大小九つの温泉が連なる「霧島温泉郷」
「天孫降臨」の神話が息づく地、霧島。雄大な霧島連山の麓には、古(いにしえ)より人々の心と体を癒やし続けてきた豊かな温泉郷が広がっている。しかし、霧島の魅力は神話だけではない。昨年の新燃岳噴火に伴う不安や8月の大雨災害による甚大な被害。困難に直面しながらも、霧島は地域の絆を深め、今、力強く再生の歩みを進めている。
霧島市には個性豊かな「四つの温泉郷」が点在する。
まずは、大小九つの温泉が連なる「霧島温泉郷」。環境省の国民保養温泉地に指定されており、四季折々の絶景を望む湯の街として、多くの登山客や観光客を迎え入れている。

大小九つの温泉が連なる「霧島温泉郷」
そして、国宝・霧島神宮に寄り添う「霧島神宮温泉郷」。荘厳な空気に包まれ、参拝後の心身を静かに解きほぐしてくれる。
名湯の歴史を刻む「妙見・安楽温泉郷」。天降川の清流沿いに宿が並び、川のせせらぎと野趣あふれる湯が旅人を癒やす。幕末の志士・坂本龍馬が愛妻お龍との新婚旅行で訪れた「塩浸温泉」もこのエリアにあり、当時の息吹を感じることができる。
最後に、古くから湯治場として栄えた「日当山温泉郷」。西郷隆盛も愛した湯は、今も地元の人々の日常に溶け込み、変わらぬ温かさをもたらしている。
四つの温泉郷は、それぞれ泉質が異なり、単純温泉から硫黄泉、炭酸水素塩泉まで、全国屈指の多様性を誇る。被災直後、地域全体が暗い影を落とす中、地元の人々が声を掛け合い、温泉の灯を絶やさぬよう努力を重ねてきた姿こそが、現在の霧島の「一番の魅力」であるといえる。今年、霧島を訪れる人々には、ぜひ各温泉郷を巡る「湯めぐり」を楽しんでほしい。
アクセス面でも利便性が向上。2024年7月からは、鹿児島空港から霧島温泉郷、霧島神宮、そして同年3月にリニューアルしたJR霧島神宮駅を乗り換えなしで結ぶ「霧島神宮アクセスバス」が運行を開始し、より快適に霧島を周遊できるようになった。

霧島神宮の紅葉
宿や飲食店では、被災を乗り越えた地元の温かいおもてなしが待っている。霧島茶や黒酢、そして豊かな土壌が育んだ新鮮な野菜や旬の味覚。復興への願いを込めたこれらの恵みは、訪れる人の心に深く染み渡るはずだ。
また、霧島連山の登山やトレッキングも、以前と変わらぬ雄大な姿で登山客を迎えている。自然の猛威を経験したからこそ、改めて感じる「自然と共に生きる尊さ」が、ここにはある。
霧島の温泉は、ただ体を温めるだけではない。地域の人々の「待っていたよ」という思いが、旅人の心を芯から温め直してくれる。この夏、ぜひ霧島へ足を運び、四つの温泉郷が奏でる「復興の調べ」と、神話の地が奏でる癒やしの時間を存分に味わってほしい。





