亀印製菓の「水戸の梅」
6月から7月にかけて日本列島は梅雨の季節。字のごとく、この時期に降り続く雨は人にはうっとおしいが、梅の実を熟させる慈雨という。
梅の原産地は中国だが、日本には早くから渡来。全国各地で植栽され、品種も300種を数える。
大きく分けると果樹としての実梅と観賞用の花梅の二つ。実梅の主産地は全国の60%を占める和歌山県で、2位群馬(7%)、3位福井(3%)に比べて圧倒的な多さである。
実は梅干しや梅漬け、梅酒、ジャム、ジュースなどいろいろに加工される。菓子としては梅の名所の偕楽園で知られる水戸市の銘菓「水戸の梅」がある。
梅は水戸藩9代藩主・徳川斉昭公が鑑賞と食料として栽培を奨励。明治になってこれを使った菓子が生まれ、菓子店が数店、共存共栄したが今は3店ほどに。
なかで元祖といわれる亀印製菓(亀じるし)は、1852年(嘉永5年)の創業の老舗で、梅干しなど漬物屋でスタート。明治中期に「星の梅」という菓子を製造。のちに「水戸の梅」と改称して評判を呼んだ。
これは梅酢で蜜漬けした赤紫蘇(しそ)の葉で白餡(あん)入りの求(ぎゅう)肥(ひ)を包んだもので、香りが清々しく、ほんのり甘酸っぱい。もちっとして軟らかな食感が好まれている。
餡は白生餡に砂糖、水飴、水を加えて練り上げ、求肥は餅粉、水、砂糖を練り上げて蒸すなど昔からの作り方を伝承している。
同店には梅肉をつぶし砂糖や寒天を加えて煮固め、薄くのばしたゼリー状の「のし梅」や蜜漬けの青梅を白餡で包み薄緑色の求肥でくるんだ「みやびの梅」などいろいろある。
同じ「水戸の梅」でも木村屋本店のは、白餡でなく小豆のこし餡。これを求肥で包み、じっくり蜜漬けした紫蘇の葉でくるんである。甘さ抑えめで香りがよく、白餡とはまた違った小豆のうまみに人気がある。
同店は水戸藩城下の時代の1860年に創業の老舗。店構えも歴史を感じさせる。
なお「水戸の梅」とよく似た菓子に小田原市の「甘露梅」(正栄堂菓子舗、盛月堂総本舗)がある。
(紀行作家)
【メモ】「水戸の梅」=亀印製菓本店(029.305.2211)は1箱5個入り税込み1080円。木村屋本店(029.221.3418)、1箱6個入り税込み1200円。どちらも取り寄せ可。

亀印製菓の「水戸の梅」

趣ある構えの木村屋本店




