AI検索、購買に最も影響するのは「悩みが漠然とした入り口段階」―読売広告社が約2,000件のプロンプト分析で実態解明


 株式会社読売広告社(YOMIKO)は7月14日、「AI検索時代の生活者行動変化に関する調査」の結果を発表した。11カテゴリ・約2,000件のプロンプト(AI への質問文)を分析し、生活者がAIを使って悩みを解決していく過程そのものに価値を見出す「プロセス消費」という新たな消費傾向を提唱。旅行・家電・金融・食品・ヘルスケアの5カテゴリで早急な対応が求められると指摘した。

AI利用が最も多いフェーズと、影響度が最も高いフェーズは「別物」

 調査は、AIの利用頻度と購買意思決定への影響度を購買フェーズごとに分析したものだ。

 利用率(棒グラフ値)が最も高かったフェーズは「②選択肢の把握」と「③比較検討」で、いずれも46.5%。次いで「④意思決定直前」が32.4%、「①漠然・課題」が28.9%、「⑤利用開始」が20.7%、「⑥利用中の課題」が15.3%、「⑦再購入・継続」が8.6%と続いた。

 一方、購買意思決定への影響度(10点満点)でみると、最高値を記録したのは「①漠然・課題」フェーズで5.65点。「④意思決定直前」が5.39点、「⑤利用開始」が5.21点、「③比較検討」が5.18点、「⑥利用中の課題」が5.14点、「②選択肢の把握」が4.97点、「⑦再購入・継続」が4.12点という順だった。

 「AI を利用する段階」と「AI から影響を受ける段階」にはズレが生じている、とYOMIKOは分析する。利用頻度が最も高い「②選択肢把握」フェーズは、影響度では最低水準。「とりあえずAIに尋ねてみる」ものの、最終的な決め手にはなりにくい段階であることが伺えると同社は指摘している。

「スペック比較」より「個別事情を打ち明けた層」のほうがAIに強く動かされる

 調査サマリーでYOMIKOは、「生活者は『抱える悩みや面倒ごと(モヤモヤした状態)』を、AIや検索、診断などを通じて『解決へのロードマップ(クリアな状態)』へと変換できることに価値を感じている」と述べている。

 この結論の根拠となったのが、単にスペックを比較する層よりも、自身の個別事情をAIに打ち明けて解決手順を得た生活者のほうが、購買決定においてAIから強い影響を受けているという調査結果だ。

 さらに同社は、「AIによって最適なプロセスが即座に手に入るようになった結果、実際の解決に至る手前の『解決手順が分かり、安心した段階』で既に満足感が生まれている」という現代生活者の心理変化(兆候)を「プロセス消費」と名付け、新たな消費傾向として提案した。

 企業にとっては、「モヤモヤした状態の生活者に対し、『個々の文脈に応じた新たな課題解決までのプロセス』をAIが推奨しやすい形で自社製品やサービスについて情報提供することが、購買へ導く最大の施策となる」とYOMIKOは述べている。

カテゴリ別の実態―旅行が利用率トップ、影響度トップは家電・PC

 調査では11カテゴリを対象に、カテゴリ別のAI利用率と影響度を分析した(利用率は事前調査の検討者ベース・n=8,298、影響度は本調査の10点満点平均)。

 旅行は有効自由回答229件、利用率35.3%で全11カテゴリ中最高。希望条件を伝えて旅程全体の設計を委ねる使い方が浸透しているほか、複数の経由地を渡したルート計算や、複雑な条件の宿探しをさせるなど、AIがツアープランナーとして使われている。影響度は5.16。

 金融商品は有効自由回答184件、利用率30.1%、影響度5.29。高額カテゴリ(自動車・不動産・金融)の中で購買影響度が最高であり、NISAや個別銘柄など専門知識が必要な領域で、意思決定のサポートツールとしてAIが機能している。

 家電・PCは有効自由回答205件、利用率29.8%、影響度5.52で全カテゴリ中最高。価格や機能が複雑で種類も豊富なため、生活者は求める条件を渡してAIに候補をまとめさせたり、複数の商品同士をAIに比較させたりする使い方が広まっている。

 ヘルスケアは有効自由回答133件、利用率29.2%、影響度5.16。主に①効能確認②症状相談に使われており、価格よりも効果について質問しているのが特徴。加齢などの身体的な悩みを起点に、AIを通じて対処法を知る使い方が目立つ。

 食品・飲料は有効自由回答187件、利用率28.8%、影響度5.33。特定の食材レシピ、今日の献立候補、栄養管理の方法などを相談する用途が中心で、接触頻度が高く、日常的にAIを頼る習慣が最も根付いている領域とされている。

 美容は有効自由回答214件、利用率24.0%、影響度5.38。肌や髪の個人的な悩みを起点に、自分では知らなかった解決策に出会う使い方が中心だ。生活者にとってAIが深いコンプレックスや文脈を打ち明けられる「パーソナルな相談相手」として機能していると分析されている。

 自動車は有効自由回答131件、利用率23.0%、影響度4.74。高額かつ長期保有する商品ゆえ、購入前の「不安払拭」と「妥当性の検証」にAIが多用されている。複数車種のデメリット比較や、提示された価格の妥当性チェックなど、「セカンドオピニオン役」としての機能が確認された。

 日用品・トイレタリーは有効自由回答177件、利用率22.8%、影響度5.04。①具体的な悩みに関する相談②求める条件に合致する商品の探索が中心で、日々のあらゆるトラブルを解消するためのアドバイザーとして機能している。

 ギフトは有効自由回答187件、利用率21.3%、影響度5.28。ギフトを贈る相手の個性やギフトを送るに至った経緯をAIに詳細に渡し、ギフトを提案させる使い方が中心。特に自分とは年代や性別が離れている相手の場合に使われることが多いとされる。

 ゲームは有効自由回答166件、利用率19.9%、影響度4.89。「購入後のAI利用」が突出しているカテゴリで、ゲーム内の攻略方法や操作方法の相談が目立つ。AIが購買決定を後押しする役というより、プレイ時の楽しさを高めるサポート役として機能している点が他カテゴリと異なる。

 住宅・不動産は有効自由回答146件、利用率18.6%で全カテゴリ中最低、影響度4.96。「価格の妥当性」や「相場・査定」といった物件選定における確認の質問が中心。AIを「利害関係のない客観的な不動産コンサルタント」として活用し、セカンドオピニオンを求める動きが見られる。

利用率は低くとも影響度が高い「美容・ギフト」は今後の伸長カテゴリ

 カテゴリ別のAI利用率と影響度を掛け合わせた分析では、利用率・影響度の両面で優先度が高く早急な対応が求められるカテゴリ(高利用率×高影響度)として、旅行・家電・金融・食品・ヘルスケアが挙げられた。平均値は利用率25.7%、影響度5.16。

 一方、利用率は高くないが影響度は高く、今後伸長していくカテゴリとして、美容・ギフトが挙げられている。

調査概要

 調査名は「AI検索時代の生活者行動変化に関する調査」。調査手法はインターネットリサーチ(Fastaskパネル)で、2026年6月15日〜19日に実施。調査対象者は、AI検索・生成AIを月1回以上利用し、直近1年以内に当該カテゴリ検討時にAIを利用した20〜60代男女。サンプル数は事前調査15,402サンプル、本調査4,845サンプル(ユニーク2,444人)で各カテゴリ約440名。有効自由回答(プロンプト=意図分析の対象)は1,959件。対象カテゴリは自動車・住宅・不動産・金融商品・家電・PC・旅行・美容・ヘルスケア・食品・飲料・日用品・トイレタリー・ゲーム・ギフトの11カテゴリ。

 本調査は、博報堂DYグループの横断的なAI専門家集団「HCAI Professionals」の活動として実施された。

 
 

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