EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長 近藤聡、以下EYSC)は4月24日、観光庁が実施した「オーバーツーリズム対策に向けた手ぶら観光推進に係る調査事業」を支援したと発表した。調査結果は同日、観光庁より公表された。
手ぶら観光サービスを実際に利用した旅行者の満足度は94.3%に上る一方、サービスを「知らない」と答えた旅行者は35.9%にとどまり、認知不足が普及のボトルネックとなっている実態が明らかになった。
訪日外国人旅行者数および消費額が急増する中、大型手荷物によるバス・鉄道など公共交通の混雑や、観光地における滞留増加といったオーバーツーリズムに関連する観光課題が顕在化している。
手ぶら観光サービスは「荷物預かり・配送」にとどまらず、観光回遊性の向上、移動時のストレス軽減、観光可能時間の増加など旅行者・地域双方にメリットがあるとされる。しかし本調査によると、利用率は1〜2割にとどまっていた。こうした背景から、サービス普及に向けた実態把握と施策検討が求められていた。


本調査でEYSCは、訪日外国人旅行者1,598名へのアンケート、モニターツアー、事業者ヒアリング、位置情報データ分析等を実施。手ぶら観光サービスが観光動線の最適化・混雑緩和・滞在満足度向上に寄与することを明らかにした。
調査では観光庁データ、位置情報データ(FF-Data:Flow of Foreigners-Data)、民間データを統合分析し、訪日外国人旅行者の行動を「9つの主要ルート」に集約して整理。訪日客の「9つの主要旅行動線」を可視化した。
モニターツアーによる検証では、手荷物配送・預かりを利用した場合の観光可能時間の増加効果が確認された。具体的な数値は以下の通りだ。
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金沢:約1.3〜1.5時間増
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京都:約1.3時間増
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大阪:約1時間増
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広島:30分〜1.2時間増
利用意向については、利用したいサービスとして「空港⇔宿泊施設配送」が64.6%と最も高い回答を集めた。
一方、サービスを利用しない理由のトップは「どんなサービスかわからない」(26.8%)だった。認知経路は「友人・知人」が28.5%で最も多く、「SNS(Instagram)」が20.6%と続いた。
事業者側もPR不足、連携不足、人手・スペース不足などの課題を抱えていることが、ヒアリングを通じて明らかになった。
EYSCの公共・社会インフラセクター Social Agendaチーム(ディレクター 長谷川啓一、マネージャー 後藤麻乃)は次のようにコメントしている。
「本調査は、訪日外国人旅行者の詳細な旅行動線データ、モニターツアーによる利用実証、そして事業者ヒアリングを多層的に統合分析し、手ぶら観光サービスが”観光体験価値の向上”と”オーバーツーリズム緩和”の双方に寄与することを定量的に立証した、国内でも希少なエビデンスベースの成果となっています」
同チームはさらにこう続けた。
「手ぶら観光サービスは、高い満足度を得ている一方で、認知不足や手続きの煩雑さが普及のボトルネックとなっており、PR強化や多言語対応、官民連携による広域ネットワーク構築が不可欠です。今後、日本の観光体験の価値向上と混雑緩和を同時に実現する”観光インフラ”として、手ぶら観光の全国的な普及が期待されます。今後も当チームでは、官民の連携によるサービス拡大を支えながら、日本の観光産業の活性化に貢献してまいります」




