KOKO HOTEL Residence 東京押上
プライム ライフ テクノロジーズ株式会社(PLT)は7月16日、東京都墨田区押上1丁目40番11号に「KOKO HOTEL Residence 東京押上」を開業した。
東京スカイツリーを徒歩圏に望む重量鉄骨造7階建て、全25室のアパートメント型ホテルだ。
PLTがまちづくり事業の一環として土地・建物を所有し、グループ会社のパナソニック ホームズ株式会社(PHs)が設計・施工、ホテル運営をポラリス・ホールディングス株式会社が担う三社連携の事業スキームをとる。
開業に先立つ7月13日、現地でテープカットセレモニーが開かれた。PLT まちづくり事業本部長の大河内潤氏、PHs東京支社長の大森俊明氏、ポラリス・ホールディングス代表取締役社長の田口洋平氏が出席した。

左から田口、大河内、大森の各氏
PLTとまちづくり事業本部の位置づけ
PLTは2020年1月に設立。パナソニック株式会社、トヨタ自動車株式会社、三井物産株式会社の3社を株主に持ち、パナソニック ホームズ、トヨタホーム、ミサワホーム、パナソニック建設エンジニアリング、株式会社松村組の5社を傘下事業会社として擁する。
「くらしとテクノロジーの融合」による未来志向のまちづくりを掲げ、グループ各社が取り組む分譲戸建・分譲マンション・複合施設開発に加え、大規模なまちづくりをグループ共同プロジェクトとして推進している。
2026年4月にはミサワホームに置かれていた「PLTグループ都市開発事業本部」をPLT本体に移管し、「まちづくり事業本部」を新設。グループ横断の事業展開を強化した。
セレモニーで大河内氏は「グループの商材を使い、グループが連携しながらホテルを作った。例えばこの建物はパナソニック ホームズが施工したが、家具(FFE)についてはミサワホームに協力いただいた」と語った。
今回の押上案件はPLTが保有・運営する4物件のうち最初に開業したホテルとなる。残る3物件は那覇のホテル(ポラリスが運営予定)、本庄(着工済み)、富山県高岡市での旧高岡共立銀行を活用した複合開発となっている。
キッチン・洗濯機・テラス付き、全25室の客室構成
物件は押上駅(京成線・都営浅草線)から徒歩4分、東武スカイツリーライン「とうきょうスカイツリー駅」からは徒歩約10分の立地。延床面積1,661.13平方メートル(502.49坪)、全体地積543.07平方メートル(164.27坪)。
客室数は25室で、構成は以下の通り。
- スタンダードルーム:42.8〜44.1平方メートル、6室(禁煙)
- コンフォートルーム:42.3〜43平方メートル、6室(禁煙)
- モデレートルーム:45.1平方メートル、1室(禁煙)
- スーペリアルーム:54.1平方メートル、6室(禁煙)
- デラックスルーム:58.2平方メートル、6室(禁煙)
チェックインは午後3時、チェックアウトは午前11時。
全室にキッチン設備、IHコンロ、電子レンジ、電気ケトル、洗濯機、冷蔵庫、バスタブ付きバスルーム、独立洗面台、シモンズ製ベッド、無料Wi-Fi、USBコンセントなどを装備する。
アメニティバーには歯ブラシ、カミソリ、メイク落とし、洗顔、化粧水、乳液、ボディタオル、ヘアブラシなどが揃う。館内にはテラスを設け、東京スカイツリーを間近に望む眺望を売りとする。
「ビューノ」を活用した短工期・高耐久の建築
施工を担ったPHsの石田氏(東京ステージ)はセレモニーで建物の特徴を補足説明した。
同社の重量鉄骨造プレハブ商品「ビューノ」を採用。15センチピッチで設計できるため「都内の高騰した土地を敷地の隅々まで有効活用できる」という。外部足場を使わず内側から施工する工法で、外周を目一杯広げた建設が可能だ。
工期についても「鉄筋コンクリート造と比べて約3カ月短縮できる」とし、建築費上昇リスクを抑える利点を強調した。昨今の職人不足に対してもプレファブ工法により鉄筋工や型枠工の必要人数を減らせると説明。
外壁には光触媒を焼き付けたタイルを採用。紫外線が排気ガスや汚れを分解し、雨で洗い流すため外観の美観を長期間維持でき、メンテナンスコストを最小限に抑えられるとした。
さらに制震装置の設置により地震時の揺れを最小限に抑えるほか、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)および東京ゼロエミ住宅基準に対応し、CO2排出削減とランニングコストの低減を目指した「フルスペック」の建物と位置付けられる。
PLTの大河内氏はこのほか「もともとは賃貸住宅として企画していたが、ホテル需要の伸びを見てホテル事業に変更した。ただし将来的に住宅に転用できる設計としている」と明かした。各室の内法面積は約53平方メートルで、壁芯ではおよそ60平方メートルとなり、ファミリー向け賃貸マンションとしても成立するサイズ感という。

「旅館業法に基づく許可取得、民泊とは一線」——ポラリス田口社長
ホテル運営を担うポラリス・ホールディングスは現在、全国で約100ホテルを展開するホテル運営専業の会社。「KOKO HOTEL」ブランドを主軸に持ち、今回は同ブランドのサブブランドとして「KOKO HOTEL Residence」の名称を用いる。
田口社長は「KOKO HOTEL Residenceは、日本語で言えば『住むようなホテル』。4人がしっかり生活できる機能を備えたキッチン、洗濯機・乾燥機、ベッドも2台から4台用意し、ファミリーが快適に過ごせるホテル」と説明した。
現在、浅草2ホテル、京都1ホテル、大阪1ホテルの計4ホテルがKOKO HOTEL Residenceとして稼働中。浅草の2軒では利用者の9割が外国人だという。
田口社長は「日本のホテルのサプライはどちらかというとビジネスマン向けが多く、1名ないし2名で泊まれる部屋は非常に多いが、3名4名または5名以上の家族が一緒の部屋に泊まれる商品が少なかった。インバウンドのファミリー需要を受け止める受け皿として展開している」と述べた。
レストランは設置せず、宿泊機能に特化した運営スタイルをとる。田口社長は「実際の利用者を見ると、大体3週間ほど滞在する中で毎日ホテルのレストランで食べるのは金銭的にもメニュー的にも面白みが欠ける。コンビニやカフェチェーンなど様々な選択肢から選ぶ方が多い」と理由を説明。少人数での効率的な運営が可能になるとした。
民泊との差別化については「今回は旅館業法に基づく許可を取得している。民泊は無人運営やサービスが限定的なケースが多く、旅行者や周辺住民とのトラブルも多い。ホテルとして人を配置し、しっかりとサービスを提供していく」と語った。
宿泊単価は月平均4〜5万円、稼働率80%を目標
宿泊料金については、ダイナミックプライシング(変動価格制)を導入する方針。平日・週末や需要の強弱により日々料金を変動させながら、「月間平均で4万〜5万円程度」(PLT・大河内氏)を目標とする。
稼働率については田口社長が「年間で80%程度を目標としている。初月は段階的に上がっていく形だが、着地見込みでは70%以上は確保できそうだ」と述べた。
販売チャネルはオンライン旅行代理店(OTA)が主力で、インバウンド利用者に多く使われるBooking.com、Agoda、Expediaなどを活用する。自社サイトからの予約も「目標として約2割を目指す」(田口社長)とした。
アパートメントホテルの需要と供給ギャップ
田口社長は記者との質疑でアパートメントホテル業態の市場環境についても言及した。
「昨年のインバウンドは年間約4200万人と言われており、そのうち20〜30%程度が家族旅行とされる。しかし都内でのアパートメントホテル業態のサプライは全体の1〜2%程度しかない。需要と供給の大きなギャップがある」と指摘。
コロナ明けからアパートメントホテルを増やす動きが始まっており、確実に業態が伸びていくとする一方で、「需要と供給のギャップが大きいため、すぐに供給過剰になるとは考えていない。東京・京都・大阪だけでなく、インバウンドが北海道、九州、中国・四国など地方に分散していく流れもあり、エリアによってはギャップが非常に大きい場所もまだある」との見方を示した。
日本人の家族旅行需要についても「家族で泊まれる部屋が少ないという声が非常に多い」とし、インバウンドに限らず需要が存在すると強調した。
また建築費・人件費の上昇というインフレ環境を踏まえ、PLT・大河内氏は「ホテルはダイナミックプライシングで日々売上を上下できる。賃貸住宅の契約更新や入れ替えのタイミングでしか値上げできないのと比べ、即応性が高い。今のインフレ環境下ではホテルは取り組みやすい事業形態だ」と語った。
PLTグループのホテル実績は計29件
PLTグループ全体(開発中・売却済みを含む)のホテル実績は計29件。首都圏エリア6件、関東近郊エリア8件、近畿エリア7件、九州エリア3件、沖縄エリア3件、中部エリア2件に及ぶ。
直近の事例としては、昨年(2025年)竣工した静岡県御殿場市の「edit x seven Fuji Gotemba」がある。鉄筋コンクリート造10階建て、延床面積3,650平方メートル(1,104坪)、総客室数49室でレストラン・サウナ・ドッグランを備える。運営は株式会社小田急リゾーツが担う。ミサワホームが施工した物件だ。
今後のホテル開発計画についてPLT・大河内氏は「ホテル開発にいくら投資するという目標は現時点では設けていないが、保有物件の用途を判断しながら進めていく。エリアは限定せず全国で検討する」とした。
アクセス
KOKO HOTEL Residence 東京押上へのアクセスは次の通り。
電車では東京メトロ半蔵門線・都営地下鉄浅草線・京成押上線「押上駅」A1出口から徒歩5分、東武スカイツリーライン「とうきょうスカイツリー駅」B3出口から徒歩約10分。
車では首都高速6号向島ICから約10分、首都高速7号小松川線錦糸町出口から約10分。
空路では成田空港から電車で乗り換えなし(京成線直通)、羽田空港からは京急線・都営浅草線直通で乗り換えなし。成田空港からのバスはスカイツリーシャトルバスで約70分、羽田空港からは約50分。駐車場は施設内に用意がなく、近隣のコインパーキングを利用する形となる。





