スーツケースは旅行に欠かせないが、放置はいただけない(ホテルにたまった放置スーツケース=写真提供・札幌ホテル旅館協同組合)
旅行にスーツケースはつきものだが、電車やバスの車内では場所を取り、乗降の際、時に邪魔になる。長期旅行をする外国人旅行者の場合は大型のものも多く、混雑の要因ともなる。
仕方がないとはいえ、近ごろは、帰国の際に不要となったスーツケースを駅や空港、ホテルなどに放置する問題も起こっている。
日本で買った土産物を入れようと、新しいスーツケースに買い替えた際などに捨てていったとみられる。日本製のスーツケースは質が良く、値段もそう高くないのが買い替えの動機にもなっているようだ。
成田空港では、放置スーツケースが昨年は700個ほどが届けられ、今年は6月末までにすでに400個に上るという。空港内のごみ箱近くに捨てられるケースもある。
スーツケースの再生・リユース事業「マイスーツケース」を手掛けるカルチャーズジャパン(東京都台東区)は1日、札幌市や札幌ホテル旅館協同組合などと連携し、放置スーツケースの回収・再生、再流通を行う循環型再生事業(札幌モデル)を開始したと発表した。
「外国人観光客の回復に伴って、帰国時などに不要になったスーツケースが宿泊施設に置き去りにされるケースが急増している」と同社。これらは「忘れ物」として一定期間の保管が義務付けられ、最終的には宿泊施設側が自己負担で処分しなければならない。手間とコストがかかる、厄介なお荷物だ。
事業では旅館・ホテルから保管期限を過ぎたスーツケースを回収し、カルチャージャパンが修理した上で、再びスーツケースとして販売する。売り上げは回収・修理費用などに充てるという。
スーツケースの回収・リユース事業「リケース」を展開する日本鞄材(岐阜市)は、京都ホテルオペレーションズ(京都市)と連携し、バンヤングループの「ホーム・ステイ・椛三条京都」や「フォリオ・サクラ・心斎橋大阪」など、京都や大阪の4ホテルで宿泊客の置き忘れ、放置されたスーツケースを対象に、回収・リユースサービスを行っている。
「宿泊施設が抱える保管スペース不足、廃棄コスト、スタッフ負担といった課題を解消し、スーツケースの廃棄を極力発生させない循環型プラットフォームを構築する取り組み」と話す。
旅行者の常識に期待したいが、「旅の恥はかき捨て」ではあまりにも情けない。
【内井高弘】

スーツケースは旅行に欠かせないが、放置はいただけない(ホテルにたまった放置スーツケース=写真提供・札幌ホテル旅館協同組合)




