熊本県で最大震度7を観測した地震で、熊本県内の一部の旅館・ホテルの営業に支障が出ている。一方で旅館・ホテルは、2次避難の受け入れに動き出した。夏の旅行シーズンを迎える中、宿泊キャンセルが多発し、被災地にとどまらず、各地に影響が広がっている。
熊本県旅館ホテル生活衛生同業組合(420軒)によると、3日時点で29軒が休業、7軒が部分営業。いずれも八代市、宇城市の施設。建物の損壊がなくても、水道などインフラの不通などで営業できない施設もあるという。
県組合は熊本県と災害時における協定を結んでいる。2次避難に組合加盟施設の客室を提供しており、受け入れのマッチングを始めた。
熊本県によると、4日時点で2次避難先として、八代、水俣芦北、人吉球磨を中心に旅館・ホテル114施設を確保。3日に利用申請の受け付けを開始した。
熊本県は、宿泊施設のキャンセル状況の調査を関係団体や市町村を通じて実施した。3日正午時点で、7月28~31日に受け付けたキャンセルは約6万5500人泊、金額にして約9億円(いずれも暫定値)に上った。
県組合の西上佳孝理事長(旅亭松屋本館Suizenji、熊本市)は「組合が今、最もやらなければならないのは被災者の受け入れ。それが一段落してからキャンセル、被害額の調査となる。現在、アンケートを取る準備をしている。さらに落ち着いてから復興割やなりわい再建支援補助金、雇用調整助成金、各種融資制度の創設・拡充を行政に要望したい」と話した。
観光産業への影響は、建物、インフラへの被害が少ない地域でも、交通機関、道路などの事情、旅行控えなどによって深刻だ。熊本県人吉市、人吉温泉あゆの里の有村友美社長は「キャンセルの嵐だ」と話す。「キャンセルの電話と、こちらの状況を尋ねる電話、災害支援利用に関する旅行会社からの問い合わせなどへの対応に追われている」という。
熊本県阿蘇市、阿蘇プラザホテルの稲吉淳一社長は「10年前の熊本地震の時とは違い、阿蘇地方では施設や生活インフラに大きな被害はなかった。しかし、キャンセルは出ている」。地震発生時、同館や地域には、高校生団体、台湾や韓国からの宿泊客もいたが、大きな混乱はなかったという。
旅行控えは熊本県にとどまらず、九州各地に広がることが懸念される。長崎県観光連盟の明石克磨専務理事は「長崎県内では宿泊・観光施設、交通インフラを含む大部分で大きな被害はほとんどない。しかし、報道等の影響もあって、ツアーや宿泊キャンセルが相次いでいる。このような時だからこそ県が、九州全体が一丸となって観光の火を絶対に消すことなく、前を向いて九州を盛り上げていかなければならない」と語った。
観光団体も被災地の状況を注視しており、支援に動こうとしている。日本旅行業協会(JATA)は、震災被害に対する支援策の一つとして、会員旅行会社を対象に義援金の受け付けを開始した。全国旅行業協会(ANTA)も義援金を募る予定。全日本ホテル連盟(ANHA)は、会員施設に対して義援金募金への協力を依頼。ホテルのフロントに募金箱を設置し、宿泊客に協力を呼び掛ける取り組みを始めた。




