【VOICE】三重県観光の新たなチャレンジ 三重県観光部 部長 塩野進氏 


塩野氏

持続可能な観光を推進

 本年7月に国土交通省から出向し、三重県観光部長に就任しました。三重県内、また全国の観光関係者の皆さまのお力をお借りして精一杯がんばってまいりますので、よろしくお願いいたします。

 三重県は、伊勢神宮や熊野古道、伊賀の忍者など歴史的な観光資源に加え、英虞湾など美しい自然、また、鈴鹿サーキットなど世界的に注目を集める施設も多くあり、海の幸や松阪牛、地酒をはじめ食の面でも旅行者を魅了する資源豊かな場所です。

 しかしながら、旅行者の平均宿泊日数が1.21泊(令和6年)と全国平均の1.43泊を下回る状況にあるほか、外国人延べ宿泊者数(令和6年)がコロナ禍前(令和元年)と比較して6割程度にしか回復していないなど、三重県の観光を取り巻く課題は多く存在します。一見知事のリーダーシップの下、観光関係予算を増額し組織強化を図るなど取り組みを進めてきましたが、ここでさらなる加速化が必要です。

 観光行政としては、質が高く持続的な観光地づくり、戦略的な観光誘客の推進、魅力的な観光産業の確立を進めてまいります。特に海外向けには、中部国際空港から入国する旅行者だけでなく、成田国際空港や関西国際空港から入国しゴールデンルートを周遊する旅行者の取り込みを図ります。また、フランスからの福利厚生旅行の受け入れ拡大や産業観光の推進等による団体客の取り込みだけでなく、FITの取り込みに向けて、SNSでの情報発信やトップインフルエンサーの活用等を通じて個人に向けた認知度向上の取り組みを積極的に進めます。重点的にインバウンド誘客を行う市場の明確化も含め、これら取り組みを包含したインバウンド戦略を策定します。

 高付加価値旅行者から選ばれるため、上質な宿泊施設のさらなる整備のほか、安全・安心な旅行先として選んでいただけるよう観光防災の取り組みも重要です。また、三重県の魅力を伝えることができる観光ガイドの育成も進めます。

 7月の着任以来、三重県内のさまざまな観光関係者の方とお会いし、その人材の豊富さに圧倒されています。観光は旅行者と接する現場の力が最も大事。三重県観光部は事業者の皆さま、市町の皆さまとワンチームとしての三重県観光を推進するため、必要なコーディネーター役も務めてまいります。

 オーバーツーリズムを避けつつ、持続可能な観光を推進する。これは、三重県だけでなく日本の観光全体にとって大きなチャレンジになると考えています。読者の皆さまのご助言・ご支援を心よりお願いいたします。


塩野氏

 
 
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