就職EXPOで真剣に聴き入る学生たち
観光は明日の日本を支える重要な産業といわれ、今後さらなる成長が見込まれるが、その成長を確かなものにするには優秀な人材の確保が必要不可欠だ。ここでは観光に関わる充実した教育環境を誇る大学、専門学校10校を取り上げた。今回は、大阪観光大学を紹介する。
大阪観光大学(大阪府熊取町、山田良治学長)は、日本で唯一「観光」を大学名に冠する4年制大学だ。その観光学研究や教育プログラムの質は高く、国連世界観光機関(UNツーリズム)の観光教育国際認証も継続的に取得。近年では第一線の実務家によるDMO中核・実務人材のためのリカレント講座の主催でも知られる存在だ。
同校が憲章として掲げるのは「自由を共に楽しみ、社会を共に生き抜く力」。「観光を扱うわれわれこそ、多様な価値観に共感し、新たな視点や感性を生かして問題意識を持つ力が必要だ」と山田学長は指摘する。学校教育の中で自分に自信を持てずに育ってきた学生も多いが、同大学ならではの学びと環境により伸びやかに成長し、その多くが自らの望む進路をつかみ取っているという。
「共に楽しむ感覚や姿勢を持つ『良き観光者』になる素地として、楽しいと思えることを広げる体験、一緒に楽しむ経験を重視している」と話すのは観光学研究センター副センター長の小槻文洋教授。その実践の一つが「実践教育科目」の「文化鑑賞創造実践」だ。教員の「好き」であるダンスや城郭めぐりなどのテーマについて一緒に鑑賞、実践して「好きを楽しむ」経験を重ねる。同大学で野球部や鐡道研究会などの活動が盛んなのも、「好き」を突き詰め、共に楽しむことの大切さを学生が理解している証左だろう。

労働・余暇論の見地から「楽しむ力」の必要性を説く山田学長の新著
もう一点同大学の特長といえるのがその国際性だ。現在、在校生の3割超が中国、2割がベトナムからの留学生。そのほか、ミャンマーやモンゴル、スリランカ等アジアを中心に多くの国からの留学生が学ぶ。日本人学生は2割弱で、日本にいながらにして多様な考え方に触れることができる。
2年生からの地域連携実践の授業では、地元自治体などと連携し、フィールドワークや地元の人との意見交換等を通して課題解決などに取り組む。「グループワークで、留学生から『私の国では』などと違う視点からの意見が出ることで、日本人だけでは出てこないような斬新な提案が出てくるのも、本学ならでは」と観光学研究センター社会連携室産官学連携セクション長を務める細川比呂志教授は力を込める。
留学生教育の質の高さにも定評がある。日本語を学ぶ必修科目が多く、日本語能力試験のN2レベルに合格しなければ4年生の卒論ゼミに進めない。地域連携実践では連携先へのプレゼンテーション含め全て日本語で行っている。一部の留学生はアンバサダーとして大阪や和歌山の高校に赴き、国際交流・国際理解の担い手としても活躍。山本健慈理事長は「主要大学で留学生の受け入れ人数が増えた今年も、当学の留学生数は減少しなかった。教育の質、面倒見の良さなどが、留学希望者の中で認知されている」と胸を張る。
同大学では年に2回、観光関係事業者を中心に30社超が参加する「就職EXPO」も実施するほか、1年生からキャリアを考えられるカリキュラムやイベントを多数実施。毎年国内外の主要旅館ホテルや航空・鉄道会社などへ数多く卒業生を送り出していることから、今後ますます注目が集まりそうだ。

就職EXPOで真剣に聴き入る学生たち





