【口福のおすそわけ600】丘の上のワイナリー・レストラン~後編~ 竹内美樹


 小諸市の、ワイナリーやレストランの複合施設STARRACE KOMORO(スタラス小諸)。その鉄板焼「Shu」でいただいたシャルドネは「en.」という名前。前出の小船睦巳氏いわく、ネーミングの由来は、さまざまなご縁に恵まれ、この地でワイン造りができることへの感謝を表したという。

 彼らが、日本でしか造れないワイン造りを目指し、日本中で適した環境を探し回り始めたのが、2016年。そして、ついに小諸という土地に出会う。北に浅間山、南西に千曲川が流れる豊かな自然と、国内屈指の晴天率を誇り、豊富な日射量と大きな寒暖差があり、ブドウ栽培に非常に適している。そこで、耕作放棄地をブドウ畑として蘇らせようと決意したのだ。

 まずは2019年、たった2人で1ヘクタールの耕作放棄地の開拓を始めたそうだ。岩盤の多い土地柄でもあり、耕作放棄地は畑というよりむしろ雑木林になっていて、当初は重機もなく、スコップやチェーンソーなどでの手作業。開拓は困難を極めたようだ。徐々に重機も充実し、ワイン造りに情熱を捧げる仲間も増え、現在は小諸市内に10カ所以上のブドウ畑を有するまでに成長。2021年に、初年度に植えた畑から初収穫し、ワイン造りがスタート。ついに、2023年Komorokko Farm&Wineryがオープンしたという。

 ラベルデザインにも想いを込めた。前号でご紹介したコンクリート・エッグに守られ、熟成して行く様子を表現したいと、小船氏自ら色を重ね、最後に本物のコンクリートまで塗るこだわりよう。もはやここでしか造れない、唯一無二のワインといえよう。

 さて、そのお味は? 爽やかなかんきつ系の香りと、思いの外ふくよかな味わい。あまり白ワインを好まない真ん中の妹が、コレはおいしい♪と喜んでいた。初リリース2023年に続く2024年ヴィンテージだったが、今後がますます楽しみである。

 お食事は「信州」コース。アミューズはグラス入り一口サイズのトマトのカプレーゼ。前菜盛り合わせは、マッシュルームのブルーチーズ焼きと季節野菜のピクルス、ローストビーフずし。スープは大根のポタージュ。コレが絶品で、濃さやうまみのバランスが最高♪ 焼き野菜はナスとカボチャとシメジで、それぞれ味付けが施され美味。自家農園や地元の野菜が多いのが同店の特徴だ。

 メインは信州プレミアム牛。美しいサシの入ったサーロインを、ミディアムレアに。仕上げのフランベは、炎の高さが圧巻! 赤坂シェフと、眉毛が焦げませんでしたか?なんて会話が弾む。モチロン、ワインも進んじゃう♪ 2本目は「~P~」というシリーズのメルローを選択。果実味も野性味もあり、いろいろなニュアンスを感じるワインだ。締めは、王道のガーリックライス。出来上がっていく様子も楽しめて、大満足♪

 愛犬と鉄板焼に行けるだけでもうれしいのに、大好きなワインの醸造家のお話も伺えて、極上な一夜となった。出会いに乾杯!

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
 
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