「交流メディア」で需要創出 企業プロモーションを拡張
――2025年度のビジネスソリューション事業の実績は。
営業利益ベースで計画比104%、前年比118%ということで、ビジネスソリューション事業ユニット全体として目標を達成することができた。取り扱い領域別では、ミーティング&イベント(M&E)、そして、企業などの商品・サービスに関するプロモーション、この2事業が前年比を大幅に超えた。
事業規模のシェアとしてはM&Eが大きく、この事業をいかに進化させていくかが課題だ。昨年度は、企業の周年事業などの需要が旺盛だったことに加え、大阪・関西万博を軸に多様な事業領域を活用した顧客課題解決を実現することができ、M&E、プロモーションなどわれわれの提供価値に磨きをかけることができた。
――印象的な案件は。
M&Eの領域とプロモーションの領域を複合的に組み合わせて課題を解決した取り組みとして、25年8月に実施した日清食品様の「日清焼そばU(46)F(46)O(46)ソースエクスプレス」というイベントがある。JR東海様の協力で、東海道新幹線の車両内で焼そばを食べるテレビCMのシーンを実際に再現し、非日常の体験価値の構築を提案して実現させたものだ。
商品のファンなど約50人に新幹線の貸し切り車両内で焼そばを召し上がっていただいた。さらに、車両内に広がった焼そばの香りは、花王様に協力してもらい、「リセッシュ除菌EX ワイドジェット ストロング」で消臭するなど多様な関係者をつなぎ、新たな空間を創造していくイベントだった。多くの方々との力強いパートナーシップがあってこそ成し得たイベントで、メディアにも広く取り上げられた。
――ビジネストラベルの状況はどうか。
出張旅行の領域は、先行き不透明な国際情勢が海外出張に影響するなど難しい環境下であったが、グループ会社のJTBビジネストラベルソリューションズにおいて、出張管理・経費精算システムを全面的にリニューアルし、新ブランド「ビズバンス」として本格的なサービス提供を開始した。これまで社内で出張管理を行っていた企業がその機能を切り離す動きが出ており、昨年はそうした中での需要を取り込みながら総量を増やす戦略で、ビジネストラベル事業として大きく進捗(しんちょく)する結果となった。
――26年度、特に力を入れていく分野は。
プロモーションだ。事業規模はまだ小さく、拡大のスタートラインに立ったばかりだが、ここを拡張させていく。先ほどの日清食品様のイベントのように、プロモーションに活用させていただくあらゆる「場」や「体験シーン」をわれわれは「交流メディア」と総称している。以前は「旅メディア」と呼んでいた。もちろん旅館・ホテルなども交流メディアになり得る。平日に使われていないスペースや宴会場を企業のプロモーション、サンプリングの場として活用させていただくなど、JTBが長年取引させていただいてきたパートナーの皆さまと交流メディアによる体験価値を具現化することで、新たな需要を生み出していきたい。
交流メディアを活用したプロモーション事業の課題は、クライアントに対する「効果の説明責任」をいかに果たすかだ。今年、データ分析事業を展開するナイトレイ社をJTBグループに迎えたが、イベント来場者の人流データなどの分析を通じて、交流や体験の価値を可視化することで、JTBの提供ソリューションとその施策効果に関する説明責任を強化していきたい。
――JTBグループの長期ビジョン「OPEN FRONTIER 2035」では、グローバルが一つのテーマだが。
まずアジアでのM&Eに注力していく。日本型のM&Eの演出や運営手法はアジア需要との親和性が高い。シンガポール、クアラルンプール、バンコクを中心に、現地の実情に合わせてカスタマイズしながら、人財を現地に派遣し日本式のホスピタリティと営業スタイルを融合させていく。また、訪日を起点としたM&Eだけでなく、例えば、アジア発で欧米を目的地とするミーティングや視察旅行といった案件にも対応できると考えている。
北米でのM&Eについては、グループ会社のMC&Aと連携し、発着連動でお客さまに価値を提供していく。また、中東については、昨年、UAE(アラブ首長国連邦)のドバイに支店を開設した。イラン情勢の影響を受けたが、中東に拠点を置く法人のM&Eなど、法人向けのビジネスソリューション事業を戦略的に拡大していく。
――旅ホ連との連携については。
2年ほど前に旅館・ホテルに正対する部署として「パートナーエンゲージメント推進部」を設置した。われわれの手配セクションを集めて構築した組織だったが、今年、規模を拡張し、新たにM&E課を新設した。従来は関係施設の対応窓口、営業パーソンの支援が主だったが、M&Eの本質的な品質を高める提案機能、俯瞰(ふかん)的なデータ分析を行う機能を追加した。
旅ホ連の加盟施設に対しては、各営業個所を通じた相談に加え、パートナーエンゲージメント推進部を窓口とした分かりやすい体制を整えている。施設の皆さまと営業パーソンが一堂に介するコミュニケーションイベントも年に数回企画しており、先ほど申し上げた交流メディアとしての連携を含め、エンゲージメントをさらに深めていきたい。
そしてもう一つお願いしたい点が、宿泊施設におけるサステナビリティについてだ。M&Eでは、提案書にサステナビリティへの取り組みの記載がなければ、企画提案の土俵にも乗らないケースが増えつつある。MICE施設などに対しては、M&Eに特化したサステナビリティの説明会を3月に開催し、約25施設にご参加いただいた。宿泊施設の皆さまとも今がまさに挑戦すべき好機であることを共有し、サステナビリティを価値に変えていく取り組みを一緒に進めていきたい。

渡辺氏




