日本との相互交流750万人を目指す 台湾交通部観光局 局長 張 錫聰氏に聞く


台湾交通部観光局 局長 張 錫聰氏

 ――台湾政府は観光にどのように取り組んでいるのか。

 「蔡英文総統は2019年12月の全国観光政策発展会議の際に『観光は国の経済発展をけん引する存在であり、観光における競争力は国家における競争力である』と強調された。2030年には台湾がアジアにおける重要なデスティネーションとなっていることを期待するとも述べた。それらを実現するため、19年から(1)観光局を観光署に昇格させること(2)『Taiwan Tourism 2030観光白書』を制定すること―を目標に掲げた。全国観光発展会議を開催し、新しい方法や現状の問題点、解決方法など課題を洗い出し、総統自らが述べた“観光大国”の実現に向けて、台湾の観光、発展につながる活動を続けている」

 ――オードリー・タン行政院デジタル担当大臣は観光分野のデジタル化にも積極的だと伺っている。

 「台湾では、群衆密度検出、CCTVカメラ、eTag(台湾のETC)、交通情報統合などのシステムからのデータ収集を通じて、デジタル技術を活用して観光スポットを統合し、スマートツーリズムを促進している。これらのデータをウェブサイトやラインに統合して乗客にフィードバックし、乗客が事前に対応できるようにしている。この仕組みは利用者にとってより快適な旅行環境を提供するものだ。故宮博物院の文物(収蔵品)のデジタル化も実施した。2021年に完成したアジア最大のインタラクティブガイドウォールやARで多様な博物館の体験ができるようになっている。また、台湾文化省、デジタル開発省、経済省の協力により、芸術分野のデジタル化も進めている。台湾ミュージカル『ターンレフト、ターンライト』を5Gデジタルトランスフォーメーションで構築した。2番目のシーンに12台の光学モーションキャプチャ画像認識カメラを設置して俳優の動画をキャプチャし、それらを最初のシーンに投影して、二つのシーンが低遅延でリアルタイムの相互作用を発揮できるようにした新しいミュージカルの表現手法を開発した」

 ――台湾の旅行関連ビジネスの規模はどのくらいか。

 「2020年の数値になるが、インバウンド観光支出、台湾人の国内観光支出、アウトバウンド観光支出の合算額が約2兆2843億円(5143億ニュー台湾ドル)だった」

 ――インバウンドはどのくらいか。

 「2021年の訪台旅客の観光における支出の推計値は約1019億円(7.45億米ドル)だった」

 ――訪台日本人客数のピークは2019年の200万人超だった。

 「19年が約217万人、20年が約27万人、21年が約1万人、22年が約8.8万人だった。参考までにご紹介すると、11年約129万人、12年約143万人、13年約142万人、14年約163.5万人、15年約162.7万人、16年約189.6万人、17年約189.9万人、18年196.9万人だった。コロナ禍の影響は甚大だ」

 ――19年の訪台日本人客数は約500万人で、パンデミック前からアンバランスな状態が続いている。

 「台湾と日本の間で相互交流旅客数(合算人数)を700万人にしようという目標を掲げていて、19年にそれを達成した。アンバランス状態の解消はずっと課題だったが、今年5月に入って双方の水際対策が終了したため、『2023台湾観光プロジェクト再始動』を掲げ、日本人観光客の再誘致のためのプロモーションを日本の観光業界と協力して始めた。25年までに相互交流700万人の復活を、その先は750万人を目指したい」

 ――訪日台湾人旅行客は日本の温泉地、旅館も好んで訪れる。局長はどこがお好きですか。お好きな日本の食事は。

 「残念ながら訪日時に毎回温泉地に行けるわけではないのだが、今まで訪れた中では、箱根の温泉と北海道の洞爺湖温泉の2カ所が気に入っている。食事は、日本のラーメンとおすしが好きだ」

 ――台湾でおすすめの温泉地、料理は。

 「台湾には19カ所の温泉地がある。台北なら『新北投温泉』『烏來温泉』、台中なら『谷関温泉』、台南なら『関子嶺温泉』などがおすすめだ。関子嶺温泉は台湾唯一の泥温泉で美容に良いとされている。料理は七面鳥の鶏飯、巨大な鶏唐揚げ『鶏排(ジーパイ)』、朝ご飯でよく食べられる豆乳スープの『鹹豆漿(シェントウジャン)』をおすすめしたい」

【聞き手・kankokeizai.com編集長 江口英一】

 

台湾交通部観光局 局長 張 錫聰氏

 
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