キーワードは「等身大風 自己ブランディング」 Booking.com、GW国内旅行トレンド発表


(左から)高木氏、原田氏、岡田氏

 ブッキング・ドットコム・ジャパン(東京都渋谷区)は4日、「2024年GW旅行トレンド予測発表会」を都内で開いた。スペシャルゲストとして、日本の若年層の動向に詳しく「Z世代」という言葉を生み出した芝浦工業大学教授の原田曜平氏と、グランビスタホテル&リゾート統括部長の岡田武則氏を招き、日本の若年層の消費傾向や旅先に求めるものについてパネルディスカッションを行った。終盤には議論した内容を踏まえて原田氏がトレンドワードを作成。めりはりのある消費スタイルで自身の価値観に合った旅を実現し、ありのままの自分をSNSで発信することで自己ブランディングすることを重視する若年層の特徴を指し、『等身大風 自己ブランディング』と名付けた。

 冒頭は同社西日本地区エリアマネージャーの高木浩子氏が登壇。「当社日本人ユーザーの検索データを調査した結果、国内旅行を志向する割合は9割に達している」と強調し、今年のゴールデンウイークは日本人の国内旅行が活発化すると予測を発表した。

 それを踏まえ、同社が策定する今年のゴールデンウイークのキートレンドとして「五感の刺激を研ぎ澄ます旅」「趣味追及の熱狂旅」の2点を発表。「当社ユーザーの多くは旅館やヴィラ、一棟貸し施設といった宿泊施設を多く検索しており、温泉やスパなど自然の中の特別な空間を楽しむ宿泊スタイルが人気。趣味追及の熱狂旅については、テーマパークやフェスなどに参加して『もう一人の自分』を楽しみたいという人が多い。このタイプではシティホテルなどが人気で、昨年よりも予約の入りが早い」とし、人気の宿泊タイプについて解説した。

 後半は原田氏と岡田氏を招きパネルディスカッションを実施。世界でも最大規模の人口を占める若者世代に焦点を当て、現代日本の若年層の特徴や旅行に求めているものについて意見交換を行った。

 原田氏は若年層の特徴について「SNSの普及により自己ブランディングを志向する人が多い。最近はやりのカフェ巡りはその典型で、旅行にもそれを求める傾向がある。おしゃれな写真を撮る『~映え』は彼らにとって今でも重要な要素。近年は『動画映え』『無加工映え』という言葉も出てきており、等身大でありのままの自分を表現する傾向も見え始めている」と解説した。

 一方、岡田氏はホテルの現場から見る旅行者の特徴について「若者世代も含め、『記念日』を重視する人が増えた。大型連休のような繁忙期シーズンであっても広いスイートルームを予約する、友人と集まってホテルで誕生日会をするなど、コロナ禍で自粛されていた『皆で一緒に祝う』という文化が戻りつつある」と近年の傾向を語った。

 これらの特徴を踏まえ、若年層が旅行にどのような場所を求めているのかについて原田氏が説明。ホテルでの滞在そのものを目的としたバカンスのような過ごし方〝ホカンス〟が流行したことについて触れ、「この背景に若年層が求める『チル』という概念がある。心を落ち着かせてゆったり過ごすという意味だが、そこに自分らしさを追求する『チル&ミー』という価値観が重視されており、現代の若者世代は旅先で自分らしい過ごし方を求める人が多い。彼らを国内の各地に連れ出すには、こうした『チル体験』を提供できるかが重要になるだろう」と主張。

 若年層をはじめとする宿泊者が旅館やホテルに求めていることについて、岡田氏は「当社にも『非日常』や『癒し』を求める声が寄せられている。これらを満たすようなサプライズ性のあるコンテンツを提供し、楽しみ方はお客さまにおまかせしてわれわれはそれをサポートするというスタンスが求められていると思う」と意見を述べた。

 このほか、原田氏は若年層の消費傾向についても言及。「節約術を駆使しつつ、自分にとって価値のあるものは高価なものでも消費をするのがZ世代。この傾向は旅行においてもみられ、旅という特別な体験にこそ多額の消費をする見込みは大きい」と解説した。

 岡田氏も「若い世代の人はお金だけでなく時間の使い方もうまい」と付け加え、「早期予約で費用を抑えることもできる。そこで浮いたお金を連泊に充てたり観光に消費したりして、満足のいく旅にしていただけたらと思う」と提言した。


(左から)高木氏、原田氏、岡田氏

 
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