竹内氏
そうだ、アレ食べに行こう!とふと思う店の一つが「つばめグリル」。アレとはモチロン同店看板メニュー「つばめ風ハンブルグステーキ」だ。アルミホイルで包まれ、熱々のスキレットに載って運ばれてくるパンパンに膨らんだそれに、プスッとナイフを入れると、ジューッという音と共に香ばしい湯気が立ち上り、一刻も早く口に運びたくなる…が、焦りは禁物。その勢いで頬張れば、やけど間違いなしだから。
ご存じない方のために、ちょっとご説明。まず「つばめグリル」とは、1930年に東京新橋で創業した、老舗洋食店だ。そして「つばめ風ハンブルグステーキ」とは、1974年に誕生した同店看板商品。フレンチの紙包み焼き「パピヨット」に着想を得て開発されたそうで、同店人気商品のハンブルグステーキに、同じく人気の自家製ビーフシチューをタップリかけ、アルミホイルで包み焼きに。それをホイル包みのまま提供したところ、その演出の効果もあり、瞬く間に一番人気になったという。
この料理が長きにわたり不動の人気を誇るのは、ぜいたくな料理を二つ一度に楽しめるからだけじゃない。実はその裏に、途方もないこだわりがあるのだ。肉は挽(ひ)いた瞬間から、どんどん劣化が進んでしまう。そこで同店では、各店舗で肉を挽いているというのだ。
肉は牛・豚とも1頭丸ごと仕入れ、セントラルキッチンで不要なスジや脂を取り除き、約8センチ程度にカットされ、部位や個体差による肉の味の差をなくし均一にする「ブレンド」という作業を行う。これを小分け真空パックにして、翌朝各店舗に配送。そして店内で肉を挽き、できるだけ早く使い切ってまた肉を挽き、パテにする。
牛が7、豚が3の粗挽き肉に、オニオンソテー・卵・パン粉・塩・こしょう・ナツメグを入れ、肉の温度が上がらないよう、ボウルの下に氷を敷いて混ぜ合わせ、一つ160グラムに素早く計量。グリル板に載せフードをかぶせて焼けば、挽きたてハンブルグステーキの出来上がり!
その上にかかっているのは、お肉ゴロゴロのビーフシチュー♪ コチラはたくさん仕込んだ方が、うまみが出るので、セントラルキッチンの出番だ。10センチ程度に切った牛バラ肉をソテーし、表面に焼き色を付けうまみを閉じ込めたら、たくさんの野菜とフォンドボー、赤ワインでじっくり煮込む。そこに自家製デミグラスソースを入れて再度煮込み、一晩寝かせ味をなじませる。時間をかけ、味にコクを引き出しているそうだ。
人気のもう1品「トマトのファルシーサラダ」は、ツヤツヤのソースが掛かった丸ごとトマトを切ると、中からチキンサラダが出てくる仕組み。丁寧に湯むきしたトマトをくり抜いたり、マヨネーズ和えのチキンサラダを仕込んだりと、手間が掛かるだろう。
手間暇を惜しまず、極力添加物を使わず、国産食材にこだわる同社の姿勢が、長年ファンを引きつける理由なのだろう。次は、銀座本店に行ってみよう♪
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。




