立教大学観光研究所は8月24日、2026年度「観光地経営専門家育成プログラム」の受講申込受付を開始する。申込期間は8月24日(月)午前0時から8月27日(木)午後1時まで。定員は25名(先着順)で、受講料は60,000円だ。
本プログラムは、地域経営の視点から観光地全体を視野に入れて革新する「観光地経営専門家」の育成を目指すもので、平成20年度に経済産業省「産学連携人材育成事業(サービス人材分野)」で採択された取り組みを起源とする。2015年度からは立教大学観光研究所が主体となり講座を展開してきた。
講義は9月26日から11月28日にかけて全7回、土曜日に開催される。立教大学池袋キャンパスでの対面講義またはオンライン(ライブ配信)による受講が選択できる。
所長・橋本俊哉教授が育成の意義を語る
立教大学観光研究所所長・観光学部教授の橋本俊哉氏は、プログラムの意義についてこう述べている。
「私たちは新型コロナウイルスのパンデミックを経験し、大国が主導する地政学的なリスクも予断を許さない状況となっています。また地球規模の気候変動や、わが国では少子化の加速化も大きな課題となっています。こうした中で観光による地域振興を図るためには、既存の『観光』にとらわれず、新たな視点から地域の魅力を再発見・再評価し、多様な地域主体の連携を図りながら人々の交流を促進し、新たな観光価値を創造することで、地域社会の活力を産み出すことが重要です」
さらに橋本氏は、「従来の観光事業の枠組みにとどまらず、広く『地域を経営する』視点から、観光地としてのあるべき姿を描き、革新的に再構築を図っていくための専門的な知識や観光地の調査スキルを有する人材が必要」と強調している。
全7回の講義内容と担当講師陣
9月26日(第1回)
橋本俊哉教授(立教大学観光学部)によるオリエンテーションに続き、安島博幸・立教大学名誉教授が「観光地における価値の創造」を講義する。
観光地の魅力が高まれば多くの観光客が訪れて観光地は発展し、価値が減少すれば訪れる人が減って衰退するという観光的価値の構造を、安島名誉教授は事例を交えながら検討する。
10月3日(第2回)
1コマ目は、前じゃらんリサーチセンター長であり立教大学大学院ビジネスデザイン研究科兼任講師を務める沢登次彦氏が「2040年を見据えた観光の未来と地域戦略について」を講義する。この回は「ホスピタリティ・マネジメント講座」との合同講義として実施される。
沢登氏は「コロナ禍以降、予想以上に早く、予想以上に多く、外国人が日本を訪れています。国内観光を維持しつつ、訪日外国人増による成長を創る持続可能な観光戦略とは? 未来を見据え、地域は何をしていくべきか?を、じゃらんリサーチセンターの調査及び研究内容を活用してお話しいたします」と語っている。
2コマ目は、株式会社トラベル・キッチン代表取締役で立教大学観光学部兼任講師の抜井ゆかり氏が「観光地からの情報発信」を担当。SNS時代における戦略的な情報発信の手法や、インバウンド観光における各国別対策の留意点を解説する。
10月10日(第3回)
立教大学観光学部教授の野原克仁氏と佐藤大祐氏が「観光地の調査分析方法」を経済学・地理学の両面から講義する。
野原教授は「2023年、2024年に記録的に暑い2年となり、2025年は統計開始以来最も暑い夏となった」という気候変動の深刻化を背景に、自然環境の価値を評価する経済モデルとデータ収集・分析方法を実例と共に紹介する。
佐藤教授は観光地理学の視点から、資源やアクター、動機、情報などの観点から観光に関わる空間を科学し、観光地の資源発掘や魅力づくり、観光戦略・集客戦略への結びつけ方について検討する。
10月17日(第4回)
國學院大學観光まちづくり学部学部長・教授の梅川智也氏が「温泉観光地の経営」を講義。参考図書に『観光地経営の視点と実践』(丸善出版)を用い、温泉観光地の経営にとって重要なポイントを複数の視点から学ぶ。
続いて由布院・玉の湯代表取締役社長の桑野和泉氏が「温泉観光地の経営事例分析」を担当。保養温泉地「由布院」を題材に、100年の時間軸で地域経営をマクロの視点から考察し、持続可能な観光地としての地域経営の可能性と観光まちづくりを探求する。
10月18日(日)フィールドワーク(任意参加)
翌10月18日(日)には神奈川県の湯河原でフィールドワークを実施する(任意参加)。集合は午前9時30分、解散は午後4時(予定)。梅川智也教授と湯河原町観光課長の宮下睦史氏が担当する。
現地では万葉公園(Park-PFI事業による)をはじめ、温泉場における再生事例など湯河原温泉の主要エリアを視察し、温泉地再生の具体的な事例を学ぶ。最後に行政担当者も交えた総括的なディスカッションも予定されている。なおフィールドワーク時の交通費・昼食代は受講料に含まれない。
10月24日(第5回)――対面参加必須
この回は対面参加が必須となっている。千葉工業大学創造工学部デザイン科学科教授の柴田吉隆氏が「サービスデザインで考える観光のソーシャルイノベーション」を2コマ連続で担当する。
受講者が事前に行った観光地に関するリサーチをもとに、ワークショップ形式で当該観光地における新しいサービスの可能性を考える。「当該地域と住民や来訪者との関わり方にサービスを通じて変化をもたらし、地域社会や観光に対する人々の認識を変えるようなソーシャルイノベーション指向の提案」(柴田氏)が求められる。
11月7日(第6回)
立教大学観光学部准教授の西川亮氏と、公益社団法人京都市観光協会(DMO KYOTO)の堀江卓矢氏が「観光地の調査分析方法3:地域の見方/歩き方」を2コマで担当する。
西川准教授は国内外の事例研究を通じて、観光振興と地域づくりを両立する方法を検討する。「あらゆる都市は必ずしも観光振興のために存在する訳ではない一方、観光振興による恩恵を享受することが求められる」として、地域住民の生活環境を維持しながらの観光振興のあり方を議論する。
堀江氏は、年間約6,000万人の観光客が訪れる京都の変遷を振り返り、混雑やマナー違反といった問題が発生する構造や事情を踏まえながら、「観光客や業界への啓発」「需要分散化」「高付加価値な体験開発」「市民理解の醸成」「統計整備による世論の是正」といった多角的な施策の狙いや成果、課題を紹介する。
11月28日(第7回・最終回)
目白大学社会学部地域社会学科教授の大西律子氏が「地域人材を育てる新たな視点と仕組み」を講義する。
「観光まちづくりの現場では、『結局、それを誰が担うのか、動ける人がいない』との嘆きがよく聞かれ、『人材』を巡る問題が常態化している」(大西教授)という現状を踏まえ、新しい枠組みから地域人材を捉え直した地域の事例などを手がかりに考察する。
2コマ目は橋本俊哉教授による総括と修了式、交流会が行われる。
受講対象・申込から修了まで
受講対象は大学卒業以上、もしくはそれと同等の能力を有する者(社会人・大学院生等)。定員は25名(先着順)。
観光学研究科・ビジネスデザイン研究科の大学院生は受講料無料で、大学側が履修登録を行う。ただし全日程で対面参加が必須となる。
申込手続きの流れ
- 申込フォーム送信期間:2026年8月24日(月)午前0時〜8月27日(木)午後1時(定員に達し次第締め切り)
- 受講料振込期間:8月28日(金)〜9月3日(木)(振込をもって申込確定)
- 受講案内メール送付:9月10日(木)午後4時以降
申込フォームには顔写真等のデータが必要。振込先口座は8月27日(木)午後4時以降にメールで通知される。
修了要件と修了証
修了・単位修得要件は、①出席状況と②課題レポートの提出(12月5日正午締切予定)の2点。要件を満たした一般受講者には修了証が授与される。
受講上の注意事項
講義のオンデマンド対応はない。オンライン受講環境は受講者自身で整える必要があり、公共交通機関など第三者がいる環境での受講は控えるよう求められている。
講義映像の撮影・録画・録音、配布教材の受講目的以外での利用、視聴URLやパスワードの第三者との共有、登録者以外の者を含めた複数人での受講は固く禁じられており、これらの行為が認められた場合は受講資格が取り消され、受講料の返金も行われない。
感染症等の状況により講義形態が変更となる場合があるが、変更による受講料の減額・返金はない。
問い合わせ先
立教大学観光研究所事務局(夏季休業:8月8日〜8月20日)
〒171-8501 東京都豊島区西池袋3-34-1 立教大学池袋キャンパス 12号館2階 総合研究センター内
TEL:03-3985-2577
E-mail:ikusei-p@rikkyo.ac.jp
プログラム概要は立教大学観光研究所ウェブサイト(https://www.rikkyo.ac.jp/research/institute/it/specialist.html)で確認できる。




