツマンシップの観光版」

ツーリストシップとは、スポーツマンシップの観光版として位置づけられる考え方だ。旅行者一人ひとりが旅先への配慮や地域への敬意を持って行動することで、旅行者・地域・観光事業者の三者がともにより良い観光を実現していく、というのがその核心にある理念である。
セッションに登壇したのは3名。日本観光振興協会から観光地域づくり・人財育成部長の大須賀信が参加したほか、一般社団法人ツーリストシップ代表理事の田中千恵子氏、Destination Greater Victoria(カナダ・ブリティッシュコロンビア州)Vice President of SalesのMiranda Ji氏が名を連ねた。
田中氏と大須賀は、日本で推進するツーリストシップの理念と実践事例を紹介。日本各地で展開されている取組に加え、参加型プログラム「旅先クイズ会」を○×クイズ形式で再現し、来場者にも体験してもらった。
カナダのDMO幹部も登壇 きっかけは京都市バスのポスター

注目を集めたのが、Miranda Ji氏の発言だ。Ji氏は、日本を旅行した際に京都の市バス車内で偶然ツーリストシップのポスターを見かけたことが、今回のセッションへの参加につながったと明かした。
Ji氏はまた、カナダ・ブリティッシュコロンビア州ビクトリアでのツーリストシップにつながる取組を紹介し、北米DMOの視点から持続可能な観光地域づくりについての考えを述べた。
コメントカードに前向きな意見が多数
コメントカードには、ツーリストシップの考え方や「旅先クイズ会」を評価する前向きな意見が多数寄せられた。日本への旅行を予定している参加者や、日本にゆかりのあるDMO・観光関係者も数多く来場したという。
今回のセッションは、日本で育まれてきたツーリストシップの理念や実践への理解を世界各国のDMO関係者の間で深めるとともに、持続可能な観光地域づくりに向けた国際的な対話と相互理解を促進する機会となった。
なお、年次総会では、2027年の開催地が米国・ミズーリ州カンザスシティに決定したことも発表された。

「DMOなび」を通じて国内へも展開

日本観光振興協会では、一般社団法人ツーリストシップをはじめとする関係団体と連携し、ツーリストシップの理念の普及・定着に取り組んでいる。
今回の年次総会で得られた知見については、DMO支援サイト「DMOなび」などを通じて国内のDMOや地域へ共有し、ツーリストシップの理念や実践のさらなる普及につなげていく方針だ。
「DMOなび」は、国内外のDMOの先進事例や観光地域づくりに関する情報、データ、セミナー、人財育成、伴走支援など、観光地域づくりに役立つ情報を発信するサイト。
公益社団法人日本観光振興協会は東京都港区に拠点を置き、会長は菰田正信氏(三井不動産株式会社会長)が務める。




