JR東日本の柏駅(小野一男駅長)は5月16日、ふくしまデスティネーションキャンペーン(4月1日~6月30日)の一環として、「演奏会とイベントで楽しもう!音でつながるふくしまの旅」を実施した。柏駅中央改札外コンコースで、JR社員と江戸川大学吹奏楽サークルが福島にゆかりのある3曲を演奏した。小野駅長も白の制服に白のギター(フェンダーストラトキャスター)で伴奏。江戸川大学で観光を教える崎本武志教授がタクトを振った。
「キセキ」「浪漫飛行」「花は咲く」──常磐線ゆかりの3曲
演奏会は10時と11時の2回開催。演奏曲目は「奇跡」「浪漫飛行」「花は咲く」の3曲で、いずれも福島や常磐線にゆかりのある楽曲が選ばれた。
「キセキ」は福島県で結成されたバンド、グリーンボーイズの楽曲。「浪漫飛行」は常磐線大津港出身のカール・スモーキー石井こと石井竜也氏率いる米米CLUBの曲だ。「花は咲く」は東日本大震災からの復興応援ソング、チャリティーソングとして制作された楽曲だ。

駅長も演奏に参加、JR関係者4名が加わる異例の形態
演奏に加わったJR関係者は4名。小野駅長のほか、常磐快速線の運転士1名、南柏駅駅員1名、そして松戸エリアユニットの社員1名が演奏に参加した。
JR各駅でも音楽イベントは行われているが、駅員自身が演奏者として参加するケースは珍しいという。
演奏の中心は江戸川大学吹奏楽サークルの学生たち。指揮台に立ったのは同大学社会学部現代社会学科ので観光を教える崎本武志教授だ。JR東日本が定期的におこなっているウオーキングイベント「駅からハイキング」に江戸川大学が協力していることなどの縁もあり、駅での合同演奏会を2024年11月から過去にも4回実施している、
語り部タイム 学生が常磐線で訪れた福島の「今」を報告
演奏会のプログラムは2部構成で進んだ。まず「キセキ」と「浪漫飛行」の2曲を演奏。その後、江戸川大学の女子学生が実際に常磐線を利用して福島を訪れ、現地で見てきた福島県の今を来場者に伝える「語り部タイム」が設けられた。そして最後に「花は咲く」を演奏してフィナーレを迎えた。

5周年記念を機に休眠サークルが復活、昨年は大喝采
このコンサートは2024年より継続的に実施されている。その経緯には、常磐線全線開通5周年という節目が深く関わっている。
小野駅長によると、常磐線が全線開通したのは2020年3月25日。その全線開通を祝うイベントを当初企画していたが、コロナ禍の影響で人を集められず、実施を断念した経緯があった。
「コロナの影響がなくなったということで、5周年という区切りのいいタイミングでやりたかったコンサートをやろうと考えた」(小野駅長)
そこで小野駅長が声をかけたのが、江戸川大学だった。当時、同大学の吹奏楽サークルはコロナ禍以来、活動が休眠状態にあった。崎本教授はこの呼びかけに応じてサークルを復活させ、5周年記念コンサートの実現にこぎつけた。
昨年2025年3月には常磐線全線開通5周年記念として盛大に開催し、大喝采を浴びた。
柏駅でのコンサート自体はコロナ禍以前、数代前の駅長の時代にも実施されていた。当時の駅長もドラムを担当するほど音楽を好んでいたという。音楽を通じた地域活性化の取り組みは柏駅に脈々と受け継がれてきた。

演奏会の傍らで多彩なイベントも展開
演奏会と並行して、コンコースでは多彩なイベントが展開された。
10時25分から10時55分にかけては、駅たび旅行相談会を実施。エキタビコンシェルジュが福島への旅行をサポートした。
顔はめパネルも設置された。「常磐線運転士気分」を体験できるパネルで、10時25分から10時55分と11時25分から12時00分の2回にわたって記念撮影会が行われた。
ニューデイズミニ柏1号店(改札内のコンビニ)では福島県のお菓子を販売。人気ランキング上位のママドールや柏屋饅頭といった品が並んだ。さらに、会場周辺では当日限定の5%割引クーポンも配布され、来場者が福島の味を手軽に楽しめる機会を提供した。
「東日本大震災から15年、福島県誕生150年」の節目に
ふくしまデスティネーションキャンペーンは4月1日から6月30日までの期間、JRグループと福島県・市町村・地元の観光事業者などが一体となり、各地域の魅力を発信する観光キャンペーンだ。
小野駅長は演奏前の開会のあいさつでこの年の意義を強調した。
「東日本大震災と原発事故から15年、それから福島県が誕生して150年というこの大切な年に開催する福島デスティネーションキャンペーンをですね、福島の魅力をもっと皆様に知っていただく、良い機会にしていきたいというふうに思っております」
東日本大震災の復興応援ソングとして制作された「花は咲く」が演奏曲に含まれているのも、この節目の年への思いが込められてのことだ。
柏駅は「柏に住んでよかった。柏に行くと楽しいと言っていただけるように」(小野駅長)を掲げ、地域住民の力を借りながら地域活性化に取り組んでいる。今回のイベントも、JR柏駅と江戸川大学という地域の連携が生み出した取り組みといえる。




