竹内氏
前号の続き。かつてラーメンで大切なのはスープとされていたが、イマドキ、ラーメン屋は麺で選ぶともいわれ、麺が注目されている。自家製麺はもちろんだが、店それぞれのスープを生かす麺を提供する製麺所の麺も人気だ。製麺所の高圧な製麺機でしか造れない麺もある。「餅は餅屋」というワケだ。
中でも絶大な人気を誇るのが「浅草開化楼」。元覆面レスラーという異色の経歴を持つカリスマ製麺師「不死鳥カラス」氏が開発した麺がことごとくヒットしているのは、前号で述べた通り。
同氏がサローネグループ樋口シェフと開発した生パスタ「カラヒグ麺」が食べたくて、某イタリアンを訪れた。麺自体は超美味。モチモチしつつ、咀嚼(そしゃく)しているとある瞬間にプチッと切れて、口の中に小麦の香りが広がる。ウソ、こんなの初めて!だが、何かが違う。ソースとの相性か?
この麺、首都圏のイオン系小型スーパー「まいばすけっと」で限定販売されていると、SNSで話題に。しかも価格は2食入り税抜き199円。1食何と約100円ってこと。同社公式サイトには、「おうちパスタごちそう計画 もう乾麺には戻れない」とある。コレはもう、買いに走るしかない!と、近所の同店へ。だが、人気商品ゆえ品切れ率が高いというウワサ。入手できるか?幸運にも2袋残っていたので、即ゲット♪
カラス氏はそもそもラーメンやつけ麺の製麺師だが、それら中華麺に必須のかん水を使っていない。イタリアンのコースで提供する際、その独特な風味が邪魔になるからだ。だが、小麦と水だけではぶよぶよした軟らかい麺になってしまうため、デュラム小麦を配合し、低加水で製麺するという手法を編み出した。ストレート太麺で、断面はイタリア・アブルッツォ州のキタッラや、ラツィオ州のトンナレッリ同様四角い。乾麺で同程度の太麺だと10分以上かかるゆで時間も、約2分で済む。
イタリアから帰国したばかりの樋口シェフが、現地のような生パスタを探していたところ、偶然出会ったのがラーメン屋の麺だったそう。それが、浅草開化楼の麺だった。そこから2人のタッグが始まり、「カラヒグ麺」が誕生したのだ。
その後、同様の配合でかん水抜き、低加水の生パスタ麺専用粉「ファリーナ ダ サローネ」が、大手の日清製粉から発売されたというのもスゴイ話だ。
購入した麺を、自信作のボロネーゼと、ペペロンチーノで試した。濃いソースにもバッチリ!シンプルな味付けにもピッタリ♪手前みそだが、確かにおうちパスタがごちそうになった。
カッコイイ「パスタ・フレスカ」でなくベタな「パスタ生めん」でリリースしたのも、パスタが大衆娯楽であってほしいという開発者の意図なのだ。
昨年の誕生日、家族にねだってパスタマシーンをプレゼントしてもらった。1万円ちょいしたのに、半年たった今まだ使っていない。「カラヒグ麺」を買った方が早いしお得かも?
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。




