2026年のゴールデンウイークは、旅行需要が堅調に推移する一方、旅行者の意思決定構造の変化がより鮮明となった。
JTBの推計では、総旅行者数は2447万人と前年比約2~3%の増加が見込まれている。ただしこの増加は需要の急拡大というより、最大12連休が可能となるカレンダー要因による「行きやすさ」の恩恵が大きく、実態として旅行意欲そのものが大きく高まったわけではない。
注目すべきは消費行動の変質である。旅行予算を「10万円以内」とする層が最多で、「5万円以内」「3万円以内」を含めると約8割が10万円以下に抑える意向を示している。この動きは前年までと明確に異なる。2023~2024年はリベンジ消費により「多少高くても行く」傾向が見られ、2025年は「行くが使い方を見直す」移行期であった。そして2026年は、あらかじめ予算を設定し、その範囲で満足度を最大化する”選択的消費”が定着している。
旅行先選びでも観光(31.6%)、食事グルメ(25.7%)、費用コスパ(21.8%)が重視されており、価格ではなく“納得感のある体験”が判断軸となっている。こうした変化の象徴が旅行の「テーマ化」と「分散化」である。新潟・長崎・富山など非定番エリアの予約が伸び、昨年の大阪一極集中とは対照的に、複数の都道府県で前年比1.2倍以上の伸びが見られる。旅行はもはや「近いから行く」ものではなく、「理由があるから選ぶ」ものへと変化している。
オールインクルーシブやグランピングといった滞在型商品も前年同期比約1.4倍と伸長しており、天候に左右されず施設内で食事やアクティビティが完結することで追加支出を抑えつつ満足度を高められる点が“高いコストパフォーマンス”として支持されている。
海外旅行は予約数が前年比126.7%と回復が続くが、円安・物価高を背景に近距離・短期化の傾向も見られる。インバウンドはコロナ前水準まで回復し、国内宿泊市場を下支えしている。
2026年のゴールデンウイークは「需要回復」ではなく、「消費行動の最適化と分散」が定着した転換点といえる。旅行者は増えているが、その選び方は確実に変わりつつある。この変化が宿泊業にとって何を意味するかは、次号で詳しく述べたい。
(株式会社プライムコンセプト・小林義道)




