ファミリー旅行を歓迎 フィジー政府観光局 地域統括責任者 ロバート・トンプソン氏に聞く


フィジー政府観光局 地域統括責任者 ロバート・トンプソン氏

村人と触れ合うリゾート ホテルはあらゆる価格帯

 ――フィジーへの渡航者数の現状は。

 「2023年の渡航者数は92万9740人だった。22年対比で46.1%増、19年対比で4%増。コロナ禍を脱却し、回復基調にある」

 ――国別の内訳は。日本は何番目なのか。

 「1位はオーストラリアの43万4533人で全体の46.7%。2位はニュージーランドの22万963人で同23.8%。地理的に近く、同じ英連邦に属するこの2カ国で70.5%を占める。日本は7位の7748人で同0.8%となっている。3位は米国9万9518人(同10.7%)、4位中国2万5921人(同2.8%)、5位カナダ2万1853人(同2.4%)、6位英国1万680人(同1.1%)だ」

 ――コロナ禍でフィジーへの日本人渡航者数はどのように推移したか。

 「19年1万4868人、22年854人、23年7748人。23年は22年対比で807%増、19年対比で47.9%減となっている。23年の月別データでは、1月114人、2月137人、3月76人、4月784人、5月742人、6月580人、7月987人、8月1296人、9月960人、10月698人、11月705人、12月669人。フィジーは年間平均気温が25~27度と一定していて過ごしやすいが、12月~4月が雨季、5~11月が乾期のため、やはり乾期の方が観光客数は増える傾向にある。観光のピークシーズンは6~9月だ」

 ――同じ太平洋の島しょリゾートであるタヒチ、ニューカレドニアよりも旅行代金がリーズナブルな印象がある。

 「フィジーはオーストラリアの東、ニュージーランドの北に位置し、333の島々から成っている。人口は約93万人で、住民はフィジー系が57%、インド系が38%。公用語が英語なので、日本人にとっては旅行しやすいデスティネーションの一つではないだろうか。GDPの40%は観光業で稼いでいる」

 「旅行代金がリーズナブルな理由の一つは、成田から週2便の直行便が出ているフィジーエアウェイズが燃油サーチャージを一切徴収していないこと。もう一つは、フィジーが富裕層だけでなく、ファミリー&カップル向けのラグジュアリー・リゾートを標榜(ひょうぼう)し、展開しているからだ。離島のウルトラ・ラグジュアリー・リゾートに加えて、あらゆる価格帯のホテル、家族向け、子供・ティーンエイジャー向けの宿泊施設がそろっている。島で子供が1日遊べるアクティビティ、ベビーシッターサービスなども用意している」

 ――フィジーの宿泊施設全体のキャパシティは。

 「現在の総客室数は約1万2千室。コロナ禍が明けたことで、今後大規模ホテルの開業も予定されている。首都スバと経済の中心都市ナンディがあるビチレブ島には、数千円で宿泊できるツーリストクラスのホテルも多数あり、オーストラリアやニュージーランドの若者には大変人気がある」

 ――デスティネーションとしての売りは。

 「『豊かな自然』『アドベンチャー』『リフレッシュ』『コミュニティとの触れ合い』『グルメ』をフィジーで体験できる五つの柱として打ち出している」

 ――コミュニティとの触れ合いとは。

 「フィジーの土地の85%はローカルの人または企業が所有していて、そこに建つラグジュアリーリゾートで働く人たちも地元の村人が雇用されている。長期滞在客がホテルスタッフと仲良くなって自宅に招待されたり、ホテルで行われるウエディングに村人たちが集まってきてお祝いの歌を歌ったり、そういったビジネスベースではない本物の触れ合いがフィジーにはある。各村の文化が各ホテルにも生かされており、乱開発やオーバーツーリズムへの抑止力としても機能している」

 ――映画ファン憧れの場所も多いのでは。

 「トム・ハンクス主演の『キャスト・アウェイ』の撮影地はママヌザ諸島のモヌリキ島だ。ブルック・シールズ主演の『青いサンゴ礁』はヤサワ諸島のタートルアイランドで撮影された」

 ――日本の温泉旅館に泊まったことは。好きな日本食は。

 「三重県の温泉旅館に泊まったことがある。伊勢神宮に参拝し、海女小屋で伊勢エビやアワビをいただいた。フィジーのロブスターもおいしいが、網焼きの伊勢エビは最高。特に好きな日本食はラーメンと馬刺し。すしととんかつも大好物だ」

フィジー政府観光局 地域統括責任者 ロバート・トンプソン氏

Robert Thompson 旅行業界におけるデスティネーションマーケティングで20年以上の経験を持つ。フィジー政府観光局には4年以上在籍し、地域統括責任者(Executive Director of Regions)としてグローバルオフィスを統括。【聞き手・江口英一】

 
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