【KNT-CTパートナーズ会総会特集2026】KNT-CTホールディングス、グループ4社統合後の成長戦略を発表


新生KNTCTが目指す姿(提供=KNT-CTホールディングス)

新生KNTCTが目指す姿(提供=KNT-CTホールディングス)

 2027年4月1日、KNT―CTグループでは、KNT―CTホールディングス(HD)を存続会社、近畿日本ツーリスト(KNT)、クラブツーリズム(CT)、近畿日本ツーリストブループラネット(BP)を消滅会社とする吸収合併を行い、新たに「KNTCT株式会社(英文=KNTCT Co.,Ltd.)」を発足させる。KNT―CTHDは従来の純粋持株会社から事業持株会社に移行し、意思決定プロセスを一本化する。統合後は、新生KNTCTのもとに連結子会社17社、持分法適用関連会社1社を抱える体制となる。5月20日、KNT―CTHDは2026年3月期IR説明会を東京都内で開催した。2025年度の連結決算概要が説明されたほか、1社化後の戦略も発表。KNTとCTのブランドが築いてきた営業力や企画力を掛け合わせ、成長領域として「訪日・海外」「地域共創」「未来創造」の3分野を掲げた。

25年度は海外好調で増収増益、国内は自治体連携強化

 同社が5月13日に発表した2026年3月期通期決算(25年4月1日~26年3月31日)は、売上高が前期比8.2%増の2970億6500万円、営業利益が同0.5%増の60億7100万円、経常利益が同11.5%増の75億5500万円だった。人件費などの費用増があったものの、好調な海外旅行と金利上昇による受取利息増により増収増益となった。親会社株主に帰属する当期純利益は、繰延税金資産の追加計上などにより前期比26.1%増の96億8200万円に。営業損益、経常損益、当期純損益の黒字化達成は、2022年度以降4期連続となった。

 25年度の国内旅行は、宿泊費を含む旅行代金の上昇や生活コストが増加。消費者の節約志向が強まり、需要が伸び悩んだ。ただ、CTが企画したにっぽん丸チャータークルーズ、奈良・京都の国立博物館を巡る特別展貸し切り鑑賞、テレビドラマの世界観を再現したツアーなどは好評を博した。KNTも「東京2025世界陸上競技選手権大会」で大会関係者の宿泊・輸送、参加チームの事前合宿、一般観戦ツアーなどを幅広く取り扱った。企業系コンベンションや修学旅行の需要も増加した。

 海外旅行は、円安の進行や渡航先の物価上昇、原油価格の高止まりなどで旅行代金が高騰したが、上半期は好調に推移。コロナ禍前の水準に向けて回復が進んだ。CTの添乗員同行ツアーでは、昨年11月に開館した大エジプト博物館見学と遺跡の特別見学を組み込んだツアー、大型外国船「ダイヤモンド・プリンセス」のチャータークルーズなど、高付加価値商品が好評を博した。イタリアで開催された冬季五輪の観戦ツアーやMICE案件、海外見本市など視察旅行の受注拡大にも努めた。

 訪日旅行は、円安の継続や航空座席供給の増加を背景に需要が大きく伸びた。CTの多言語対応のグローバルサイト「Club Tourism YOKOSO JAPAN TOUR」では、日本各地の花火大会や紅葉の名所を訪れる添乗員同行ツアーが好評を博したほか、BPも「東京マラソン2026」における海外ランナーの受け入れ、多言語対応のヘルプデスク設置などの大会運営支援の事業も受託した。

 このほかの取り組みとして、KNTが大阪・梅田の大型複合商業施設内に新店舗「LINKS UMEDA店」を開業したほか、CTでは最上級ブランドの専用サロン「ロイヤル・グランステージ 銀座サロン」をリニューアルオープン。

 観光振興・地域活性化関連では、岐阜県高山市、島根県、北海道上富良野町と包括連携協定を締結し、継続的な交流を通じた各地域の魅力向上と連携強化に取り組んだ。

26年度も営利増益へ 旅行事業は回復予想

 2027年3月期(26年4月1日~27年3月31日)の連結業績予想については、売上高が前期比3.3%増の3070億円、営業利益は同2.1%増の62億円、経常利益は同7.4%減の70億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同38.0%減の60億円とした。引き続き中東情勢の影響を注視しつつ、販管費増以上の旅行事業の回復を見込み、営業利益ベースで増収増益を目指す。

 一方経常利益は、優先株式の一部償還に伴う受取利息の減により減益に。当期純利益も、2025年度における繰延税金資産の追加計上の反動減の影響が大きく、経常利益以下をマイナス予想とした。

 これに伴い、2024~26年度までを計画期間とする現行の中期経営計画の数値目標も修正した。同計画で設定している資本政策の方針(目標利益の達成、自己資本比率25%以上、種類株式償還の履行・普通株式の早期復配)については、計画通り実現達成の見込みとして現状通りとした。

営業利益の推移。27年度もさらなる利益拡大を目指す(提供=KNT-CTホールディングス)
営業利益の推移。27年度もさらなる利益拡大を目指す(提供=KNT-CTホールディングス)

新社名は「KNTCT」に決定 基盤強化で成長3分野を強化

 統合後の新社名は、KNTとCTがこれまで培ってきた信頼・ブランドを承継し、4社統合後の一体感と新たな成長への意志を表した。従来の社名に含まれていたハイフンをなくすことで、一体化を視覚的に表現。ロゴのフォントやカラーなどは今後検討するとしている。

 20日の説明会では、新生KNTCTが目指す姿が発表された。統合後の成長戦略として、法人・団体顧客に対しては「信頼で選ばれるパートナーへ」、個人顧客に対しては「人生を豊かにする体験を」、そして地域・社会に対しては「地域と世界をつなぐ架け橋に」という三つの方向性を掲げる。KNTとCTがともにシナジーを創出し、「訪日・海外事業」「地域共創事業」「未来創造事業」の3分野での成長を目指す。

新生KNTCTが目指す姿(提供=KNT-CTホールディングス)
新生KNTCTが目指す姿(提供=KNT-CTホールディングス)
 
 ■訪日・海外事業

 「2030年に世界30都市展開」というグローバルネットワーク構築目標を設定。機能・要員配置からスタートし、近鉄グループなどの支援も得て拠点を拡大する方針だ。市場の開拓を加速するべく、訪日個人向けには「Club Tourism YOKOSO JAPAN TOUR」「Self―Guided Tours Of Japan」を、団体向けには「DMC Japan by KNT」の海外発地営業を強化。着地も、地域共創事業との連携で魅力増進に努める。
 
 ■地域共創事業
 自治体との包括連携協定を軸に、「地域に入って汗をかく」姿勢で信頼関係を構築。プラットフォーム運営と機能実装を着実に推進する。昨年10月に協定を結んだ岐阜県高山市では、高山―中部山岳―松本広域観光ルートの形成と、ランドオペレーター事業の構築を推進する。今年3月に協定を結んだ島根県では、国内・インバウンド誘客と県産品の販路拡大などを目指す。

 今年4月には、高山、伊勢志摩の両エリアにDMC(Destination Management Company)事業のオペレーションセンターを設置した。各地域とのリレーション強化として、地域代表(西日本・中日本・東日本に駐在)をHDに設置し、地域共創事業の推進とグループ各社の営業支援を担う体制も整えた。今後は、KNTとCTの強みを生かした「着型ハイブリッド店舗」など、新たな店舗形態も検討の上、実装を進めていく。
 
 ■未来創造事業

 「旅行会社の限界を超える」というコンセプトのもと、パートナーとともに社会課題の解決と収益成長の両立に挑戦している。具体的な事業として、米国・ロサンゼルスでの日本米を使ったおにぎり専門店「ONIGIRI SUN」を運営するコメイノベーション事業、学研ホールディングスとの業務提携による探究学習スクール事業、若年層向けメディア事業「Chill+(チルプラス)」などを展開。

 これらのうちONIGIRI SUNは、株式会社ヤマタネとの資本業務提携により昨年から本格的に事業を拡大。今夏にロサンゼルスで2号店をオープン予定で、今後は全米での多店舗展開にも挑戦する。日本が誇る「食」と「地域」の魅力を世界に発信し、訪日誘客のきっかけを創る。
 
 こうした各戦略の実現に向け、同社では業務基盤の高度化に取り組んでいる。本社・コーポレート機能とバックオフィス機能(仕入・手配・営業管理など)の集約を通じて業務プロセスを標準化する。システム再構築も行い、基幹業務システムとコミュニケーション基盤を共通化。2027年度から運用を開始する。AI活用にも取り組む。業務の自動化、商品企画業務などの高度化、顧客対応領域でのAIアバター活用などを推進する。

 こうした業務基盤強化で創出したリソースは、三つの成長領域と顧客接点(営業、販売、商品企画要員の増強)へ重点投入する。KNTが持つ法人MICE、公務、教育分野における営業力や、CTが持つ個人型旅行商品や添乗員付き団体パック商品などの企画力を最大限に発揮できるよう、各部門に人材を重点配置する。

 KNTとCTの両ブランドで商品の付加価値向上を行い、最終的には「訪日・海外」「地域共創」「未来創造」の各成長領域で、新たな顧客創造、地域社会への貢献などを実現する。

26年度から個人・団体で事業再編 子会社間で会社分割実施

 統合に先立ち、今年4月1日には個人旅行事業と団体旅行事業の先行再編を実施した。

 個人旅行事業については、KNTの直営店舗販売事業・仕入部門、BPの国内市場向けWEB販売部門をCTに移管し、仕入れから商品企画・販売までを一気通貫で運営する製販一体の体制を構築した。今後はCTが保有する700万人の会員と、KNTメンバーズクラブの300万人を合わせた計1千万人規模の顧客基盤融合を通じて、顧客生涯価値(LTV)の最大化を目指す。旅行商品も、個人型(1~2人)の年間利用者20万人と、添乗員付き団体パックの年間利用者100万人の二つのセグメントを統合的に運用。オンライン+オフラインのマルチチャネルで各商品をシームレスに販売する体制を整える。リアル店舗は既存の24店舗を維持しつつ、WEB・SNS・紙媒体を組み合わせた多面的なアプローチを展開する。

 団体旅行事業については、KNTで従来の支社制を廃止し、事業戦略の実行と予算執行を主導する3事業部制へ移行。法人公務専門店を統括する「コーポレートビジネス事業部」、教育専門店を統括する「エデュケーショナルビジネス事業部」、地域総合店を統括する「リージョナルビジネス事業部」を創設した。従来の「エリア軸」から「事業軸」への転換を図ることで、ネットワークを活用した全国連携強化と地域の底上げを目指す。

グループが持つ対応課題と、再編のイメージ(提供=KNT-CTホールディングス)
グループが持つ対応課題と、再編のイメージ(提供=KNT-CTホールディングス)

 教育旅行分野にも力を入れる。今年4月1日、KNTとユナイテッドツアーズ(UT)の間で会社分割(吸収分割)を実施。語学研修事業を含むUTの海外留学事業をKNTに統合した。両社にある同事業部門の人材と知見をKNTに集約することで、海外教育市場における事業拡大も図る。

 今後は「修学旅行から教育ソリューションへ」という方向性のもと、海外留学事業の強化、eスポーツ、部活動サポート(長野県内5自治体でのオンラインクラブ活動実証など)、探究学習(『地域の歩き方』ガイドブック制作授業プログラム、世界遺産探究映像教材)など、学校・学校外双方での教育分野における不可欠なパートナーとなることを目指す。

 
 
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