縁あって八王子の日本遺産に関わらせていただくようになり、そろそろ3年半になる。
八王子市の日本遺産「霊気満山 高尾山 ~人々の祈りがつむぐ『桑都物語』~」。活動を始めた頃は、このタイトルを、八王子の歴史や文化が受け継がれてきた物語として捉えていた。
しかし、地域の方々とご一緒する中で、今では、人と人とのご縁を紡ぎながら、未来へ新たな物語を紡いでいくことなのだと実感するようになった。
それを教えてくださったのは、地域に根を下ろし、強い思いを持って活動を続けている方々である。大学の授業で日本遺産をテーマにした取り組みを始めた頃、八王子織物工業組合の専務理事に親子体験の企画をご相談した。皆さまのご負担にならないか心配していた私に、「それは伝統工芸士の生きがいになる」と快く引き受けてくださった。その後も、市役所や学芸員をはじめ、地域で活躍するさまざまな方をご紹介いただき、ご縁がさらにご縁を呼び、関係の輪が広がってきたことに、自分でも驚いている。
もう1人印象深いのが、桑の新たな活用に取り組む方である。八王子は、日本で唯一「桑都」と呼ばれたまちである。その歴史を大切にしながら、桑を食用として活用し、地域のカフェやレストランへ広げる挑戦を続けている。歴史を受け継ぐだけでなく、今の暮らしに生かし、地域の未来へつなごうとする姿勢に深く心を動かされた。
お2人に共通しているのは、地域への思いを原動力に、人と人を自然につなぎ、新しい挑戦を楽しんでいることである。私自身も、地域の皆さまが大切に育んでこられた思いや取り組みを何より尊重したいと考え、学生とともにその輪に側面から加わらせていただいている。
私も学生とともに、その物語に新しい1本の糸を添えられるよう、地域の皆さまとのご縁を大切にしながら、これからも活動を続けていきたいと思う。
(帝京大学短期大学人間文化学科教授 今野久子)




