「ピーカンナッツ100年の森プロジェクト」植樹会での記念撮影
KNT―CTグループでは、国内各地の自治体をはじめとする地域と連携した各種取り組みを推進している。ここでは、2025年度に同社グループが取り組んできた地域連携の事例を紹介する。
東日本大震災の発災から15年 農業創生で復興支援に参画
KNT―CTグループでは、東日本大震災の被災地への応援ツアー実施などを通じた復興支援に取り組んでいる。グループ傘下の近畿日本ツーリスト商事も、これまで「ピーカンナッツチョコレートシリーズ」などを提供するサロンドロワイヤル(大阪市)、岩手県陸前高田市、東京大学の3者が共同で農業創生などに取り組む「ピーカンナッツプロジェクト」を支援してきた。今年は3月で東日本大震災の発災から15年を迎えたことから、3者が取り組む「ピーカンナッツ100年の森プロジェクト」にKNT―CTホールディングス(HD)が参画。5月17日には、被災後15年間手付かずだった陸前高田の土地にピーカンナッツの苗木を植える植樹会が開かれ、近畿日本ツーリスト(KNT)、クラブツーリズム(CT)、近畿日本ツーリストブループラネット(BP)、近畿日本ツーリスト商事の役員をはじめとする関係者が参加した。
同プロジェクトは、ピーカンナッツの国内での生産・流通を拡大することで、日本の農業再生と地方創生を目指すというもの。ピーカンナッツは100年以上実をつけ続ける長寿の木といわれており、被災地にピーカンナッツの苗木を植えることで、100年続く「希望の森」を創る。
植樹会には、陸前高田市の佐々木拓市長も参列した。植樹会後は、各社の役員らは高田松原津波復興祈念公園で東日本大震災津波伝承館や「奇跡の一本松」などの視察を行い、震災犠牲者への追悼を行った。
KNT―CTグループは、同プロジェクトでの活動を震災復興の歩みを未来へつなぐ社会貢献活動と位置付け、継続的な地域支援としてオリジナル商品の開発や新たなツアー造成に取り組む方針としている。

「ピーカンナッツ100年の森プロジェクト」植樹会での記念撮影植樹会での記念撮影
各自治体と連携協定 産業振興など課題解決
KNT―CTホールディングス(HD)は、自治体との包括連携協定の締結を推進している。昨年10月10日には、岐阜県高山市と観光振興や地域活性化に関する包括連携協定を締結したほか、今年3月11日には島根県と、地域活性化と県民サービスの向上を図る目的で包括連携協定を締結した。KNT―CTグループの各社から社員が地域に入り、自治体ごとに抱える課題の解決を目指してさまざまな取り組みを行っている。
高山市とは、(1)観光・イベントを通じた観光振興に関する事項(2)産業・経済・文化・歴史・スポーツの振興に関する事項(3)地域の魅力発信および地域経済の活性化に関する事項(4)国内外向けの旅行商品・観光商品の企画開発および販路拡大に関する事項(5)松本高山Big Bridge構想実現プロジェクトに関する事項(6)その他目的達成に必要な事項―の六つを連携項目に設定した。今後の具体的内容は都度協議を行い、決定していくという。
両者による連携協定は今回が初。高山市の観光資源を活用した関係人口の増加、相互情報共有によるニーズの把握・活用により、観光振興、地域活性化、住民生活の向上を目指すとしている。

岐阜県高山市との包括連携締結式の様子(左から田中明市長、KNT-CTHDの小山佳延社長)
島根県とは、(1)環境配慮への取り組み(2)地域産業の振興・支援(3)県産品の販路拡大(4)地産地消の推進および地域ブランドの育成(5)観光振興(6)地域や暮らしの安心・安全および災害対策―の6項目で連携する。県産品の販路拡大や観光振興など、多岐にわたる分野で業務提携や協働事業を推進。地域が抱える各種課題に迅速かつ的確に対応する。
島根県ではこれまで、クラブツーリズム(CT)が同県の地域活性の取り組みに参画してきた。2021年4月からは、島根・鳥取両県を対象エリアとした山陰インバウンド機構に職員1人を3年間派遣。22年4月からは、松江市を含む中海・宍道湖・大山圏域観光局と地域資源を生かした包括的連携協定を締結した。21年と同様に3年間限定で職員を1人派遣し、各種商品造成を行った。
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このほか、KNT―CTHDが展開する「未来創造事業」で自治体と連携する動きもある。昨年12月24日には、サウナを中心に町の魅力発信を目指す北海道上富良野町と「観光振興及び地域活性化に関する包括連携協定」を締結。町内の温浴施設・吹上温泉保養センター「白銀荘」で、同社が運営するチル検索サイト「Chill+(チルプラス)」とのコラボグッズを2月から発売した。情報共有を通じて地域や旅行者のニーズを捉え、上富良野町の観光振興・地域活性化を目指している。
Chill+は、同社が未来創造事業の一環で展開する観光関連施設の検索サイト。サウナや宿泊施設、飲食店など、“心地よい空間”を多数掲載している。今年度からは事業を拡大。ECサイト機能を追加し、オリジナルグッズをサイト上で販売することも決定している。地方自治体などとの連携も強化し、現地消費額の拡大や持続可能な地域活性に貢献する方針だ。
上富良野町との提携はその第1弾として実現。「サウナを中心とした町の魅力を発信し、地域を元気にしたい」という上富良野町の思いと、Chill+の理念が一致したことから締結に至った。
多くのサウナ愛好家から「北の聖地」と称される白銀荘とChill+のコラボグッズも制作した。締結の翌月からは、サウナブームの火付け役として知られるタナカカツキ氏デザインのオリジナルTシャツやタオルなどを、白銀荘の売店で発売。上富良野町と連携したChill+会員向けのイベント開催も実施予定としている。
「道」体験の新商品も 訪日地方誘客に貢献
KNT―CTホールディングス(HD)は、訪日客を地方分散させるための取り組みも積極的に行っている。今年2月には、日本の芸道・武道などの「道」体験を、現代的ウェルネスとして訪日客向けに提供する新サービスを開始。体験予約サイト「JAPAN道ウェルネス」も開設し、さまざまな体験コンテンツを発売した。急増する訪日外国人旅行者の多様化するニーズに応えるほか、国内各地を巡りながら多様な「道」体験に触れる新たな訪日観光の形も視野に入れる。

「JAPAN道ウェルネス」のサイト
同サービスも「未来創造事業」の一環で開発。訪日客の和文化体験需要に対応するだけでなく、現代人が抱える多様なストレスにも向き合い、心身を整える体験を提供。表層的な体験コンテンツの提供にとどまらず、自社のリソースやノウハウ、パートナーネットワークを生かし、奥深い本質に触れる魅力を国内外に発信する。
すでに販売した商品は、日帰りで楽しめる東京都と愛知県の寺コンテンツなどがある。東京では、品川区の春雨寺で「寺BARでの進化系流麗茶道&クラフトシガー体験」を、愛知では、豊田市の浄照寺で「文化財寺院貸切でのローカル生活文化没入体験」を販売した。今後は宿泊型プランの増設や、越境ECによる物販、オンラインレッスンイベントも順次開始予定で、体験が一過性に終わることのないよう、日常への定着も図る。
さらに、各地の寺社や道師範と連携し、地域ごとの特色を生かした体験コンテンツを結ぶ「地域連動型モデル」の構築も視野に入れている。全国各地を巡りながら多様な「道」体験に触れる新たな文化的動線を創出。交流人口を増やすことで、檀家・氏子の後継者や、担い手不足による寺社の消滅、伝統産業の衰退、オーバーツーリズムといった社会課題の緩和にも寄与していく方針だ。




