島川会長
日本ホスピタリティ観光学会(会長:島川崇・神奈川大学教授)は2026年5月23日(土)、新潟市の国際外語・観光・エアライン専門学校において、2026年度定時総会および第1回研究大会を開催した。全国から会員・研究者・実務家らが参集し、11件の研究発表と、トキエア代表取締役・長谷川政樹氏による基調講演が行われた。
同学会は2025年4月20日に設立総会を開催し、41名の会員によって活動を開始した学会だ。2026年5月23日時点の会員数は73名・2団体(研究会員33名、一般会員36名、特別会員2名、団体会員2団体)に拡大している。総会への参加者は40名だった。
「なぜ新潟なのか」 専門学校との縁が開催地を決めた
冒頭の会長挨拶で、島川崇会長は多くの参加者から「なぜ新潟なのか」と問われたことを明かした上で、開催地の選定経緯を説明した。
「専門学校教育をどう発展させるか、ということを日夜考えてきた。ホスピタリティ観光学会の研究大会の第1回も専門学校でやりたいと思い、この新潟の地を選んだ」と島川会長は述べた。
また、島川会長は新潟の現状にも言及した。「新幹線があるにもかかわらず集客に悩む現状や、中心市街地の衰退といった課題がある一方、豊富なコンテンツがある。そのコンテンツをどう活かすかが、私たちに求められていることではないか」と問いかけ、「東京だけがハッピーではいけない。地方がみんなハッピーになって初めて日本が成長・発展する」と地方創生における観光の重要性を強調した。
なお、来年度(2027年度)の総会・研究大会については、首都圏・江戸川大学での開催を予定しているとも明らかにした。さらにその次回は神奈川大学での開催を計画しているという。
11件の研究発表を3つの分科会で実施
研究大会は午後1時40分から4時10分にかけて、4回の分科会(一部分科会は3回)を実施した。各分科会は507教室・505教室・506教室の3会場に分かれ、発表20分・質疑10分の形式で進行した。
第1分科会(507教室、司会:須賀忠芳会員)では、島川崇会長が「観光のソフトパワーからハードパワーへの転化とその含意」を発表。パラオにおける中国からの観光需要の急増と停止が外交圧力として機能した事例と日本との比較から、観光が政治的資源として機能しうることを論じた。続いて万浪靖司会員(静岡産業大学)が「観光人材育成における産学連携課題解決プログラムに関する考察」を発表。OODAループ思考法を活用したプロジェクト推進フレームワークの実践について報告した。安本宗春会員(追手門学院大学)は「観光資源化による価値再創造と小規模観光事業」として、新潟県佐渡市出身の若手起業家が2024年に設立した株式会社SENN Hotel Groupが築100年以上の古民家を一棟貸し型農家民宿として再生する事業モデルを取り上げた。最終回では徳江順一郎会員ら評価・格付チームが「2026年度 日本ホスピタリティ観光学会『宿泊施設の評価・格付』結果発表」として、東京都23区内の宿泊施設を対象とした評価結果を発表した。
第2分科会(505教室、司会:神田達哉会員)では、崔瑛会員(神奈川大学)が「観光地におけるエリアマネジメント組織の取り組み」を発表。カナダ・トロント市やイギリスの事例を踏まえ、DMO(観光地マネジメント組織)とエリアマネジメントの役割分担について考察した。宮城博文会員(日本大学)は「観光従事者における観光開発への参加・協力意図について」として、静岡県伊豆地域の観光従事者199名を対象とした調査結果を報告した。前馬真志会員は「ホテル業における初期リテンションの形成プロセス」として、ホテル業従事者13名へのインタビューを修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチで分析し、「居場所感」や「ロールモデルの存在」が職業継続意思の形成に重要な役割を果たすことを明らかにした。木本和男会員(株式会社農協観光/駿河台大学)は「観光産業における内部統制・ガバナンスの重要性に関する一考察」として、IIAの3ラインモデルやCOSOのフレームワークを用いた観光産業でのガバナンス体制の必要性を論じた。
第3分科会(506教室、司会:矢嶋敏朗会員)では、松永光雄会員(東洋大学)が「観光地における不動産リスク」として、リゾートマンション等の管理不全問題と「空き家特措法」を活用した行政代執行の必要性を提起した。冨吉光則会員(川口短期大学)は、2026年2月4日に羽田空港で開催した「第1回空港グランドハンドリング 1 day Workshop」の成果を報告。25大学から78名が参加したグラハン業界初のイベントで、学生の職種別関心に明確な変化が見られたことを定量的に示した。尾川佳子会員(桜美林大学)は「体験型インバウンド観光による地域活性化の可能性」として、東京都八王子市中町を舞台に6ヶ国12名が参加したモニターツアー「GOGO HACHIOJI」の実践と成果を報告した。参加者満足度・再参加意向ともに100%という結果を得たとしている。
基調講演はトキエア社長 地域航空の挑戦をテーマに
全体会(午後4時20分〜)では、株式会社トキエア代表取締役・長谷川政樹氏が「新潟発の地域航空会社の現状と今後について」をテーマに基調講演を行った。新潟を拠点とするリージョナル航空会社として地域間の新たな交流を生み出す取り組みについて語った。
研究大会終了後の午後6時からは、新潟市中央区古町通八番町の「海老の髭」(会場から徒歩3分程度)にて懇親会が開催された。長谷川社長も同席した。
翌24日(日)にはエクスカーション(事前申込者対象)も実施された。
学会概要・2026年度の事業計画
同学会は2026年度(第2期)から、旅行業務取扱管理者試験対策講座を新たに実施している。運営は株式会社イングが担当し、受講者数は14名。また今年度の論文集は9月上旬にエントリーを開始し、翌年2月上旬の発行を予定している。年報は3月中旬の投稿締め切り後、5月中旬の発行を目指す。アカデミアサロンは年間2回程度の開催を予定している。
2027年度の総会・研究大会は5月中旬、首都圏にて開催予定とされている。
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学会名称:日本ホスピタリティ観光学会(Nippon Hospitality & Tourism Academia)
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会長:島川崇(神奈川大学国際日本学部教授)
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会員数:73名・2団体(2026年5月23日時点)
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公式ウェブサイト:https://www.nhta.jp/
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事務局所在地:東京都中央区八丁堀2-3-9 H10八丁堀(一般社団サービス連合情報総研内)
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問い合わせ先:info@nhta.jp





