【にっぽん銘菓の旅23】日光街道の宿場町・草加(埼玉県) 醤油味パリッと「草加せんべい」 中尾隆之


源兵衛「手焼きせんべい」

源兵衛「手焼きせんべい」

 うるち米や小麦など穀物粉を水で練って薄く延ばして焼いたり、揚げたりして作る煎餅は古くからの和菓子の一つ。

 全国各地に塩や醤油(しょうゆ)、砂糖や鶏卵などの味付けで形、大きさ、色、作り方などさまざまな煎餅がある。

 関東ではうるち米をひいた粉を練って蒸し、鉄板で押し焼きして刷毛で醤油を塗る醤油煎餅が主流だが、関西では小麦粉に砂糖、鶏卵を加えたサクッとした甘い瓦煎餅を指す。

 前者を代表するのが、埼玉県東南端、草加市の「草加煎餅」。北千住駅から東武鉄道で12分。草加駅東口の一角に置かれた煎餅を焼く女性「おせんさん」と煎餅を食べる少女」の像が町のシンボルになっている。

 東へ歩いて旧日光街道(奥州街道)を左折すると、ほどなく両側に6~7軒の煎餅店が現われ、店先にいろいろな煎餅が並ぶ。

 その中の一軒に1870年(明治3年)創業の「元祖源兵衛せんべい」がある。草加宿の旅籠で番頭をしていた初代豊納源兵衛が茶店で人気の煎餅に目を付け、独立して開業。1枚1枚手焼きを今も続けている。素朴で上品な風味と堅さが好まれている。

 その少し先の神明町には「草加せんべい発祥の地碑」があるが、始まりは江戸時代、茶店を営む”おせん”が立ち寄った侍に団子の売れ残りを話すと、「乾かしてのばし、焼き餅にしては?」の言葉。天日干しして、塩をふったところ評判となったという。

 草加は良質な米の産地で、のちに近くの野田の醤油を使った煎餅は「草加せんべい」の名で広まった。最盛期には200店余り、今は約50店が味や堅さ、趣向を競って共存している。

 草加には337年前、今の暦で5月16日、「おくのほそ道」の旅で松尾芭蕉・曾良が通っている。奥州諸藩の大名や日光例幣使をはじめ武士、商人、庶民の往来でにぎわい、「草加せんべい」も売れた。

 そんな歴史をしのびながら歩いていると、ほんのり醤油の香りが漂う。平成13年度、環境省による「全国かおり風景100選」に認定されている。

 昭和30年代には「人形焼」「雷おこし」と並び東京土産として大いに売れた。

(紀行作家)

【メモ】
「手焼き醤油せんべい」=元祖源兵衛せんべい(048.922.2459)1枚税込み100円。枚数随意+箱代。取り寄せ可。

源兵衛「手焼きせんべい」

源兵衛「手焼きせんべい」

駅前の「おせんさん」の像

駅前の「おせんさん」の像

 
 
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