2007年度の国内旅行消費額は、前年度比0.2%減の23兆5010億円だった。国土交通省がこのほど発表した統計調査の結果で分かった。訪日外国人の旅行消費額や日本人の日帰り旅行消費額は増えたが、構成比の大きい日本人の宿泊旅行消費額が宿泊日数の減少などで3年連続の減少となり、全体額を引き下げた。
国内旅行消費額は、日本人の宿泊旅行と日帰り旅行の消費額、海外旅行の国内消費分、これに訪日外国人の旅行消費額を合計したもの。総務省の承認統計「旅行・観光消費動向調査」を基礎に推計した。調査対象は全国1万5千人で7165人が回答した。
消費額全体のうち日本人の宿泊旅行消費額は2.5%減の15兆2950億円。1人当たりの年間宿泊数の減少が消費額に影響したとみられる。旅行目的別に前年度と比べると、「観光・レクリエーション」が2.7泊から2.4泊に、「帰省等」が2.6泊から2.1泊に、「出張・業務等」が1.8泊から1.7泊になり、いずれの目的の旅行でも宿泊数がダウンした。
宿泊旅行消費額の減少について、観光庁の本保芳明長官は12月24日の定例会見で、「3年連続の減少であり、原因の分析が必要だ。マインドの変化などを含めて新しい見方で分析したい」と述べ、09年版「観光白書」での発表を念頭に分析を進める考えを示した。
宿泊旅行以外の消費額はいずれも増加した。訪日外国人の旅行消費額は、07年の訪日外客数が過去最高の835万人になるなど客数の増加を受けて、同8.7%増の1兆4830億円に伸びた。
日本人の日帰り旅行も同4.3%増の4兆9480億円。1人当たりの年間日帰り旅行の回数は前年度の3.2回から3.0回へと減少したが、1回当たりの旅行消費額が増えた。海外旅行の国内消費分も同1.6%増の1兆7750億円となった。
雇用効果は441万人 就業者の6.9%
国交省は、旅行消費額を基に産業連関表を使って07年度の旅行消費による経済波及効果を試算した。雇用効果は全就業者数6425万人(06年度)の6.9%に及ぶ441万人と算出した。
生産波及効果は53兆1千億円で国内生産額の5.6%に、付加価値効果は28兆5千億円で名目GDPの5.5%に相当すると算出。税収効果は5兆1千億円で、07年度税収見込み額(国税、地方税)の5.4%に相当するという。