宮崎公雄町長
暮らしの豊かさ、定住も重視
――今年1月に草津町長に就任され、半年余りが経過しました。
町議会議員の立場から30年以上にわたって町政を見てきたが、町長となると見え方がまったく違う。議員時代から理解はしていたつもりだが、行政の内情、現場の細部まで分かるようになった。新たな思いでまちづくりに取り組んでいる。
――観光の現状についてはどう捉えていますか。
草津町への入込客数は、3年連続で過去最高を更新し、2025年に405万人に達した。非常に好調に推移している。先行きには中東情勢や円安がどう動くか分からず、やや不安を感じるが、夏季の入り込みには期待している。
――草津温泉は、若年層の観光客が増えています。
長年にわたるまちづくりや、若年層をターゲットにした草津温泉観光協会のプロモーションの成果が表れている。若者たちに草津温泉の良いイメージが刻み込めれば、これから年齢を重ねても、再び草津に来ていただける。観光協会と連携し、今後も若い世代へのプロモーションを強化していきたい。
――インバウンド観光への対応は。草津温泉観光協会では、アジアの富裕層や欧米豪エリアをターゲットに設定している。
草津町の場合、入込客数全体に占めるインバウンドの割合は10%に満たないのが現状だ。平日、オフシーズンの集客といった観点からインバウンドの誘客は必要だ。海外での草津温泉の認知度の向上に取り組みたい。
――地域外からの参入など新たな宿泊施設の開業も相次いでいる。観光施策の方向性は。
今後も参入が増えていきそうな感触があり、入込客数の増加につながると期待している。しかし、草津町の観光は、草津温泉があってこそ。温泉文化や温泉の歴史を改めて着目していきたいと考えている。「温泉文化」に関しては、群馬県を先頭に、全国の関係者がユネスコ無形文化遺産への登録に向けた取り組みを進めている。草津にとっても非常に重要な取り組みだ。従来からアピールしてきた温泉の泉質や効能はもとより、草津温泉の歴史や文化を、地域を挙げて来訪者に伝えていくことが次の観光の魅力づくりにつながる。今後も、さまざまな観光コンテンツ、各エリアのブラッシュアップに取り組んでいく。
――多くの自治体が観光財源の確保に向けて宿泊税の導入を検討しています。
宿泊税などの導入については、草津温泉旅館協同組合の理事長にも組合内で議論してほしいと依頼している。入湯税との兼ね合いもあり、どのような形で観光財源を確保していくのか、近い将来に議論を進めることになると考えている。観光財源にとどまらず、草津町の財源という観点もある。観光振興だけでなく、ゴミ処理などをはじめ地域全体の環境整備も課題となっている。観光事業者、地域住民、来訪者いずれにも理解いただける制度を検討していきたい。
――観光振興の一方で、関係人口、定住人口の拡大を目指す姿勢を示されていますね。
住民の暮らしが豊かであってこその観光地で、町民目線の考え方が非常に重要だ。「訪れてよし、住んでよし、働いてよし」という環境整備に注力したい。草津町の人口は約6千人だが、地方の多くの自治体がそうであるように人口減少が想定される。そのためには、観光を起点に交流人口を増やし、関係人口、定住人口につなげる必要がある。町内で飲食店を開業したり、定住したりする人も増えてきている。移住コーディネーターの設置や空き家バンクの拡充など、移住・定住促進の基盤も整備したい。
――最後に、草津町に注目する町内外の関係者にメッセージをお願いします。
地域づくりは人づくり。これしかない。観光をはじめ、商工の分野でも、若い世代が一生懸命に草津町の振興に頑張っている。もちろん行政側にもそうした人材がいる。次の時代を背負っていく世代が活躍できるよう、草津町を応援していただきたい。また、観光経済新聞社主催の「にっぽんの温泉100選」で、草津温泉は23年連続の第1位に選んでいただいている。町長が替わったから順位が落ちたというわけにはいかない(笑い)。旅行会社などの皆さまにはぜひ草津温泉に投票をお願いしたい。

宮崎公雄町長
宮崎 公雄氏(みやざき・きみお)群馬県草津町生まれ。宿泊業経営者。1991年~2023年、草津町議会議員。町議会議長も務めた。草津温泉旅館協同組合理事長など。2026年1月30日、草津町長に就任。68歳。
【聞き手・向野悟】




