2025年の観光業界は大阪・関西万博などで活発な動きを見せた半面、日中間の対立がインバウンド市場に影を落とした。26年の干支(えと)は60年に一度巡ってくる「丙午(ひのえうま)」という稀有(けう)な年である。太陽のような明るさと行動力を象徴する年といわれ、業界にとって言葉通りの年となることを願う。四つのキーワードを取り上げ、記者の独断と偏見で見通した。
レガシー生かし「次なる観光ビッグバン」に備えよ
昨年の一大注目トピックであった「大阪・関西万博」。閉幕に向け尻上がりに関心が高まり、関係者含め2900万人超が来場。閉幕以後も、パビリオンや展示内容の国内外への移設、活用などのニュースが断続的に伝えられている。万博で使用した設備などのリユース・マッチングを行う「万博サーキュラーマーケット ミャク市!」などの取り組みも、SDGsを掲げた万博の閉幕後の取り組みとして着目したいところだ。
万博に向けて、大阪市内などでは駅施設の改修や案内サインの整備が進み、外資系ブランドホテルも次々開業。大阪中心部は驚くほど明るくなり活気が生まれた。JRや私鉄が連携して整備した周遊促進アプリ「KANSAI MaaS」や、官民による「関西広域デジタルマップ」、産学連携コンソーシアムなども創出された。いずれも「大阪・関西万博」のレガシー(遺産)であり、今後の観光・地域振興の一翼を担うものとして、取り組みが続いていく予定だ。
一方で反省すべきことも「レガシー」として捉え、今後に生かすことが必要だ。東京オリンピックに続くナショナルイベントとして、官民挙げて取り組む立て付けであったこの万博だが、残念ながら向き合い方も取り組み方も、地域や事業者によって差があったことは否定できない。東京オリンピック同様に、ネガティブ情報に引っ張られ、取り組みが後手に回った感はなかったか。「来場外国人向けにファムツアーなどを仕掛ければよかった」「今後を見据え、各国との交流機会を作るべきだった」など、反省すべき点は枚挙にいとまがない。
現在、国は2030年に訪日外客数6千万人、消費額15兆円を目標に掲げている。昨年開かれた近畿運輸局主催のポスト万博に関するシンポジウムで、橋爪紳也・大阪公立大学特別教授は、30年を「次の観光ビッグバンの年」と位置付け、「5年後に観光客が今の倍近くになる状況を考えて、バックキャストで今から準備、投資する必要がある」と指摘した。30年には大阪・夢洲での統合型リゾート(IR)開業もある。ターゲットである高付加価値型旅行を求める層は、地方への関心を高めており、IR開業は地域の一トピックにとどまらない。
5年後の未来に向け、われわれはまた、ネガティブな思考回路のまま旧来通りを続けるのか、あるいは千載一遇のチャンスと捉え、準備を始めるのか。万博のレガシーを生かし、決断、行動したい。
【小林茉莉】




