じゃらんリサーチセンター(JRC)は7月15日、「じゃらん観光国内宿泊旅行調査2026」の結果を発表した。2025年度(2025年4月〜2026年3月)の国内宿泊旅行費用総額は推計8兆3883億円となり、前年度比2.5%増で拡大した。宿泊旅行実施率は48.9%と前年度から0.4ポイント減少し、延べ宿泊旅行者数も微減となった一方、1回当たりの旅行費用、特に現地消費の上昇が市場全体を支える構図となった。
実施率は微減も、泊数・旅行費用は増加
2025年度に国内宿泊旅行を実施した18〜79歳の割合は48.9%。前年度の49.3%から0.4ポイント減少し、伸び悩みが続いた。
実宿泊旅行者数の推計値は4589万人で、前年度比0.7%減(34万人減)。延べ宿泊旅行者数は1億2763万人回で前年度比0.1%減(12万人回減)となった。
一方、宿泊旅行実施者の年間平均旅行回数は2.78回(前年度2.76回)、1回の旅行当たりの平均宿泊数は1.75泊(前年度1.74泊)と、いずれも微増。延べ宿泊数は2億2372万人泊となり、前年度(2億2308万人泊)から64万人泊増加した。
「若年層の旅行量が前年度を下回る」
性・年代別に見ると、宿泊旅行実施率が最も高いのは18〜29歳女性で61.8%。唯一6割を超えた。次いで18〜29歳男性、30代女性、60代男性が5割台となった。
前年度との差では、60代男性(+3.8ポイント)や50代女性(+2.4ポイント)で増加が見られた一方、30〜40代や70代では男女とも減少した。
延べ宿泊旅行者数では、18〜29歳男性が前年度比151万人回減、18〜29歳女性が79万人回減と、若年層の減少幅が特に大きかった。実施率は高いものの、旅行量としては前年度を下回る結果となった。
大阪府が174万人増、万博効果が鮮明
都道府県別の延べ宿泊旅行者数(推計値)で最も多かったのは東京都で1102万人。次いで北海道975万人、大阪府940万人と続いた。
前年度からの増加数が最も大きかったのは大阪府(+174万人)で、次いで静岡県(+89万人)、福岡県(+32万人)、北海道・福島県(ともに+25万人)の順となった。
増加率では徳島県(+23.3%)、大阪府(+22.8%)、佐賀県(+22.0%)、鳥取県(+20.2%)、香川県(+17.6%)がトップ5に入った。
宿泊先ブロックでは、関西ブロック、東海ブロック、九州ブロックなどで前年度から増加した一方、甲信越・北陸ブロック(105万人回減)や関東ブロック(37万人回減)では減少した。
関西ブロックを居住ブロック別に見ると、関東ブロックからの旅行者が66万人回増、九州ブロックや甲信越・北陸ブロックなどからも増加。大阪府を中心に広域からの旅行需要を取り込んだ格好で、大阪・関西万博開催の影響がうかがえる。
甲信越・北陸ブロックでは関東ブロックからの旅行者が72万人回減となり、減少幅の大きさが目立った。
旅行費用総額は8兆3883億円、現地消費が43.8%を占める
1回の国内宿泊旅行にかかった費用は、全旅行者の平均で大人1人当たり6万5700円。宿泊・交通費が3万6900円、現地消費が2万8800円だった。
前年度(6万4100円)と比較すると総額で1600円増。内訳では現地消費が1700円増となった一方、宿泊・交通費はほぼ横ばいだった。
個人旅行の総額は6万3400円(前年度6万2200円)で、宿泊費1万9200円、交通費1万5500円、現地消費2万8700円。パック旅行の総額は8万9100円(前年度8万3300円)と前年度比5800円増と大きく上昇した。
個人旅行の1泊当たり宿泊費は1万3300円で、前年度(1万3600円)から300円低下した。
国内宿泊旅行にかけられた費用総額の推計値は8兆3883億円。前年度(8兆1867億円)から2016億円増で、前年度比2.5%増。前々年度(7兆9172億円)から2年連続で拡大が続いた。
費目別の内訳は、現地消費が3兆6767億円(全体の43.8%)と最も大きく、次いで宿泊費2兆2243億円(26.5%)、交通費1兆8044億円(21.5%)、パック費6829億円(8.1%)と続く。
個人旅行とパック旅行の内訳では、個人旅行が7兆3586億円(87.7%)、パック旅行が1兆297億円(12.3%)だった。
宿泊先別の費用格差 沖縄12万8800円、山梨4万3000円
宿泊先都道府県別に全旅行者の総額を見ると、最も高いのは沖縄県で12万8800円。最も低いのは山梨県で4万3000円だった。
個人旅行の1泊当たり宿泊費が最も高いのは千葉県で1万6900円、最も低いのは宮崎県で8200円。東京都や大阪府など都市圏では全体平均(1万3300円)を下回った一方、千葉県、静岡県、大分県などで全体を大きく上回った。
前年度との比較では、個人旅行1泊当たり宿泊費が全体で300円低下。地域によって動きに差が見られ、徳島県(前年度比2300円減)、宮崎県(同2200円減)、長崎県(同1300円減)などで大きく低下した一方、千葉県(同1600円増)、山形県(同1900円増)などで上昇した。
同行形態は「夫婦2人」が最多 「ひとり旅」は増加
国内宿泊旅行の同行形態で最も割合が高かったのは「夫婦2人での旅行」で26.0%。次いで「ひとり旅」が18.5%、「友人との旅行」が12.2%、「小学生以下連れ親子旅行」が10.9%と続いた。
2025年度から新たに追加した「成人以上の親子旅行」は8.7%を占めた。
前年度と比較可能な項目では、「ひとり旅」が前年度の18.0%から18.5%へと0.5ポイント増加した一方、「小学生以下連れ親子旅行」は12.0%から10.9%へと1.1ポイント減少した。
性・年代別では、男性で「ひとり旅」の割合が高い傾向にあり、18〜29歳男性(26.7%)、50代男性(27.4%)では最も高い同行形態となった。
18〜29歳女性は「友人との旅行」(22.1%)、「恋人との旅行」(20.1%)が上位を占め、複数人旅行を好む傾向が見られた。30〜40代は男女とも「小学生以下連れ親子旅行」の割合が最も高く、60代以上では男女とも「夫婦2人での旅行」がトップとなった。70代女性では「友人との旅行」も17.3%と高い水準だった。
旅行目的は「地元グルメ」「温泉」「宿」が上位3項目
国内宿泊旅行の目的(複数回答)で最も高かったのは「地元の美味しいものを食べる」で43.7%。次いで「温泉や露天風呂に入る」「宿を楽しむ」がともに35.6%で並んだ。「名所、旧跡をめぐる」(22.8%)、「まち歩き、都市散策」(18.3%)が続く。
前年度と比較すると、「宿を楽しむ」が前年度34.2%から35.6%へと1.4ポイント増加。「地元の美味しいものを食べる」は前年度45.2%から43.7%へと1.5ポイント減少した。
同行者別に見ると、小学生以下連れ親子旅行では「テーマパークに行く」が38.8%と全体平均(15.8%)を大きく上回った。ひとり旅では「スポーツ観戦や芸能鑑賞をする」「友人・親戚を訪ねる」が全体平均よりも高く、同行者によって旅行目的に明確な違いが見られた。
恋人との旅行、夫婦2人での旅行、成人以上の親子旅行、3世代家族旅行では「地元の美味しいものを食べる」が全体平均と比べて高く、中高生連れ親子旅行では「ショッピングセンターやアウトレットに行く」などが全体を上回った。
「旅行単価の上昇を、持続的な市場拡大につなげられるか」
JRC研究員の池内摩耶氏は調査結果について次のように述べた。
「旅行者数が伸び悩む中で、1回当たりの旅行費用、特に現地消費の上昇が市場を支えています。人口減少も見据えると、国内宿泊旅行市場は、旅行者数の拡大だけを前提に成長を描くことが難しい局面にあります。また、旅行単価の上昇には、人件費や物価の上昇など、観光事業者や地域を取り巻くコスト構造の変化も影響していると考えられます。今後は、単価上昇を旅行者の負担増で終わらせず、満足度や支出への納得感を下げないことが重要です」
また、「同行者・旅行目的に応じた過ごし方の提案や、地域ならではの食・体験・土産などの魅力を磨き、旅行者が『行ってよかった』と感じられる滞在価値をつくることが求められます。加えて、適正な価格転嫁によって事業者の収益向上や従業員の処遇改善を図り、地域への還元につなげるといった、地域住民にとっても観光の意義を実感できる環境づくりも欠かせません。旅行者、事業者、地域住民のそれぞれにとって納得感のある観光施策を積み重ねることが、持続的な市場拡大につながると考えています」と指摘した。
調査概要
本調査は株式会社リクルート(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:牛田圭一)の観光に関する調査・研究機関「じゃらんリサーチセンター」(センター長:高橋佑司)が実施したもの。全国1万5548人の宿泊旅行者を対象に、観光などを目的とした宿泊を伴う国内旅行(出張・帰省・修学旅行などを除く)の実態を調査した。
調査はインターネット調査で実施。1次調査は2026年4月1日〜21日に全国18〜79歳の男女(株式会社マクロミルの登録モニター)を対象に108万1685件を配信し、6万9854件を回収(回収率6.5%)。集計対象は都道府県別・性年代別に割り付けた2万件とした。
2次調査は2026年4月10日〜21日に実施。1次調査で「昨年度1年間に国内宿泊旅行をした」と回答した3万3643件のうち2万7966件を配信し、1万5589件を回収(回収率55.7%)。有効回答数は1万5548件(旅行件数ベース3万139件)だった。




