国際観光日本レストラン協会 鍔一郎会長に聞く


国際観光日本レストラン協会 鍔一郎会長

洗練された料理提供を 会員のメリットを追求

 ――会長就任の打診があったのはいつごろですか。

 「2年ほど前です。私は当時、会長の職務代行者に任命されていました。次期会長含みであり、その路線に従っての会長就任になります。プレッシャーは相当あります。正直重いですね(笑い)」

 ――就任の抱負をお聞かせください。

 「私は父(つば甚社長)のかばん持ちをしていて、若いころから協会に出入りしていました。皆さんライバルであるにも関わらず非常に仲が良くて、皆で日本の食文化を盛り上げようという姿に感動した経験があります。そうした伝統は今後も残し、次の世代に引き継いでいきます」

 ――協会の特徴は。

 「地域の一番手が集まり、互いの店を良くするために切磋琢磨している、非常に真面目で、目標を持った団体です。特に互助精神は高いものがあります。食を通して日本、世界の人々に幸福感と満足感、希望を与えるという大きなテーマのもと、活動しているということ」

 ――総会の会長就任あいさつの際、「いろんな課題がある」と指摘されましたね。

 「時代とともに、解決しなければならない問題の質は変わってきます。安田会長のころはインバウンドをどう受け入れるかが話題になりましたが、今やインバウンドは当たり前で、さほど議題にはなりません。むしろ、地域、ひいては日本だからこそできる食事やサービスを、より洗練された形で世界の人に提供できるかが問われていると思います」

 ――外国人を中心に、日本食に対する関心はとても強いですね。

 「食は文化そのものであり、文化を味わいに来ているといえます。そうした期待を裏切らないようにする一方、あまり寄りすぎるのも良くない。われわれのありのままの姿が彼らにとって新鮮なので、こびることなく提供する姿勢で臨みたい」

 ――2024年の事業展開は。

 「いま会員数は140ほどです。会員が減り、活力が低下しています。減少に歯止めをかけ、拡大するのが当面の課題です。少なくとも今の倍にしたい」

 「いま会員施設がない県は19県ほどです。料理は地域によって違いますので、われわれは古里の食を代表しているんだという気概を持って協会に加盟してほしいですね。食関連の団体が多いことや、オーナーシェフのため店を留守にはできないという事情もあり、参加をためらう施設も少なくありません」

 ――一方で、青年部があり、若い方々が積極的に活動しています。

 「青年部は50社ほどの若い経営者の集まりです。将来、日本の食文化をけん引する人たちが出てくると思いますので、活動しやすいよう、後方支援します」

 ――新しい試みは。

 「会員のメリットを追求します。ためになる情報提供に加え、会員同士の利用促進を図るため、割引や優遇制度を創設したい。研修というか、視野を広げてもらうのが狙いで、会員にお店を紹介し、その際料金も安く提供するという具合です。以前、検討はしたのですが実行できなかったので、再チャレンジしたいですね」

 ――人気の親子体験食味学習会も継続?

 「子供たちに日本の食文化の良さを伝えるのはわれわれの責務です。地方自治体やマスコミの受けもよく、これは続けます」

 ――能登半島地震の影響は。

 「金沢は物理的な被害は少なかったのですが、飲食業への影響は大きかったですね。客足は徐々に戻りつつありますが、バックボーンである和倉温泉などが打撃を受けたのは痛い。温泉と食は表裏一体で、どちらが欠けても観光面でマイナスです」

 ――ご趣味は。

 「食べ歩きです。世界中を回っていますが、東京は料理の選択肢が多く、かつ味もいい。すごい場所だと思います」

 ――協会の店舗は料金も高く、一般の人は気軽には利用できません。

 「いろんな意見があると思いますが、お金を払うことで幸福感を感じてらっしゃる方もいます。1年に1回でもいい、ぜいたくを味わうこともいいのではないでしょうか」

国際観光日本レストラン協会 鍔一郎会長

つば・いちろう=立教大卒。1977年ホテルニューオータニ入社。79年つば甚入社。84年代表取締役。99年11月から監査役。今年3月の総会で会長就任。69歳。 【聞き手・内井高弘】

 
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