【本だな】江戸東京の坂道 凸凹から読み解く都市の成り立ち 岡本 哲志 著


 東京都心、武蔵野台地と低地が交わる「きわ」に数多く存在する坂道。本書は、坂道が交通や社会階層の境界となり、いかにして江戸東京の多彩な街並みと歴史を生み出してきたかを解説する一冊だ。NHKの人気番組「ブラタモリ」に8回出演した都市形成史家が、豊富な高低差地図と資料に基づき、坂道が土地利用に与えた影響を読み解いていく。

 本書は、山手線内側に位置する「東京の七つの台地」を舞台に、25の物語を通じて坂道を探訪する。上野台地、本郷台地、小石川・目白台地、牛込台地、四谷・麹町台地、赤坂・麻布台地、そして芝・白金台地。それぞれの台地が持つ地形の特色と、そこに刻まれた人々の関わりが、坂道の魅力を一層深めている。例えば、「寛永寺を中心とする海抜の低い寺町」(上野台地)や「江戸城と濠が織りなした多様な坂道」(四谷・麹町台地)など、各章で具体的なテーマを設け、その成り立ちを丁寧に追う。

 編集担当者は「岡本先生が満を持して放つ坂道論の集大成です! 著者力作の高低差地図や絵図・写真を見ながら、一つ一つの坂道の地形的特徴と暮らしの関係を辿っていくと、その時代のまちの姿が浮かび上がってくるようです」と語る。巻頭にはまち歩きにも活用できる台地別のカラー地図が収録されている。

 著者の岡本哲志氏は1952年東京都中野区生まれ。都市形成史家として岡本哲志都市建築研究所を主宰し、法政大学デザイン工学部建築学科教授などを歴任した。長年にわたり国内外の都市調査・研究に携わり、特に路地、坂道、水辺空間など、東京の都市形成史の研究を半世紀近く続けている。「ブラタモリ」では銀座、丸の内、白金などで案内役を務めた。主な著書に『地形で読みとく都市デザイン』『江戸東京の路地 身体感覚で探る場の魅力』(ともに学芸出版社)などがある。

 著者は本書の「おわりに」で、2007年に雑誌で坂道特集を執筆してから今回の刊行まで20年近い歳月を要したことに触れ、「満を持しての刊行であり、20年の間に作成してきた図版を完成させることができた。図版に限れば、多分に集大成的な思いが強い」と記している。本書は読者を、地形と歴史が織りなす坂道の魅力に満ちた東京の町歩きへと誘う。

 A5判・252頁(カラー32頁)、定価2500円+税。

 発行=学芸出版社。


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