宿泊業、「技能実習2号」対象へ 外国人雇用、7月に省令改正


 宿泊業が外国人技能実習法に基づく技能実習制度の「技能実習2号」の移行対象職種に追加される。厚生労働省、出入国在留管理庁は16日、宿泊業を追加する省令改正案について一般から意見を募る手続き「パブリックコメント」を開始した。6月14日まで意見を募集し、厚労省の専門家会議などを経て、7月ごろに改正省令を施行する。改正出入国管理法に基づき4月にスタートした新たな在留資格「特定技能」に加え、宿泊業に外国人雇用の選択肢が広がる。

 技能実習制度は、国際貢献のために開発途上国などの外国人を一定期間雇用して日本の技能を移転する制度。宿泊業は、在留期間が1年の「技能実習1号」での受け入れがすでに可能だが、在留期間が通算3年の「技能実習2号」、通算5年の「技能実習3号」への移行対象職種ではなく、移行に必要な技能実習評価試験も未整備だった。

 宿泊業界は、「技能実習2号」の移行対象職種入りを目指してきた。日本旅館協会、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、日本ホテル協会、全日本シティホテル連盟の4団体が連携し協議会を設置。協議会の担当者が、厚労省の専門家会議の意見聴取に昨年11月から複数回にわたって出席し、宿泊業の現状、試験案の概要を説明するなど手続きを進めてきた。

 省令改正案は、移行対象職種に宿泊業(接客・衛生管理作業)を追加し、移行に必要となる技能実習評価試験として「宿泊技能実習評価試験」(実施者・一般社団法人宿泊業技能試験センター)を定める内容。

 技能実習制度は、宿泊業が対象の産業分野となっている新たな在留資格「特定技能」とは別の制度だ。ただし、在留期間が通算3年の「技能実習2号」を修了した外国人は、試験なしで「特定技能1号」(在留期間・最長5年)への移行を申請できる。

 「技能実習」と「特定技能」は制度の内容が異なる。制度の目的は、技能実習は技術移転による国際貢献、特定技能は産業分野ごとに受け入れ人数の上限を設けた人手不足対策。送り出し国は、技能実習は発展途上国などだが、特定技能には原則として制約がない。

 外国人が従事する業務内容も、技能実習では技能習得のために定められた職種・作業に関して必須業務、関連業務、周辺業務が設定されているが、特定技能では、例えば、宿泊業では「フロント、企画・広報、接客、レストランサービス」についておおむね日本人従業員と同様に業務に従事できる。

 技能実習も、特定技能も、受け入れ事業者と外国人は雇用関係にあり、日本人と同等以上の給与が必要な点は同じだが、特定技能で就労する外国人には転職が認められている。

 また、受け入れ手順、受け入れ中の監理・支援態勢が異なる。技能実習では、「企業単独型」と呼ばれる手法を別にすると、国の認可を受けた非営利の「監理団体」(事業協同組合など)が在留資格の申請などを代行して技能実習生を受け入れ、企業での実習を監理する仕組み。特定技能では、監理団体は介在しないが、国が定める就労、生活に関する外国人支援について、受け入れ事業者が自ら実施するか、国に登録した「登録支援機関」に委託して実施する必要がある。雇用に当たって受け入れ事業者が負担する費用も違ってくるので、制度の目的や仕組みに関する理解が不可欠だ。

 
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