レースジャージ姿であいさつする九州運輸局進藤観光部長
国土交通省九州運輸局は4月24日、福岡市中央区(TKPガーデンシティPREMIUM天神ブリッククロス)にて「九州におけるスポーツツーリズム推進のための交流会」を開いた。自治体やDMO、観光事業者、スポーツ関係者など九州各地から約80名が参加し、スポーツを核とした観光振興と地域活性化のあり方について、官民の垣根を越えて情報を共有した 。
同交流会は、九州運輸局が地域経済活性化およびインバウンド拡大の主要施策として掲げるスポーツツーリズム推進の一環として初めて実施されたもの。観光分野とスポーツ分野の両関係者が一堂に会し、連携を深めるキックオフの場としての役割を担った。
スポーツを核とした地域活性化を目指す

レースジャージ姿であいさつする九州運輸局進藤観光部長
会の冒頭、主催者を代表して九州運輸局観光部の進藤昭洋部長が挨拶に立った 。進藤氏は「ツール・ド・九州」のレースジャージ姿で登壇し、自らもスポーツ愛好家であることを明かしつつ、九州運輸局が主体となって取り組むスポーツツーリズム推進の可能性を強調。「初回となる今回は、関係者の親睦を深めるカジュアルな場としたい」と述べ、会場を和ませた。
当日はIY GLOBAL 代表の吉松育美氏がゲスト司会を務めたほか、スペシャルゲストとしてFukuoka Now代表のニック・サーズ氏やサイクリングナビゲーターのBeki氏も登壇し 、プログラムは終始活気に満ちた雰囲気の中で進行した。

ゲスト登壇(左から)吉松氏、Beki氏、ニック氏
「ツール・ド・九州」がもたらす経済効果と2026年大会への展望
第一部では、一般社団法人ツール・ド・九州の赤木大輔参事が、国際サイクルロードレース「ツール・ド・九州」の成果と最新情報について講演した 。
赤木氏はまず、サイクルロードレースについて「日本ではまだメジャーとは言えないが、海外では極めて人気の高いスポーツ」と説明。UCI(国際自転車競技連合)に所属するトップ選手の年俸が14億円規模に達することや、競技用自転車の価格が1台150万〜200万円を超える点など、グローバルな競技規模を紹介した。また、戦略性の高いチーム戦であることや、時速70キロに達するスピード感、選手が目前を駆け抜ける際の迫力といった、サイクルレースならではの観戦価値を説いた。
「ツール・ド・九州」は2023年にスタートし、2025年大会(10月10日〜14日)は3回目の開催となった。同大会は長崎、福岡、熊本、宮崎、大分の5県を跨ぐ総走行距離399.53キロで行われ、国内10、海外8の計18チームが参加。総観客数は10万6500人、ライブ視聴者数は25万人といずれも前年を上回り、経済波及効果も年々上昇している。観戦者アンケートでは飲食や観光も楽しむ来場者が多く、地域消費への波及効果が裏付けられた。
2026年大会は10月9日から13日の4日間、佐賀県を新たに加えた九州6県で開催される予定 。過去最大規模の開催となる。赤木氏は「地域活性化に繋がる重要なスポーツイベントとして、さらなる成長を目指す」と意欲を示した。

ツール・ド・九州を解説する赤木氏
インバウンドをターゲットとした実証事業と人材育成
続いて、九州運輸局観光部観光企画課より「スポーツツーリズム推進のための実証事業」の報告が行われた 。
令和7年度は「ツール・ド・九州2025」を契機に、インバウンドを主眼に置いた高収益型の受け入れ施策を展開。外国人インフルエンサーによるライドイベントの実施や、YouTubeを活用した大会実況の多言語化(英語)、多言語インフォメーションの整備など、訪日客の満足度向上を図る取り組みが紹介された。
また、博多駅前でのプレイベントや大会後のモニターツアーに加え、観光産業の将来を担う学生を対象とした人材育成事業も実施。同課は「インバウンド需要を強く意識した運営がツールの特徴」とし、今後はサイクルツーリズムとの連携をより一層強化し、九州独自のスポーツツーリズムを確立させていく考えを示した。

九州の観光・スポーツ関係者が参加した交流会会場の様子
世界を見据えたネットワーク構築戦略
第三部では、福岡県スポーツ推進基金の中平稔人専務理事が「ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックにおけるネットワーク構築戦略」について講演した。
中平氏は、国際競技団体(IF)との継続的な対話と信頼関係の構築が、将来的な国際スポーツ大会の誘致に直結すると強調。「スポーツアイランド九州」の実現に向けた誘致戦略だけでなく、スポーツを通じた社会課題の解決に取り組む重要性についても言及した。
最後に進藤観光部長は、「観光チームとスポーツチームが連携を強化していくための最高のキックオフになった。今後も定期的に実施していきたい」と締めくくり、スポーツツーリズムを軸とした地域活性化への継続的な取り組みに意欲を示した。

国際大会誘致戦略を語る中平氏




