【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 479】旅・ホの人手不足解消法3 アルファコンサルティング代表取締役 青木康弘


 前回に引き続き、旅館・ホテルの人手不足解消法について紹介しよう。新規有効求人倍率は常に5倍を超えている現在の状況下でも、人材確保に成功している会社は少なからずある。今までのやり方にとらわれずに取り組んでみよう。

 5、全員参画型の運営形態とする

 小規模の館であれば、部署別に求人、配属するのではなく、全ての業務に全員が関与する全員参画型の運営形態を目指すのも良いだろう。

 係別の組織だと手待ち時間が出てしまい余分に人手が必要となるが、全員参画型の組織では手が空けば別の業務を担当させることができるので無駄が生じにくい。また、中抜け勤務からシフト勤務への移行もしやすくなる。一般的に人材確保が難しい清掃や料飲サービスと、有効求人倍率の低い一般事務を組み合わせることで求人活動もしやすくなるだろう。

 施設のコンセプトやサービススタンダード、宿泊プランの作成、業務効率の改善策検討などに一般スタッフも積極関与してもらうことは、モチベーション向上、優秀な人材の発掘にもつながるだろう。何を言っても変わらないという縦割り組織特有の不満を回避することができる。

 6、研修プログラムを充実させる

 業界への新規参入が相次ぐなか、ベテラン人材を確保することは今後一層難しくなる。経験者はどこの館でも引く手あまただからだ。他館から引き抜くのではなく、他業界からの転職者が集まりやすくなるよう取り組む方が賢明だ。

 そのためには、未経験者を早期戦力化するための研修プログラムを作ることが望ましい。自社で策定するのが難しければ、厚生労働省などの助成金を活用して専門家に作ってもらうのが良いだろう。

 地元の旅館組合や業界団体で同様の問題意識を持っているのであれば、資金を出し合って専門家に依頼しても良い。施設のコンセプトは異なっていても、人材育成を進める上での課題や悩みは似ているからだ。集客ではライバル関係にある館であっても、人材確保のための基盤作りについては協力し合うことをお勧めする。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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