東京都と淑徳大学は6月10日、「地域が誇る自然資源を活かした観光経営人材育成講座」(TOKYO SUSTAINABLE TOURISM 2026)の受講者募集を開始した。2026年9月1日から12月19日まで全12講座を実施する。受講料は無料。対象は東京都内在住または在勤で、観光関連の活動や事業に従事する・従事したい方、自然資源を活かしたツーリズムで観光まちづくりを志す方またはご興味がある方。定員は20名程度。
本講座は、東京都が観光関連事業者の経営力向上と観光産業の活性化を目的として実施する「大学等と連携した観光経営人材育成事業」の一環だ。淑徳大学は2024年度より同事業の連携大学に選定されている。
「持続可能な観光」の担い手を育成 3つのフィールドワークが核心
講座の最大の特徴は、座学・オンデマンドにとどまらず、群馬・岩手・沖縄の3カ所でフィールドワークを実施する点にある。
「持続可能な観光(サステナブルツーリズム)の実現のためには、地域が誇る自然資源を活かした観光をマネジメントできる人材の育成が欠かせません」とカリキュラムは位置づける。観光の最前線で活躍する実務家を招聘し、観光経営という視座で学びを深めることが目的だ。
全12講座の内容
第1回:9月1日(火)オンデマンド配信
コーディネーターを務める淑徳大学経営学部観光経営学科教授・千葉千枝子氏が「過去の事業の効果・分析・目的」をテーマに講義する。千葉氏は観光ジャーナリストとしても活動し、東京都観光事業審議会委員や釜石市地方創生アドバイザーなどを歴任。中央大学卒業後、富士銀行、シティバンク、JTBを経て1996年に有限会社千葉千枝子事務所を設立した人物だ。著書に『観光経営学入門』(建帛社)などがある。
第2・3・4回:9月10日(木)〜12日(土)尾瀬かたしなネイチャー体験
群馬県片品村の尾瀬国立公園(尾瀬沼・尾瀬ヶ原)を訪れる2泊3日のフィールドワーク。「天上の楽園」ともいわれる冷涼な秋の尾瀬を、大清水・一ノ瀬休憩所を起点に散策する。初日はJR上毛高原駅9時30分新幹線改札口集合、最終日16時頃に同駅解散。宿泊は「尾瀬沼山荘」「東電小屋」(1室2名ないしは3名利用)。参加費有料、交通費は自己負担。
講演者は片品村村長の梅澤志洋氏。村長として現在3期目を務め、尾瀬国立公園をはじめとする自然環境を守りながら観光・農林業振興に力を注ぐ。大学卒業後は家業である旅館経営に携わった経験を持つ実務家でもある。レクチャーは東京パワーテクノロジー株式会社のネイチャーガイドらが担当する予定だ。
第5・6・7回:10月10日(土)〜12日(月・祝)みちのく潮風トレイルネイチャー体験
岩手県普代村・田野畑村・大槌町ほかを訪問する2泊3日のフィールドワーク。森、里、川、海のつながりから生まれた自然と、そこで紡がれた物語に触れながら4つのトレイルコースを歩く。自然との共生の実際などを学びつつ、雄大な太平洋に沿った旅となる。初日はJR盛岡駅西口バスロータリー11時集合、最終日16時頃に同駅解散。宿泊は「ホテル羅賀荘」「三陸花ホテルはまぎく」(1室2名ないしは3名利用)。参加費有料、交通費は自己負担。
講演者は(公財)さんりく基金・三陸DMOセンター長の中嶋英俊氏。1993年岩手県庁入庁後、東日本大震災発災時には空港課で国内線利用促進・国際線誘致を担当し、その後観光課で復興ツーリズムの推進や語り部団体の育成に取り組んだ。2025年からは(公財)さんりく基金に派遣され、みちのく潮風トレイルなどの地域資源を活用した誘客や三陸の観光地域づくりに当たる。レクチャーはNPO法人体験村・たのはたネットワーク、NPO法人吉里吉里国のスタッフらが担当する予定だ。
第8・9・10回:11月10日(火)〜12日(木)沖縄やんばるネイチャー体験
沖縄県那覇市・大宜味村・名護市を訪問する2泊3日のフィールドワーク。2021年に世界自然遺産登録された沖縄本島北部に広がる「やんばるの森」で、海とは異なるもうひとつの沖縄の自然を堪能する。北部有数の複合型リゾートホテルやテーマパークの視察・体験も行う。初日は沖縄ツーリスト本社会議室(ゆいレール「県庁前駅」から徒歩3分)14時集合、最終日16時頃に那覇空港(国内線)解散。翌日宿泊は「カヌチャリゾート」(1室2名ないしは3名利用)。参加費有料、交通費・初日宿泊費は自己負担。
講演者は3名。
1人目は沖縄ツーリスト株式会社代表取締役会長の東良和氏。早稲田大学卒業後、日本航空を経て米国コーネル大学ホテル経営大学院に留学しホスピタリティ経営学修士を取得。1990年沖縄ツーリスト入社、2004年代表取締役社長就任、2014年から現職。長年にわたり地域主導型の観光ビジネスモデルを追求し、コロナ禍で多額の債務超過に陥った会社をわずか2年でV字回復させた。「真の外貨獲得産業になるためには、第三国間観光のビジネスモデルの確立が急務」とする。2009年にはVISIT JAPAN大使に就任している。
2人目は(一社)沖縄観光DX推進機構理事長・淑徳大学経営学部観光経営学科客員教授の下地芳郎氏。明治大学法学部卒業後、沖縄県庁入庁。初代香港事務所長として香港を中心にアジア全般の観光客誘致を担ったほか、観光振興課長、観光政策統括監などを歴任。2001年の米同時多発テロや2011年の東日本大震災による沖縄観光の落ち込みの立て直しを担い、2013年には琉球大学観光産業科学部教授に就任。2019年から2025年6月まで沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)会長を務めた。
3人目は株式会社カヌチャベイリゾート代表取締役社長の白石武博氏。1962年沖縄県生まれ。早稲田大学卒業後に沖縄銀行入社、その後ハワイパシフィック大学で観光を専門的に学ぶ。2005年カヌチャベイリゾート代表取締役社長就任。2009年にはISO14001認証を取得し環境問題にも注力している。日本旅行協定旅館ホテル連盟会長、全国レンタカー協会副会長など多くの団体で要職を務める。
第11回:12月上旬配信(予定)オンデマンド2本
「自然資源を活かした宿泊施設についての分析」を淑徳大学経営学部観光経営学科教授の吉田雅也氏が担当する。吉田氏は東急ホテルチェーン、コンラッド東京、パレスホテル東京での実務経験を経て2015年より大学教員に転じた。著書に『図解即戦力 ホテル業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)がある。
同時期に「自然資源を活かしたレジャー施設等の分析」を淑徳大学経営学部観光経営学科学科長・准教授の黒羽義典氏が担当する。1998年立教大学大学院修了後、観光・レジャー産業の専門出版社においてレジャー・集客施設、観光地・地域活性化などに関する企画・編集、調査・コンサルティング業務に取り組み、2021年より現職。テーマパーク・遊園地など観光・レジャー施設の開発・運営手法の分析を専門とする。
第12回:12月19日(土)15時〜16時30分 対面
「観光経営人材育成とその重要性」をテーマに、(公社)日本観光振興協会理事長の最明仁氏が講演する。1985年日本国有鉄道入社後、JR東日本で鉄道営業、旅行業、観光事業に従事。日本政府観光局シドニー事務所を経て、JR東日本訪日旅行手配センター所長、本社観光戦略室長、ニューヨーク事務所長、国際事業本部長などを歴任し、2023年6月より現職。後半の総括・まとめはコーディネーターの千葉千枝子氏が担当する。会場は淑徳大学東京キャンパス3号館301教室(東京都板橋区前野町6-32-1)。
対面は最終日のみ、申し込みは6月10日から
開催形式は対面とオンデマンドの併用。対面(座学)の実施日は2026年12月19日のみで、それ以外の座学はオンデマンド配信となる。フィールドワーク3回は参加費が有料で、交通費は自己負担。定員は20名程度で、応募者多数の場合は希望に沿えない可能性もある。
募集開始は令和8年(2026年)6月10日(水)から。定員に達し次第締め切られる。
申し込みは専用サイト(https://questant.jp/q/TOKYO-2026)から行う。申し込み後、参加方法や講座内容の詳細、オンデマンド講座のURLが事務局から案内される。フィールドワークの詳細も申し込み後に配布される。





