村木康之社長
静岡県東伊豆の温泉旅館、海一望絶景の宿いなとり荘（村木康之社長）は、今年度4人の新入社員を迎えた。新人研修は1カ月間。社会人としてのあるべき姿、そして同旅館の社員としての心構えや、スキルを磨く。
新人研修の主な内容は、会社理念の説明、接客・清掃のルール説明および実践練習など。加えて、宿泊客の立場から客観的に接客を学ぶため、1泊研修も用意されている。
研修担当は内容によって管理職や若手社員、外部講師などさまざまだが、仕事に対する不安、慣れない一人暮らしの生活面は、入社2～3年目の若手社員が中心となってフォローする。新入社員の印象について、村木社長は「新入社員はとても明るく、元気。その印象とは真逆に、真面目に取り組む様子が印象的で、日々成長を実感している」と話す。
正社員のうち、3分の1が20代の社員が働く同旅館では、若手社員の離職理由の第1位に「勤務体制」が挙がっていた。そこで、これまでの午後～翌日朝までのたすき掛けシフトを見直し、現在は朝の仕事を完全分業化することで丸1日の休み確保に成功。若手社員の声に耳を傾け、社員の定着化につなげている。
今後若手社員の活躍の場として生きると考えているのはＳＮＳ。インスタグラムのフォロワーは3・7万フォロワーを超え、ユーチューブもスタートした。村木社長は、「現在は広報担当が主に行っているが、若手社員も自ら撮影に写り込んだりと楽しむ様子もみられる。若手社員を巻き込みながらリアルな旅館の姿を発信できれば」と語る。
入社後は、上司と面談しながら目標設定していくのが一般的だが、同旅館の特徴の一つとして、半年に1度、自身で目標設定を行い、目標数値を決めて取り組む「5％チャレンジ活動」を実施している。自ら目標を設定することで自己成長につなげるほか、達成度の高い社員が出場できる大会も設けており、社員の士気を高めている。
「自分のために働くのが一番だが、旅館やお客さまのことを思って意欲的に働いてくれる若手社員が多い」と村木社長。”お客さま第一主義”を掲げる同旅館の目指す姿を実現するため、今後も若手社員の成長意欲につながる改革を行っていく。
食事処での接客研修
村木康之社長
