【地域創生と観光ビジネス98】麻布十番でハンガリーのクリスティーナさんと17年ぶりの再会 千葉千枝子


 ここは麻布十番、懐かしの街。かつて20年にわたって暮らした思い出深い地で、まさかの感動の再会があった。

 お相手は、ハンガリー大使館文化部の参事官で「リスト・ハンガリー文化センター」所長のメレーニ・クリスティーナさんだ。

 長身の金髪で日本語が堪能な彼女との出会いは09年、ブダペスト単独取材のときだった。ハンガリー政府観光局のコーシャ局長(当時)に”暮らすように旅するブダペスト”をテーマに、取材の持ち込み企画をしたのである。

 市内のレジデンシャルホテルを中心に取材先の手配をしてもらい、記事素材を集めた。そのとき現地でガイド役としてアサインされたのがクリスティーナさんだった。ハンガリー語が分からない自分にとって、頼れる存在だった。

 一眼レフを担いで市内名所をめぐるなか、かたわらにはいつもクリスティーナさんがいた。2人で郷土料理グヤーシュを食べ、皇妃エリザベートが愛したカフェ「ジェルボー」でお茶をした。芸術宮殿(国立コンサートホール)へは互いにドレスアップして、交響楽団の演奏に酔いしれた。

 当時、若かった私たちは、幼い子どもを育てながら働いていた。自身は、かけだしの観光ジャーナリスト。彼女は大学院に通いながら、空いた時間にこうしてガイド業を請け負い、「いつか日洪の架け橋として日本に住みたい」と将来を夢見ていた。その彼女の夢がかなって、今は麻布の住人になっていた。

 私はといえば、麻布を離れて板橋区内の大学で教壇に立って10年がたつ。彼女が参事官となって2年前に来日し、麻布で暮らしているのを知らなかったのだ。

 彼女との17年ぶりの再会を導いてくれたのが、マイルポストの榊原史博代表だった。去る1月開催の「千葉千枝子感謝の会」で映写した”30年の歩み”スライドショーでの白アスパラガスの1枚で、ピンときたのだと言う。

 あのころ大学時代の後輩夫婦が、ブダペストに駐在していた。彼女が同行しない日は、その後輩夫婦に世話になった。高級レストラン「グンデル」でミシュラン・ディナーを囲み、昼は市場で新鮮な白アスパラガスを買い込んでキッチンの鍋でゆでて旬を味わった。その、たった1枚の画像が、クリスティーナさんとの再会の糸口になった。

 後日、榊原氏から見せられたスマホ画像には、尾瀬をハイキングするクリスティーナさんが、はっきりと写っていたのである。

 麻布山善福寺近くの同センターでは、現在、特別展「ブダペスト・イラストレーション・フェスティバル in 東京」が開催中だ。”ビッルフェスト”の愛称で知られるイラストレーションの祭典「ブダペスト・イラストレーション・フェスティバル」の受賞作品が、センターの壁を飾る。どれも力作で、同時開催の「V4マッチラベル展」も見ごたえがある。ヴィシェグラード4カ国の社会主義時代のマッチのラベルを蒐(しゅう)集(しゅう)したもので面白い。その開会式へ、マイルポストの皆さんとうかがった。私はクリスティーナさんと熱く抱擁して、再会を祝した。

 同センターへは東京メトロ麻布十番駅・1番出口から徒歩3分。特別展は6月30日まで。ぜひ、足をお運びください。

 (観光ジャーナリスト・淑徳大学経営学部観光経営学科教授 千葉千枝子)

 
 
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