東日本旅客鉄道(JR東日本)は5月8日、気仙沼線BRTの柳津駅〜水尻川AP間の専用道において、自動運転レベル4の走行を2026年5月より実施すると発表した。最高速度約60km/h、走行距離約15.5kmは、国内のバスによるレベル4の自動運転で最速・最長となる。乗車を希望する人は無料で体験できる。
JR東日本は2018年度から自動運転バスの実証試験を進めてきた。2025年度に東北運輸局から「走行環境条件の付与」、宮城県公安委員会から「特定自動運行許可」といった各種認可等を取得。東北地方でのレベル4の自動運転に関する認可等の取得は同社が初めてだ。
専用道で人間の監視不要 東北初の認可
自動運転レベル4とは、一定の条件下においてシステムがすべての運転操作と緊急停止を行うもので、運転士の監視・介入が不要な水準だ。国土交通省の区分によると、レベル5が「いつでも、どこでも、無人運転」であるのに対し、レベル4は「一定の条件下で自動運転(条件外でも車両が安全確保)」とされており、実現できることとして無人運転などが挙げられている。なお、気仙沼線BRTでは当面は運転士が乗車する形態で実施する。
今回の走行を支える主な技術のひとつが、磁気マーカによる自車位置認識技術だ。BRT専用道内に約2mごとに磁気マーカを埋設し(約10mごとにRFID付き)、車両に搭載した磁気センサがその磁力を検知することで自車位置を高精度に認識する。RFID付き磁気マーカを用いることで、車両が「今、ルート上のどの地点にいるか」という絶対位置を瞬時に認識することが可能だ。GNSS位置情報を受信しにくいトンネル内でも自車位置認識が可能で、安定した走行を実現するとしている。
車両にはLiDAR、単眼カメラ、磁気センサの3種類のセンサ等が搭載されている。LiDARはレーザーで物体までの距離と形状を識別する装置、単眼カメラは物体の特徴を把握するための単一のカメラ、磁気センサは前述の通り磁気マーカの磁力を検知して自己位置を推定するセンサだ。バスの側面には「AUTOMATED DRIVE」と表示される。
5月29日から7月4日の毎週金・土 無料で乗車可能
走行の実施日は以下の通りだ。
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2026年5月29日(金)、30日(土)
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2026年6月5日(金)、6日(土)、12日(金)、13日(土)、19日(金)、20日(土)、26日(金)、27日(土)
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2026年7月3日(金)、4日(土)
実施時間は1日2便。柳津駅を午前9時40分に集合して出発し、志津川駅で折り返して午前11時20分に柳津駅で解散する便と、柳津駅を午後1時に集合して出発し、午後2時40分に柳津駅で解散する便の2本が設定されている。
実施区間は気仙沼線BRT専用道の柳津駅〜水尻川AP間。折り返しのため水尻川AP〜志津川駅間は手動運転で走行する。乗車は往復での乗車となり、志津川駅等での途中下車はできない。
2018年度から8年 実証試験の積み重ね
自動運転バスの開発に関するこれまでの主な経緯は以下の通りだ。
2018年度に小型自動運転バスで実証実験を開始。大船渡線BRT竹駒駅周辺の約500m区間が最初の試験場となった。
2020年度にはBRT専用の大型自動運転バスを製作し、気仙沼線BRT柳津〜陸前横山駅間で実証実験を実施した。
2022年度には柳津駅〜陸前横山駅において、自動運転レベル2での営業運転を実施。2022年12月から2023年4月にかけて行われた。レベル2は「縦・横方向に運転支援」の段階で、運転者の監視のもとで自動車線変更などが実現できる水準だ。
2025年度(2026年1月)には、東北運輸局から自動運転バス(レベル4)車両の認可(走行環境条件の付与)を取得。柳津駅〜水尻川AP間が対象で、柳津駅〜陸前横山駅間については2024年3月に受領済みだ。さらに2026年2月には、宮城県公安委員会より道路交通法に基づく「特定自動運行」の許可を取得した。
次の目標は一般道でのレベル4 2028年度までに
今回の運転終了後、JR東日本は2028年度までに水尻川AP〜志津川駅間の一般道においてレベル4の自動運転走行を目指す方針だ。
JR東日本はグループ経営ビジョン「勇翔2034」において「技術力の深化と進化」を掲げており、最先端技術を活用した商品・サービスにより「技術サービス企業グループ」を目指した技術開発に取り組んでいる。自動運転バスの開発については、「持続的な公共交通を維持運営していくための手段の一つであり、今後も次代に向けたチャレンジを続ける」としている。
過去に実施した自動運転バスの試乗会に乗車した人々からのアンケート結果では、実用化への高い期待が寄せられているという。
BRTは運行開始から13年 地域の移動を支える
BRTとは、バス・ラピッド・トランジット(Bus Rapid Transit)の略で、専用道等を走行することで速達性・定時性の確保等が可能となる、バスをベースとした交通システムだ。
JR東日本の気仙沼線BRTは2012年12月に運行を開始し、以降専用道の延伸やルート変更等を重ねてきた。大船渡線BRTは2013年3月に運行を開始している。2013年8月にはBRT専用ICカード「odeca(オデカ)」の使用が始まり、2023年には地域連携ICカードとしてリニューアルされた。
2020年3月には両BRT線の直通運転(大船渡線BRT鹿折唐桑駅発〜気仙沼線BRT本吉駅行)が開始。2021年3月には大船渡線BRTが三陸道経由での運行を開始した。専用道整備については、気仙沼線BRTが2021年12月に完了、大船渡線BRTが2024年3月に完了している。
「地域の移動を支えるモビリティとして、運行開始以来13年間、地域の多くの皆さまにご利用いただいている」とJR東日本は説明する。病院や学校などの公共施設付近への駅の新設、地域イベントとの連携、地域連携ICカードodecaの導入など、地域住民の利便性を高める取り組みも進めてきた。
通常運転は7月13日から再開
走行試験期間中に実施していた気仙沼線BRT柳津駅〜志津川駅間の迂回運転は、2026年7月12日(日)までとなる。7月13日(月)の初便から通常運転となるため、利用者は注意が必要だ。





