【観国之光 275】2020年の観光業界 日本ファン開拓の好機に 本社論説委員 内井高弘


東京五輪・パラリンピックは日本の魅力を世界にアピールする絶好の機会となりそうだ(メイン会場となる新国立競技場)

 令和2年目となる2020年がスタートした。子(ねずみ)年の今年は観光業界にとってどんな年になるだろうか。非日常の旅行の素晴らしさが改めて”チュー目”され、業界全体が活気づいてもらいたいものだ。

 JTBの「旅行動向見通し」によると、20年の国内旅行人数は2億8632万人で、前年比0.5%増になるとか。

 前半は、昨年10連休だったゴールデンウイーク(GW)の反動や東京オリンピック・パラリンピック前後の首都圏を中心とした旅行抑制の影響などで勢いがないが、後半は消費増税の影響が薄れ、オリンピック後の宿泊料金も落ち着くことから、微増とみている。

 一方、訪日客については、オリ・パラの波及効果、1月から中国、インドを対象にビザの発給要件が緩和されたことや日本路線の増便、アジア新興国からの旅行者の増加などを背景に、前年比7.9%増の3430万人と推計している。

 政府が目標とする「20年4千万人」には届かないが、計画通りにいかないことはよくあること。数を追うのではなく、訪日客にいかに満足して帰ってもらうか、「また日本に来たい」と思わせることが肝心だ。観光資源に磨きをかけ、受け入れ態勢の充実に努めよう。

 今年の大きな話題は何といってもオリ・パラだろう。日本への注目は集まるだろうが、こと訪日客に関しては「爆発的な増加は考えにくいのが現状」(旅行動向見通し)とされる。開催期間がオリンピックでも17日間ほどで、札幌を除けば、東京周辺が主な会場のため、訪日客は観戦者が中心となりそうだからだ。

 ただ、日本の魅力をアピールする絶好の機会になることは間違いない。日本ファンをどう増やすか、観光業界も真剣に対応すべきだ。

 5G(第5世代移動通信システム)という言葉が飛び交い、今年のキーワードの一つになりそうだが、観光業界にどんな影響を及ぼすのか正直分からない。

 「5Gで社会が変わる」といわれる一方で、「空騒ぎに終わる」といった冷めた見方もある。AR(拡張現実)やVR(仮想現実)などで実体験に近い楽しみ方を観光客に提供できるともいわれるが、「旅のだいご味は五感で感じてこそ」と思うのは古いのだろうか?

 このほか、人手不足の解消はなるか、それに関連した新たな在留資格の行方は、働き方改革への対応、観光公害は解決するか、MaaS、SDGsへの目配りなど、さまざまな出来事が業界の将来を左右する。

 知恵と工夫で20年を明るい年にしたい。地震や台風など自然災害が起こらないことを願って。

東京五輪・パラリンピックは日本の魅力を世界にアピールする絶好の機会となりそうだ(メイン会場となる新国立競技場)

 
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