NordVPNは7月14日、20カ国のインターネット利用者2万54名を対象とした調査「Life online 2.0」の結果を発表した。日本で「オンラインで個人情報を共有したことがない」と答えた人は34%と、調査対象20カ国で最も高く、20カ国平均(10%)の3倍以上にのぼることが明らかになった。
しかし実際には、会員登録や予約、本人確認といった日常的な操作自体が個人情報を渡す行為であり、「自分は出していない」という自己認識は実態と一致していない。
「共有したことがある」人でも入力情報は生年月日・氏名・住所が上位
調査によると、「共有したことがある」と答えた日本の利用者が実際に入力した情報として、生年月日(52%)、氏名(48%)、住所(42%)が上位に挙がった。
これらの共有率自体は他の19カ国と比べて低い水準だ。だが、会員登録や予約、配送先の入力といった操作はいずれも個人情報を渡す行為であり、日本だけ「共有したことがない」と回答した人がこれほど多いという結果は、共有しているという自覚のないまま情報を入力している人が少なくないことをうかがわせる。
2位のフランス・ドイツはそれぞれ14%。日本はこれを大きく上回り、最も高い数値を記録した。
危機感も20カ国で最低水準
「出していないつもり」という認識は、危機意識の低さとも重なる。
「自分の個人情報が知らないうちにネット上に出ているのではないか」と心配する日本の利用者は15%と、20カ国で最も低く、平均(28%)の約半分にとどまった。
「必要以上にアプリやサイトを信用しすぎているかもしれない」と考える人は9%で、平均(14%)を大きく下回り、最も低い部類となった。「個人情報を共有して後悔したことがある」と答えた人も5%にとどまり、平均(10%)の半分だった。
「心配していない」「信用しすぎていない」「後悔もない」という自己認識が、偽サイトへの警戒を弱める要因になりかねない状況だ。
お礼状まで郵送する精巧な偽ショップ網を特定
こうした「自分は大丈夫」という意識とは裏腹に、偽サイトの手口は年々高度化している。
NordVPNの脅威分析チームは海外で、人気トレーディングカードゲームに便乗し、正規販売店になりすます偽ショップ網を特定した。偽店はShopify上に構築され、正規店のデザインを精巧に模倣。InstagramやFacebook、Googleの検索連動型広告を通じて、収集家が特定のカードを検索した際に上位に表示されるよう誘導する。
手口の中心は2つの心理操作だ。「在庫残りわずか」といった偽の品薄表示で購入を急がせ、レイアウトや商品画像まで正規店をコピーするブランドなりすましで信用させる。
この詐欺の特徴は、決済後にある。一部の事例では、被害者の自宅に紙の「お礼状」が郵送され、正規の店と取引したかのような印象を与えることで、不審に思ってカードの利用停止(チャージバック)を申し立てるまでの時間を遅らせる。次回使えるクーポンやおまけを同封し、最初の商品を待っている間に”リピーター”に仕立てる狙いもある。
NordVPNは、広告の透明性ページや画像のハッシュ、サイトに埋め込まれた共通のトラッキングID(Google AnalyticsやMetaのPixel)を手がかりに、無関係に見える複数の店を単一の攻撃者による一連の犯行として突き止めた。ドメインを立ち上げては広告で集客し、決済を集めて閉鎖する”ヒットアンドラン”を繰り返す構造だという。
見た目の精巧さや購入後の”丁寧な対応”は、必ずしも正規事業者の証拠ではない。海外で確認されたこうした手口は、国境を越えて日本の利用者が目にする可能性もある。
NordVPNの最高技術責任者(CTO)マリユス・ブリエディス氏は次のようにコメントした。
「収集家は、自分が買おうとしているものに感情移入しています。レアなカードを追いかけている人は、立ち止まってサイトを精査するような心理状態にはありません。攻撃者はそれを分かったうえで狙っています。彼らが突いているのは、技術的な脆弱性ではなく、感情的な脆弱性なのです。」
夏季は個人情報の入力機会が増加する時期
夏季は、旅行・宿泊予約、レジャーやイベントのチケット購入、ECのセール、限定商品の購入など、氏名・住所・生年月日・決済情報を入力する機会が一年のうちでも増える時期だ。
「残りわずか」「期間限定」といった表示は、利用者が内容を十分に確認しないまま入力・決済を進める一因となる。急ぐほど、運営元を確認する余裕は失われがちだ。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)をはじめとする関係機関も、旅行や長期休暇が増えるこの時期に合わせ、情報セキュリティ上の注意を例年呼びかけている。
入力前に確認したい3つの習慣
NordVPNは入力の前に確認したい習慣として、以下の3点を挙げた。
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URL・運営元を確認する:ログイン情報や決済情報を入力する前に、URL、ドメイン、会社名、表示内容に不自然な点がないかを確認する。少しでも違和感があれば、リンクをたどらず、公式アプリまたは公式サイトを直接開く。
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求められる情報が妥当かを確認する:予約や購入に不要と考えられる生年月日、本人確認書類、銀行情報などの入力を求められた場合は、そのサービスに本当に必要かを確認し、不要な入力は避ける。
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「品薄」「今だけ」の表示で判断を急がない:カウントダウンや在庫僅少の表示は購入を急がせる手法であり、それ自体が急ぐ理由にはならない。あわせて、OSやアプリを最新の状態に保ち、多要素認証を利用する。
「怪しいサイトは見ればわかる」「自分は個人情報を出していない」という思い込みが強いほど、巧妙な偽サイトの前では警戒が働きにくくなる。価格や在庫、サイトの見栄えだけで判断せず、入力の前に運営元を確認することが重要だとNordVPNは訴えている。
調査概要
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調査名称:Life online 2.0(Lifetime online #2)
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調査期間:2026年4月1日〜17日
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調査対象国:日本、米国、英国、オーストラリア、カナダ、ブラジル、メキシコ、韓国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、オランダ、スウェーデン、フィンランド、オーストリア、スイス、ポーランド、リトアニア、アイルランドの20カ国
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対象者:各国のインターネット利用者(18〜74歳。メキシコおよび韓国は18〜64歳)
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サンプル数:合計2万54名。原則各国約1,000名、アイルランド・韓国・スペイン・スイスは各約800名
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調査方法:年齢、性別、居住地に基づく割付を行った全国代表サンプルへのオンライン調査
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調査機関:Cint、Syno International(オーストリア、スイス)、Norstat(リトアニア、ポーランド)




