松下社長
リニューアルに当たり、今後の運営方針や地域展開について松下社長に話を聞いた。(聞き手=関西支局長・小林茉莉)
――日昇館の雰囲気が大きく変わった。4館の位置付け、価格設定は。
価格帯として最も高いのが山上館。その次が日昇館だ。日昇館の中でも7、8階は最高ランクに位置付け、山上館と同価格帯とした。中層階、3、4階でもランク分けしている。今後は山上館の高付加価値化がミッションになる。価値に合わせた適切な価格設定により、RevPERの向上に努めている。リニューアルで募集団体が取りにくくなった面もあるが、本館、なぎさ館もあり、引き続き団体は受ける。
――大都市から離れている中で、「わざわざ行く価値」をどう作るか。連泊ニーズへの対応は。
敷地内に4館があるのは他にない価値だ。それぞれにレストランがあることで連泊時に食事処を変えられるのも魅力の一つ。また温泉は、源泉が11本もあるが5本しか使っていない(笑い)。お風呂も六つある。1泊ではとても周りきれない。館内で温泉スタンプラリーは行っているが、この温泉のブランディングは今後の課題だ。
――外国人客が増えているとのことだが、宿泊単価を上げることで日本人客離れの懸念はないか。
長年課題だった食事の質をグッと高めたことなどで、常連のお客さまはじめ日本人のお客さまにも単価アップを納得いただけるリニューアルになっていると考えている。
もちろん価格帯が変わることで顧客層も変化するだろうが、その点も付加価値の高いサービスで期待に応えたい。人手不足の中、1万円で100人に売るよりも、10万円の価値のあるものを作り、10人に売ることが最適解のはずだ。
当館は地域の宿泊シェアの3~4割を担っており、地域経済の根幹になっている。単価の高いお客さまを呼び込み、滞在ニーズを伸ばしていくという挑戦により、地域の経済に貢献したい。
――グループ4館のブランドロゴも一新し、統一感を出した。連携は。
今までは浦島を知っていても、他3館を知らない人が多かった。実際、台湾の旅行会社にみどりやをセールスしたところ、浦島との連泊プランを作りたくさん送客してくれた。なので現状では、連泊の仕組みづくりよりも周知と考えている。今後、運営面での可能性として、連泊の場合のチェックインの省略や、宿間での荷物配送などは考えられる。
JpiXは南紀白浜空港などもグループであり、白浜経由での那智勝浦への旅行なども過ごし方としてお勧めできる。グループとしてのメリットを生かしてさまざまなチャレンジもできており、売り上げ、利益ともに上昇。待遇面でも平均7%の給与アップを実現できており、最終的には20%アップを目指す。
――DXで省人化が進んだが、従業員数の充足感はどうか。
当館は従業員の平均年齢が高いため、自然減も多く、そこを補うのがDXだ。今後はAX(AIトランスフォーメーション)によりブルーカラーがホワイトカラー並みの仕事をできるようになるだろう。ホワイトカラーのコストを圧縮して、代わりにサービスのプロフェッショナル集団を作れれば、当館の価値をさらに高められるだろう。接客の機会も増やせる。
今期久しぶりに地元の高校から4人入社した。私たちが当館や地元で働く魅力を出前授業などで発信してきた成果だ。まだ誰も辞めず『楽しい』と頑張ってくれているので、大切に育てていきたい。地元からの継続的な雇用につながればと期待している。

松下社長




