梅田氏
語り尽くせぬ豊かさ、今日も魚津を駆け巡る
富山県魚津市に移住して、まもなく1年。魚津観光まちづくり会社で食に関するイベントやEVトゥクトゥク事業、ローカルメディア「魚津ルポ」の運営などに携わっているが、この短期間で同市の底知れぬ観光ポテンシャルを目の当たりにしてきた。
富山湾は紅ズワイガニをはじめ、ホタルイカや深海魚のゲンゲ、食通も注目するウマヅラハギなど、まさに海産物の宝庫だ。特に紅ズワイガニの水揚げ量は県内1位を誇り、一般的な「カニ籠漁」の発祥地もまた、この魚津である。
市を挙げてのPR活動も活発。「魚津蟹騒動実行委員会」をはじめ、直近では「魚津カニ活キャンペーン事業」が本格的に動き出した。いずれも官民が連携し、関係者一丸となってイベントの発展に尽力している。
海岸沿いのにぎわい創出も熱を帯びている。蜃気楼(しんきろう)シーズンにあわせ、魚津漁業協同組合が主導し、魚津水族館や魚津埋没林博物館、海の駅蜃気楼などが参画している「蜃気楼ロード賑わいづくり協議会」が、海岸線沿いを舞台に謎解き宝探しイベント「ロード・オブ・ザ・蜃気楼」を初開催した。4月から6月にかけて1530人超が参加し、大盛況だった。事業者間のシナジー効果による新たな付加価値やビジネス創出の可能性には、まだまだ発展の余地があると強く感じた。
一方で、魚津の魅力は海にとどまらない。振り返れば、約25キロ先に北アルプスの北部を形成する標高2500メートル級の山々が壮大に連なっている。麓は水はけのよい扇状地が広がり、ミネラル豊富な雪解け水が河川に流れ込むことで、畑作や果樹栽培、稲作が盛んだ。
県を代表するブランド米「富富富(ふふふ)」や「加積(かづみ)りんご」、さらには”美人だいこん”の異名を持つ「新川だいこん」など、多彩な農作物は地元民の誇りでもある。
さらに、山あいにある杉の巨木「洞杉(どうすぎ)」は圧巻だ。樹齢や幹の太さは鹿児島県の屋久島に鎮座する縄文杉にも引けを取らず、自然の神秘と畏怖すら感じさせる。周辺には、大蛇か龍が巻き付いているようにも見える「蛇石(へびいし)」や、落差が25メートルで岩苔の鮮やかな緑の中を流れる「沌滝(どんたき)」など、幻想的な景観が点在する。
これまで紹介したのは、魚津の顔のほんの一部に過ぎない。移住1年未満の筆者でさえ、語り尽くせぬほどの豊かさがこの地にはある。ただ、近隣地域と比較すると、その認知度や知名度、ブランド力には、まだまだ伸びしろがある。元新聞記者としては、魚津の奥深い魅力と日々の発見を追い求め、今日もペンとカメラを手に市内を駆け巡り、発信し続ける。

梅田氏




