塗装で受け入れ進む 業界で協働体制の構築も
わが国の塗料・塗装産業は、建築塗装業と自動車板金補修塗装(BP)業の双方で深刻な人材不足に直面している。
若年層の入職者減少と熟練技能者の高齢化が進む中、現場を支える重要な戦力として外国人労働者の存在感が急速に高まっている。特に、2019年に創設された在留資格「特定技能」の導入は、即戦力となる外国人材の受け入れを後押しし、ベトナム・インドネシア・フィリピンなど東南アジア出身者が多く活躍するようになった。
建築塗装の現場では、技能実習生と特定技能外国人が主要な担い手となっている。塗装作業は下地処理や養生など、仕上がりを左右する工程が多く、精度と経験が求められる。かつては補助的な作業に従事するケースが多かったが、現在では生産性維持に欠かせない戦力として位置づけられ、現場の中核を担う存在へと変化している。
一方で、課題も顕在化している。まず、言語の壁が施工品質や安全管理に影響を及ぼす点が挙げられる。微妙なニュアンスを含む指示が伝わりにくいことで、施工ミスや事故リスクが高まる可能性がある。
また、技能実習制度では数年で帰国するケースが多く、企業側が育成した技術が定着しにくいという構造的な問題もある。さらに、住居確保や生活支援など、受け入れ企業に求められる負担が大きく、中小企業では対応が難しい場面も少なくない。
自動車整備業でも同様に人材不足が深刻化しており、特定技能制度の対象として外国人材の受け入れが進んでいる。特に2022年の制度運用変更により、特定技能外国人が板金塗装業務に専従できるようになったことは大きな転換点である。これにより、BP業界でも外国人材が即戦力として活躍する道が開かれた。
メリットとしては、若い労働力の確保に加え、異文化の視点が組織に新たな活力をもたらす点が挙げられる。
一方で、調色や仕上げなど高度な技術を要する作業では、日本語理解と経験が不可欠であり、教育体制の整備が課題となっている。また、特定技能外国人の定着率は約8割と比較的高いものの、異国で働く外国人は就業後の生活に不安も多く、待遇改善やキャリアパスの提示が今後の鍵を握る。
政府は技能実習制度を廃止し、2027年から「育成就労制度」へ移行する方針を示している。この制度は長期的なキャリア形成を前提としており、外国人材が熟練職人として定着し、将来的には現場リーダーとして活躍する可能性を広げるものだ。整備業では2029年までに約1.9万人の受け入れ枠が設定されており、塗装業における外国人材の存在感はさらに高まると見込まれる。
企業側には、マニュアルの多言語化、ITツールを活用した教育、文化的背景を尊重する組織づくりなど、外国人材が働きやすい環境整備が求められる。単なる労働力としてではなく、共に技術を磨き成長するパートナーとして受け入れる姿勢が不可欠である。

塗装で受け入れ進む 業界で協働体制の構築も




