ブレーキの点検作業をする外国人整備士。中央鈑金では10人の外国人が在籍している(3月10日、千葉県木更津市)
外国人材の採用が進む自動車整備業。2016年に外国人技能実習制度による受け入れが始まり、19年には、就労を目的とした在留資格「特定技能」の職種に指定された。「特定技能1号」(在留期間最大5年)と、より高度な「特定技能2号」(同無制限)の雇用が可能な分野となっている。
千葉県木更津市の中央鈑金(磯部友昭代表、BSサミット事業協同組合加盟)は、人手不足も背景に、技能実習制度の創設時から外国人を積極的に受け入れてきた。現在、10人(フィリピン人7人、ベトナム人3人)が在籍する。従業員数は70人。
磯部代表は「求人を出しても、日本人は全然来ない。日本より給与水準が低い地域の人たちは、日本に来て稼ぎたいと思っている。従業員の数は10年前と変わらないが、外国人比率は高まっている」と話す。
在留資格別で、技能実習が6人、特定技能1号が2人、大学のインターンシップ(就業体験)が2人。特定技能2号はいない。
「同じ国の先輩がいれば、後輩に通訳をしたり、仕事や日本の風習を教えてくれたりする。数珠をつなぐように採用している」と磯部代表。帰国で欠員が出そうになったタイミングで、自ら現地に赴き、候補者を見つけてくる。面接だけでなく、タイヤの着脱やブレーキの分解など実地試験もするそうで、「落ち着きがない人、どこかに行ってしまう人、指示してもやらない人もいる。雰囲気はウェブ面接では分からない」。
採用した際は住宅を用意。賃金は、特定技能1号の取得者は固定給で、技能実習生は、最低賃金をベースに在籍年数などで昇給させる。日本語能力試験の合格者には資格手当を支給する。「日本語の能力は仕事に影響する。実習3年間は毎日、日本語で日記を書かせている。日本語の勉強になり、自分がやったことの振り返りにもなる」と説く。
外国人採用のメリット・デメリットは何か。
「メリットは、社内が明るくなって、笑いが増えること。外国人特有の良さなのか、陽気でフレンドリーな人が多いから、みんなにかわいがられている。あと、日本に来て間もない中国人の従業員がベンツを平気で触っていて、他の従業員たちが『負けていられない』と感化されていた」と披露。「デメリットはやはり、言葉の壁。例えば、やってほしい仕事とやらなくていい仕事がうまく伝わらないと、余計なことをしてしまう。また、特定技能2号を取らないと、最終的に本国に帰ってしまう。日本人なら、10年後、20年後も期待できるけど」と挙げる。
それでも、外国人採用は続けていく。「ほぼ新しい人ばかりになると、技術レベルは落ちるが、半年、1年もたてば育っていく。技術を習得して戦力になってもらえる。仕事ができる人には、それなりの給料を支払う。みんなで居心地を良くしてあげれば、『この会社いいな』と長くいてくれるはず」と期待する。
フィリピン出身のパブロ・ガノンさん(41)は同社で最長の8年目。本国で自前の整備工場を持つが、家族を養うために来日したという。「家族がいなくて寂しいが、皆さん優しくて、働きやすい。あと2年半くらいは頑張りたい」と意気込む。

ブレーキの点検作業をする外国人整備士。中央鈑金では10人の外国人が在籍している(3月10日、千葉県木更津市)




