四国を訪れる欧米豪旅行者、88%が「魅力的」と評価 2年連続調査で滞在長期化も浮き彫りに


 株式会社日本政策投資銀行(DBJ)四国支店と一般社団法人四国ツーリズム創造機構(四ツ創)は2026年5月、「四国を訪れる欧米豪の外国人旅行者に関する調査報告書(2025年調査)」を公表した。

 2024年に締結した協定に基づき、2025年も対面によるアンケート調査を実施。四国内8カ所の観光地で延べ46日間にわたって調査員が英語で聞き取りを行い、459サンプルの有効回答を得た。

 四国全体の総合的な魅力度について「とても魅力的」「魅力的」と回答した割合の合計は88.3%で、2024年の88.2%とほぼ同水準を維持した。一方、「とても魅力的」の割合は2024年の51.9%から2025年は58.0%へと6.1ポイント増加しており、四国をより強く魅力的と感じている旅行者の比率が高まっていることが示された。

居住国はドイツ・フランス・豪州が上位、20〜30代が過半

 回答者の居住国は「ドイツ」15.5%、「フランス」14.4%、「オーストラリア」12.0%の順で、2024年に続きトップ3は変わらなかった。「アメリカ」と「カナダ」の構成比は前年からわずかに減少した。

 年代は「30代」が33.6%と最も多く、「20代」18.5%と合わせると52%超を占め、若い世代が訪問者の主力となっている。

 同行者数は「2人」が61.2%と最も多く、同行形態は「夫婦・パートナー」が58.3%でトップ。性別では「男性」が54.9%と女性を上回った。

 四国訪問経験は「初めて」が85.6%と依然として高いものの、2024年の90.7%から5.1ポイント低下し、「2回目」が6.5%、「3回以上」が3.9%へといずれも増加。リピーター比率が緩やかに上昇している傾向が見られた。

「西日本周遊」型が最多、万博が大阪からの来訪を後押し

 訪日旅行プランは「四国を含む西日本への訪問が主な目的」が32.0%で最多。次いで「四国への訪問が主な目的」が25.3%となり、前年の16.6%から8.7ポイント増加した。この増加の背景として、2025年に開催された「瀬戸内国際芸術祭2025」の寄与が考えられると報告書は指摘している。

 四国訪問直前の訪問地は、2024年の「広島」最多から2025年は「大阪」最多に変化した。大阪・関西万博が集客に影響したと推察される。

 交通手段は「鉄道」が34.2%で最も多く、前年比4.2ポイント増。次いで「レンタカー」24.4%、「フェリー」10.7%と続いた。フェリーは前年比3.5ポイント減少した。

 県別の特性も明確で、徳島県は直前訪問地として「大阪」「神戸」の割合が他県より高く関西との結びつきが強い。愛媛県は「広島」の割合が他県を約10ポイント上回り、広島との往来が顕著だった。香川県は「岡山」経由、高知県は「大阪」「京都」からの来訪が目立った。

滞在日数が長くなるほど体験コンテンツ増加、消費額も上昇

 訪日旅行日数は「31日以上」が24.0%と前年から増加し、全体として長期化の傾向が見られた。四国滞在日数も「4〜7日」が43.4%(前年比6.3ポイント増)、「8〜14日」が18.3%(同4.3ポイント増)と増加した一方、「3日以内」は26.6%(同9.7ポイント減)と減少しており、滞在の長期化が進んでいる。

 四国での体験コンテンツについては、滞在日数が長くなるほど「温泉入浴」「旅館に宿泊」「自然体験(サイクリング)」「アートの島巡り」「四国遍路」などの体験比率が上昇することが確認された。体験コンテンツの充実が滞在日数の長期化につながるとも言える、と報告書はまとめている。

 消費額との相関も明確で、四国消費額が増えるほど多くのアクティビティを体験している傾向が示された。

四国遍路・直島は滞在長期化と消費増の両方を促進

 四国遍路を経験した旅行者(全体459人中83人)の四国滞在日数は、全体の「3日以内」26.6%に対し7.2%にとどまり、「15〜21日」が21.7%、「22〜30日」が15.7%に達するなど、滞在が大幅に長期化していた。

 消費額についても、四国遍路経験者の1人あたり四国消費額は約24万9000円と、全体の約15万6000円を大きく上回った。四国の総合的な魅力度についても「とても魅力的」「魅力的」の合計が90.4%と、全体の88.3%を超えた。「四国遍路」そのものの魅力度では「とても魅力的」「魅力的」の合計が72.3%に達し、全体の33.8%と比較して38.5ポイントも高かった。

 直島訪問者(84人)の場合も、四国滞在日数「8〜14日」が29.8%、「15〜21日」が19.0%と長期滞在者の割合が高く、1人あたり四国消費額は約19万8000円と全体より約4万円高かった。「アート」の魅力度では「とても魅力的」「魅力的」の合計が75.0%と、全体の48.1%を27ポイント近く上回った。

万博きっかけの来訪は全体の15%、関西との連携の有効性を確認

 大阪・関西万博をきっかけに訪日し、あわせて四国を訪れた旅行者は回答者全体の約15%(71人)を占めた。

 この層の訪日旅行消費額は1人あたり約66万2000円と全体(約63万9000円)を上回るものの、四国消費額は約13万7000円と全体(約15万6000円)を下回った。四国滞在日数の観点でも、四国遍路や直島訪問者のような長期滞在にはつながっておらず、「4〜7日」の比率が高い傾向が見られた。

 報告書は、関西など周辺地域との連携を通じた誘客施策が四国観光において有効であると指摘している。

キャッシュレス・多言語・公共交通の整備が課題

 四国滞在中に何らかの困りごとがあったと回答した割合は32.5%に上った。

 具体的な内容は「キャッシュレス決済(クレジットカード等の利用)ができなかった」が10.2%でトップ。「多言語表示が少なかったり、わかりにくかった」9.4%、「公共交通がなかったり、便数が少なかった」7.2%が続いた。

 困りごとのある割合は滞在日数が長くなるにつれて高まる傾向があり、31日以上の長期滞在者では「キャッシュレス決済ができなかった」が33.3%、「多言語表示」「公共交通」もそれぞれ16.7%と突出して高かった。

 消費額別では「キャッシュレス決済」の問題が6万〜10万円未満の層で15.1%に達するなど、消費額が高い層ほど決済環境に対する不満が高まる傾向が見られた。

 訪日旅行の経験が多くなっても困りごとが減るわけではなく、むしろ経験を重ねた旅行者ほど決済環境など滞在の質に対する期待水準が高まっている可能性がある、と報告書は指摘している。

コンテンツ別の魅力度は全項目で改善

 コンテンツ別の魅力度(「とても魅力的」「魅力的」の合計)は全項目で前年から増加した。「自然」が94.1%(前年92.9%)で最高水準を維持。「伝統的な建造物(城、古民家、庭園)」が84.3%(同81.1%)、「日本文化の体験」が80.6%(同74.4%)、「食事(郷土料理、地酒)」が80.4%(同75.9%)と続いた。「アート」は48.1%(同43.4%)と、他項目と比較すると低いものの前年から4.7ポイント増加した。

 来訪動機では「自然・景勝地観光」が73.0%で最多。「四国の歴史を知る、建造物、城、古い町並みを見る」が48.8%(前年比8.4ポイント増)、「サイクリング」が19.8%(同6.8ポイント増)と増加幅が大きかった。

情報源は「知人・友人の紹介」が首位、SNSも増加

 四国に関する情報源は「知人・友人の紹介」が31.8%で最も高く、前年比3.8ポイント増加した。次いで「旅行ガイドブック・雑誌」22.7%(同3.4ポイント増)、「SNS」17.2%(同3.0ポイント増)が続いた。一方、「旅行会社ホームページ」は5.6ポイント減少した。

 今回の調査は2025年9月から10月にかけて、徳島県(祖谷のかずら橋・大鳴門橋遊歩道渦の道)、香川県(栗林公園・金刀比羅宮)、愛媛県(道後温泉本館・松山城)、高知県(高知城・桂浜)の8カ所で実施された。調査は対面形式(英語)で行われ、各調査場所・日程に2名の調査員を配置した。

 
 
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