旅行で認知症リスクが低下 東北大とクラツーが共同研究結果を発表


 クラブツーリズムと東北大学は13日、共同で研究していた「旅行が認知症予防にもたらす効果」の研究結果として、一定の条件下の旅行における認知症リスク低下の可能性を確認した。共同研究により、「暮らし向きが苦しい」と捉えているケースを除き、物事に幅広く関心を持つ性格の人間にとっては、旅行に行く機会が増えるほど認知症リスク低下が期待できることを導きだした。

 両者は、頻繁に旅行に行くことが認知症の予防に有効であるかどうかを明らかにすることを目的とし、2016年7月から東北大学加齢医学研究所の「生涯健康脳」研究の一環として同大学の瀧靖之教授の指導のもと、医学的見地から調査、研究を行ってきた。同研究では、クラブツーリズムの60歳前後の顧客835人を対象に実施したアンケート調査(調査機関2017年6月)のデータを解析、研究した。

 解析では、知的好奇心の一つである。「拡散的好奇心」(物事に対して、幅広く情報を求める性格特性)が旅行の動機となっていることが確認され、旅行を通じ認知刺激を受けることで拡散的好奇心が満たされ、結果として「主観的幸福度」が高まるというメカニズムが解明された。また、旅行頻度が高まるほど主観的幸福度が高まる傾向にあることが分かった。先行研究で主観的幸福度は認知症リスクを低減させる効果があることが証明されていることから、旅行により認知症リスクを低下させる効果がある可能性が示唆された。

 一方で、好奇心のうち「特殊的好奇心」(情報の不調和を解消するために、知識を深めようとする性格特性)と旅行同期の関連性は認められなかった。拡散的好奇心と特殊的好奇心の強弱は、個人の好奇心特性に起因し、同じ人間でもライフステージなどの環境により変化するという。また、個人の好奇心特性や暮らし向きなど生活状況の捉え方によっては、旅行がストレスになる可能性も示唆した。

 同研究は、今年3月の学術論文雑誌「Humanities and Social Science Communications」に掲載されている。

 
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