桜井氏
観光客が滞在したくなる地域資源の三つの結び方
地域資源を集客のために観光資源に昇華させ、さらに体験型観光プランのようなアクションしやすい形で提供することは多くの地域で行われている。しかしそれらが本当に「継続発展するか?」というとそうとも限らない。「再訪したらもう終わっていた」という声は後を絶たない。そこで、コンテンツ創出者は企画商品や観光資源を打ち出す際に「これを継続発展させるには?」と立ち止まって、観光客が再訪したくなるための工夫をしてほしい。具体的には「物語化」「パッケージ化」「シリーズ化」という観光資源を結ぶ三つの編集手法のどれかにのっとることだ。いずれも私が旅行情報誌編集長時代に練り込んだ「勝ちパターン」だ。
まず「物語化」である。難しく考える必要はない。物語の必須要素は「作り手、主役、メッセージ」だ。この条件下で、複数の要素をつなげることで物語は成立する。物語が生まれると、単なる「要素の羅列」では醸成されない、旅行客の感情変容を導く。リピート戦略の最初の一歩にこそふさわしいが、注意点が一つある。それは「作り手」が過小意識されがちであることだ。観光商品の質を左右するのは、実は「作り手」の視点である。作り手が価値を見いだし、意味を編むことで初めて物語は成立する。作り手を任じる場合は、その自覚をもって地域の観光振興と運命を共にする覚悟が求められる。
次に「パッケージ化」である。物語が作れなくても、パッケージは作れる。商品を単体で展示・販売するのではなく、「詰め合わせセット」にすると消費者の食指は動く。それぞれの商品の「いいとこどり」や「季節の」「人気ベスト10を集めた」などコンセプトの強さ次第で一つの新しい価値提示と強い訴求が同時にかなう。最大の利点は、穴場や無名のものもパッケージに混ぜ込むことで顧客接点が高められること。いわゆる「同じ土俵にあげられる」のだ。地域の観光振興では使い勝手がいい。
最後に「シリーズ化」である。シリーズ化の要点は、商品の構成を二分して考えておくことにつきる。変えないものと変えるものだ。「一話完結」系の連続ドラマがその典型だ。往年の人気長寿ドラマ「水戸黄門」の存在が千語に勝る。観光振興では「季節性」「周年性」など、変える部分を設計する強力な軸も武器に使える。
地域資源は結び方次第で、何度でも訪れたくなる魅力に変わる。次の企画を考えるとき、この三つの視点をぜひ活用してほしい。観光振興とは、その結び方を設計する営みなのである。

桜井氏




