阿寒アドベンチャーツーリズム、夜の森に体験型コンテンツ「カムイルミナ」7月開始


「カムイルミナ」のイメージ

デジタルアートでアイヌ伝説の世界

 北海道・阿寒湖温泉の夜の森を舞台に、デジタルアートを駆使した映像や音響の仕掛けがアイヌの伝説の世界へといざなう体験型観光コンテンツ「阿寒湖の森ナイトウォーク カムイルミナ」が7月5日にスタートする。阿寒アドベンチャーツーリズム(北海道釧路市、大西雅之代表取締役)が、世界的なマルチメディア・エンターテインメント企業のモーメントファクトリー社(MF社、カナダ・モントリオール)と提携して運営。自然、異文化、アクティビティで構成されるアドベンチャーツーリズムとして国内外からの誘客を目指す。

 運営会社の阿寒アドベンチャーツーリズムは、自然とアイヌ文化を生かしたアドベンチャーツーリズムの事業展開を目的に2018年4月に設立。阿寒湖温泉旅館出資組合、JTB、阿寒観光協会まちづくり推進機構、日本航空、日本政策投資銀行、北洋銀行、北海道銀行などが主要株主。釧路市阿寒町の同機構内に本社を置く。

 提携するMF社は、スペインの世界遺産「サグラダ・ファミリア」でのプロジェクション・マッピングをはじめ、世界各地の有名イベントの演出を担当して高く評価されている。地域の文化と自然を生かした体験型ナイトウォークは、モントリオール近郊の「フォレスタルミナ」をはじめ、これまでに世界で9作品を展開し、いずれも人気となっている。

 阿寒での「カムイルミナ」の開催場所は、阿寒摩周国立公園内の阿寒湖温泉ボッケの森の遊歩道。MF社のナイトウォークの国立公園内での開催は初めて。阿寒アドベンチャーツーリズムなどでは、環境省、林野庁などと連携し、自然環境に最大限配慮したコンテンツとして運営していく。

 「カムイルミナ」は、自然への感謝を忘れかけている人間を神がいさめるアイヌ伝説「コンクワ」を基に、村の守り神のシマフクロウと、その使者のカケスを主人公にしたストーリー。プロジェクション・マッピング、光や音のデジタル技術で演出された遊歩道約1.2キロを歩く。所要時間は約60分。日没30分後に順次スタートし、最終入場は午後10時半。

 開催は11月10日まで。冬季は休業して来年5月下旬に再オープン予定。当日の入場料は大人3千円、小学生1500円。前売り料金、団体割引料金など別途設定。チケットの予約・購入方法は、6月1日から「カムイルミナ」のウェブサイト(www.kamuylumina.jp)、7月5日からは現地のチケットブースで販売を開始する。阿寒湖温泉の旅館・ホテルのフロントでも購入できる。

 阿寒アドベンチャーツーリズムと連携する阿寒観光協会まちづくり推進機構の山下晋一専務理事は、16日に東京都内で開かれた北海道観光の記者発表会の中で、「カムイルミナを通じて、アイヌ文化にフィロソフィーされた阿寒湖の原自然との共生を全世界に発信したい」と語り、アドベンチャーツーリズムによる阿寒湖温泉の世界ブランド化に意欲を示した。

 阿寒湖温泉地区は、訪日外国人観光客を地方に誘致するモデル地域として観光庁から「観光立国ショーケース」に選定されているほか、阿寒摩周国立公園が環境省の「国立公園満喫プロジェクト」の対象となる8国立公園の一つに選ばれている。

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