コングレ、AVITA、SMBCバリュークリエーションの3社は8月7日、アバター・AIを活用した施設運営の効率化・高度化に向けた協業を開始することで合意し、業務提携契約を締結した。
株式会社コングレ(代表取締役社長:武内 紀子)、AVITA株式会社(代表取締役社長CEO:石黒 浩)、三井住友銀行の子会社であるSMBCバリュークリエーション株式会社(代表取締役社長:栗本 雄太)の3社が連携。コングレが持つ施設運営のノウハウおよび専門人材、AVITAが持つアバター・AI関連技術、SMBCバリュークリエーションが持つ業務プロセス改革・生産性向上支援の知見を組み合わせ、全国の施設運営における付加価値向上や課題解決を支援していく。
2026年8月中旬からは、渋谷スクランブルスクエア株式会社の協力のもと、コングレが運営をサポートする渋谷駅直結・直上の展望施設「SHIBUYA SKY」で、来場者の案内誘導業務にアバターを活用するための初期運用を開始する。1階エレベーターホールでの乗降案内や待ち列誘導といった、動きを伴う接客業務へのアバター導入という具体的な一歩だ。

背景——労働力不足とインバウンド拡大が重なる構造的危機
3社が協業に踏み切った背景には、日本国内の施設運営現場が抱える慢性的な課題がある。
少子高齢化に伴う労働力不足、来場者ニーズの多様化への対応——。こうした問題はすでに現場に根深く存在していたが、観光市場の回復によるインバウンド(訪日外国人)需要の拡大が重なり、限られた人員でいかに高品質なサービスを維持するかが、重要な経営課題となっている。
3社は「今後、労働力不足が一段と深刻化した場合、現場の創意工夫やスタッフの負担のみに頼った運営には限界がある」と指摘する。「最悪の場合、人員不足を理由に事業継続が困難になるなど、従来の体制では対応しきれない構造的な危機に直面することが予想される」とも表明。こうした認識のもと、「人とアバター・AIの融合によって『人の価値』を最大化し、日本全国の施設運営における課題解決と、新たな運営モデルの確立を目指す」としている。
3社それぞれの役割
今回の協業では、AVITAが開発したアバター接客サービス「AVACOM」やAIロープレサービス「アバトレ」といったアバターサービスを中核に据える。これをコングレの施設運営オペレーションノウハウ・専門人材と、SMBCバリュークリエーションの業務効率化ソリューションと組み合わせる形だ。
提供するソリューションとして挙げられているのは、アバターによる遠隔接客、AIアバターによる自動案内、多言語対応、ロボット等との連携、接客データの活用による施設運営改善など。これらを全国の施設運営を行う顧客へ提供していく。
各社の役割は明確に区分されている。
コングレは、MICE施設・文化施設・観光施設・科学館等における施設運営ノウハウの提供を担う。導入施設に応じたオペレーション構築、施設管理・運営に関する専門人材の提供、営業・提案活動、導入後のオペレーション改善、施設オペレーションの全体管理が主な役割だ。
AVITAは、アバター接客サービス「AVACOM」等のアバター・AI関連技術、機材・システム、テクニカルサポートを提供する。AIアバターによる自動応答、遠隔接客、多言語対応、接客データの取得・活用等を通じて施設運営の高度化を支援する。
SMBCバリュークリエーションは、SMBCグループで培った業務プロセス改革・生産性向上・デジタル活用の知見を活かす。アバター・AI関連技術を活用したソリューションの共同検討、営業・提案活動、業務設計、導入支援、運用改善支援等を担う。
7つのユースケース——幅広い施設・シーンを想定
本協業で想定される主なユースケースは以下の通りだ。
- MICE施設、ホール、カンファレンス施設における受付・案内・問い合わせ対応
- 文化施設、博物館、美術館、科学館等における展示解説・館内案内
- 観光拠点や地域の公共施設における多言語案内・インバウンド対応
- 大型イベント、展示会、期間限定催事における来場者案内・商品説明・導線案内
- 商業施設、店舗等におけるキャンペーン案内、売場誘導、販売促進
- 施設スタッフ向けの接客研修、説明練習、ロールプレイング研修
- 接客ログや問い合わせデータを活用した施設運営改善、FAQ整備、業務プロセス見直し
MICE施設や博物館・美術館といった文化施設から、観光拠点、商業施設、さらには社内研修まで、幅広いシーンへの展開を見据えた構成となっている。
SHIBUYA SKYで8月中旬から初期運用——「動きを伴う接客」へのアバター導入
最初の実装の場となるのが、渋谷駅直結・直上の展望施設「SHIBUYA SKY」だ。渋谷スクランブルスクエア株式会社の協力のもと、コングレが運営をサポートするこの施設で、2026年8月中旬から初期運用を開始する。
具体的には、1階エレベーターホールでの乗降案内や待ち列誘導といった業務が対象。単なる情報提供にとどまらず、動きを伴う接客業務へのアバター活用という点が特徴だ。
3社はこの取り組みについて、「従来は現地での対応が求められてきた業務の一部を遠隔からでも可能とし、『場所や身体の制約を受けない』新たな働き方の選択肢を広げていく」と位置づけている。
全国展開へ——新たな施設運営モデルの確立を目指す
SHIBUYA SKYでの初期運用で得られたノウハウは、全国展開への足がかりとなる。3社は「ここで得られたノウハウをもとに、新しい施設運営モデルを構築し、人手不足や顧客の体験価値の向上に課題を抱える全国の施設への横展開を通じて、アバターやAIを活用した新たな施設運営の普及を進めていく」としている。
施設運営の現場が直面する構造的な労働力不足と、インバウンド需要拡大という相反する圧力。この難題に対し、アバター・AIという技術と、施設運営・金融グループという異業種の知見を掛け合わせた取り組みが、今まさに動き出した。
各社概要
株式会社コングレ
代表者:代表取締役社長 武内 紀子
事業内容:MICEのトータルプロデュース、コンベンション、展示会・イベント、施設運営(MICE施設、文化施設、観光施設、科学館等)
AVITA株式会社
代表者:代表取締役社長CEO 石黒 浩
事業内容:アバターやAIを活用したサービス開発(アバター接客サービス「AVACOM」、AIロープレ・AI面接サービス「アバトレ」)/アバターやAIを活用したマーケティング支援/ヒューマノイド・Physical AI(フィジカルAI)の開発・提供
SMBCバリュークリエーション株式会社
代表者:代表取締役社長 栗本 雄太
事業内容:先端技術を活用した生産性向上施策の設計・導入・運用およびコンサルティング業務/ソフトウェアライセンス販売業務





