長野県山ノ内町は、新型コロナウイルスに感染した疑いのある旅行者を、泊まっている宿泊施設から感染症指定医療機関まで搬送する体制を構築した。12月1日から実施する。県内でこうした業務を行うのは珍しい。
これは「新型コロナウイルス感染症拡大防止搬送業務」で、町の観光連盟と連携して行う。期間は来年3月22日まで。ウインターシーズンに向け、志賀高原や湯田中渋温泉郷、北志賀高原を訪れる旅行者を受け入れる宿泊施設の感染リスクを減少させるのが狙い。
町内の宿泊施設を利用する旅行者が発熱などで具合が悪くなった場合、有症状者相談窓口（最寄りの医療機関や県が開設する受診・相談コールセンター）で感染の疑いがあると判断されると、町は搬送業務受託者（長電タクシー）に医療機関への搬送を依頼、受託者は宿泊施設―医療機関―宿泊施設間の搬送を行う。
搬送に利用するワンボックス車両は2台で「運転席と後部座席を遮へいし、消毒のため、人体に悪影響を及ぼさない濃度調整可能なオゾン発生器を設置する」（観光商工課）。
搬送に係る費用は通常のタクシー料金と同じで、受診後、宿泊施設に戻った時点で料金が決まる。運転手への感染リスクを避けるため、施設に代金を連絡し、施設が旅行者から徴収。後日、その代金を施設からタクシー会社に振り込むという。
同町は、福祉事務所や医療機関の協力を得て感染症防止対応の指針を策定、安全安心の観光地づくりを進めている。
